King Gnu、新曲「一途」でオーディエンスを熱狂させた満員のアリーナツアー千秋楽

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King Gnuが10月から開催していたアリーナツアー「King Gnu Live Tour 2021 AW」が、昨日12月15日の東京・国立代々木競技場第一体育館公演をもってフィナーレを迎えた。

「King Gnu Live Tour 2021AW」国立代々木競技場第一体育館公演の様子。(Photo by Kosuke Ito)

「King Gnu Live Tour 2021AW」国立代々木競技場第一体育館公演の様子。(Photo by Kosuke Ito)

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当初King Gnuは、昨年行われたライブツアー「King Gnu Live Tour 2020 "CEREMONY"」の東京公演を国立代々木競技場第一体育館で開催予定だったが、コロナ禍によって度重なる延期に見舞われ、同会場での開催は見送りに。約1年9カ月を経てのリベンジとも言えるこの日の公演は、新型コロナウイルス対策を巡る政府の行動制限が緩和されたことに伴い、定員いっぱいでの実施が可能となり、約1万人がツアーの幕引きを見届けた。

常田大希(Vo, G)(Photo by Tomoyuki Kawakami)

常田大希(Vo, G)(Photo by Tomoyuki Kawakami)[拡大]

「King Gnu Live Tour 2021AW」国立代々木競技場第一体育館公演の様子。(Photo by Kosuke Ito)

「King Gnu Live Tour 2021AW」国立代々木競技場第一体育館公演の様子。(Photo by Kosuke Ito)[拡大]

アンビエントなBGMに次第にノイズが混じり始め、場内が暗転したことを機にライブの幕が上がる。スモークに覆われた雲中さながらのステージに4人のシルエットがくっきりと浮かび上がると、割れんばかりの拍手が場内にこだました。唸りを上げる常田大希(Vo, G)のギターで始まったのは、ライブの幕開けにふさわしい「飛行艇」。雄大なサウンドスケープを描き出すロックチューンでバンドの存在感を印象付けた常田は、「King Gnu、始めるぜ!」と咆哮し「千両役者」になだれ込んだ。この曲では常田と井口理(Vo, Key)の絶妙な掛け合いや、新井和輝(B)と勢喜遊(Dr, Sampler)が織り成す高揚感たっぷりのグルーヴにシンクロするようにレーザーが飛び交い、オーディエンスの熱気と興奮を煽った。

井口理(Vo, Key)(Photo by Tomoyuki Kawakami)

井口理(Vo, Key)(Photo by Tomoyuki Kawakami)[拡大]

メランコリックなムードを醸し出す「Vinyl」や、常田の軽快なカッティングギターが炸裂する「Sorrows」というブレイク前の楽曲を連続で届けたところで、井口が「みんなで有終の美を飾ろうということでございます」とツアーファイナルを迎えられた感慨を口にする。その言葉に同意するように、観客は歓声代わりに大きな拍手をステージ上のメンバーに送った。「ユーモア」を皮切りに始まったブロックで披露されたのは、King Gnuの豊かな表現力や叙情的な一面が堪能できるメロウなナンバーたち。井口の胸に迫るような歌声に、常田のギターや勢喜のビートが寄り添うように響いた「白日」、常田が爪弾くアコースティックギターに、井口の儚げな歌声を絡ませる「破裂」がオーディエンスの感情を揺さぶっていく。「破裂」から流れるように始まった「Prayer X」では、ステージの背面と上に設置された計8面のLEDスクリーンにミュージックビデオがシンメトリーに映し出され、楽曲に込められたシリアスなメッセージをオーディエンスの視覚に訴える演出も。4人はアグレッシブで肉体的なパフォーマンスと、照明と映像の2つを軸にした演出を融合させながら1万人を圧倒していった。

常田大希(Vo, G)(Photo by Kosuke Ito)

常田大希(Vo, G)(Photo by Kosuke Ito)[拡大]

中盤のブロックでのヒリヒリとしたムードは、連続で披露された「The hole」でピークに。常田が叩くピアノの美しい旋律が荘厳な空気を生み出し、それを引き継ぐように井口が吐息が漏れるような声で“喪失”を歌い上げる。そこに地を這うようなシンセベースと、ダイナミックなドラムが融合し、広いアリーナを飲み込んでいった。その後、「ドクン……ドクン……」と心音を思わせる音が流れ出し、滑らかに「泡」へ。水面から水中への潜っていくような映像と、弧を描く青いレーザーが、4人が紡ぐ独特の浮遊感のあるサウンドを彩った。

新井和輝(B)(Photo by Kosuke Ito)

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勢喜遊(Dr, Sampler)(Photo by Tomoyuki Kawakami)

勢喜遊(Dr, Sampler)(Photo by Tomoyuki Kawakami)[拡大]

アウトロでインプロビゼーションが炸裂した「Hitman」、そしてオペラのワンシーンを想起させる井口の美しいテノールが切々と響いたクラシカルな雰囲気の「三文小説」と深淵なナンバーを経てMCへ。「緊張してる? いい感じだよね?」という井口の呼びかけに、新井は「いい感じです」と返し充実感をにじませる。井口が「こうやって席が埋まって、最高に近い形で(ツアーファイナルが)できてよかったです」とうれしそうに口にするとステージに温かな拍手が送られた。メンバーはひとしきり思い思いにトークしたのち、「ここからぶち上がっていけますか?」という井口のひと声を口火に「Slumberland」を投下。拡声器を手に常田がステージでアジテートすると、観客はそれに応えるように体を揺らし一体感を作り出した。そのまま4人は、東京の中心地で奏でるのにふさわしい「Tokyo Rendez-Vous」や歌謡曲的なエッセンスを取り入れた「傘」、鬼気迫るようなアンサンブルを聴かせる「どろん」をパフォーマンス。さらに激しく明滅する照明演出を交えて「Flash!!!」を叩き込んだのち、本編の最後に「Teenager Forever」を届け、宣言通りオーディエンスのテンションを極限までぶち上げてみせた。

常田大希(Vo, G)と井口理(Vo, Key)。(Photo by Tomoyuki Kawakami)

常田大希(Vo, G)と井口理(Vo, Key)。(Photo by Tomoyuki Kawakami)[拡大]

「King Gnu Live Tour 2021AW」国立代々木競技場第一体育館公演の様子。(Photo by Tomoyuki Kawakami)

「King Gnu Live Tour 2021AW」国立代々木競技場第一体育館公演の様子。(Photo by Tomoyuki Kawakami)[拡大]

「かわいい、明るいあの曲をやります」。そんな井口の曲紹介から、アンコールは最新曲の1つである「BOY」でスタートする。オレンジを基調とした温かな色合いに染まったステージで、4人は朗らかなアンサンブルを奏で、オーディエンスを優しく包み込む。しかし、その穏やかなムードは新曲「一途」で一変。公開から1週間で400万再生を記録しているMVのワンシーンがスクリーンに一瞬映し出されたのち、会場を切り裂くような常田のカッティングギターが狼煙を上げる。勢喜が刻む高速のビートと新井の猛るようなベースライン、常田と井口による一発触発さながらの激しいツインボーカルが、組んず解れつになり、オーディエンスを熱狂の渦に巻き込んでいった。この日一番の拍手が起こる中、King Gnuが最後に奏でたのは「サマーレイン・ダイバー」。コロナ禍前であればシンガロングが欠かせないこの曲だが、観客は歌の代わりにライトを灯したスマホを掲げる。満天の星空のような景色を前に、4人はじっくりとプレイを繰り広げ、心地よいグルーヴで会場を満たしてツアーに幕を下ろした。

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King Gnu「King Gnu Live Tour 2021AW」2021年12月15日 国立代々木競技場第一体育館公演 セットリスト

01. 飛行艇
02. 千両役者
03. Vinyl
04. Sorrows
05. ユーモア
06. 白日
07. 破裂
08. Prayer X
09. The hole
10. 泡
11. Hitman
12. 三文小説
13. Slumberland
14. Tokyo Rendez-Vous
15. 傘
16. どろん
17. Flash!!!
18. Teenager Forever
<アンコール>
19. BOY
20. 一途
21. サマーレイン・ダイバー

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