1月にリリースした、映画「花束みたいな恋をした」のインスパイアソング「勿忘」が大ヒットし、その名を全国区に広めたAwesome City Club。12月31日(金)にはNHK総合ほかで放送される「第72回NHK紅白歌合戦」への初出場も決定し、「第63回 輝く!日本レコード大賞」の優秀作品賞を受賞するなど、注目度の高いタイミングとあって会場には多くのファンが駆け付けた。またライブの模様はWOWOWにて生中継され、現地に足を運べない全国のファンも彼らのライブを見届けた。
開演時間になるとAwesome City Clubは、シンガロングから始まる「you」でライブをスタート。3人の歌のパワーに促されるように、観客は席から立ち上がり、彼らの歌声を全身で浴びた。PORINが「やっと会えたね! 最高な幸せを見つけに行こう!」とオーディエンスに呼びかけ、バンドはモリシーの軽快なギターカッティングとパーカッションが陽気なムードを演出する「夏の午後はコバルト」を披露。「color」ではatagiのアタックの強い歌とPORINのハイトーンボイスが会場いっぱいに響き、モリシーのディストーションの効いたギターサウンドが観客のテンションを引き上げた。atagiとPORINの美しいハーモニーが光る「またたき」では、曲が終わりに近付くにつれ、演奏も歌も熱を帯びていく。燃え上がった炎がふっと消えたかのように演奏が終わると、客席から万雷の拍手が沸き上がった。
スキャットで始まる「Sing out loud, Bring it on down」では、歌詞が巨大なスクリーンにビジュアライズされ、視覚的にも楽曲の世界観を演出。艶っぽい歌声とグルーヴィな演奏が印象的な「Fractal」、ダンサブルな「アンビバレンス」「Lesson」でフロアを揺らす。「Cold & Dry」ではatagiがコーラスグループ・TiA's Choirを従え、美しいファルセットを響かせ、優れたボーカルスキルを発揮。ピアノのインタールードから始まった「Moonlight」では、ミラーボールの光がロマンチックな空間を作り上げた。さらにAwesome City Clubは1stフルアルバム「Catch The One」より「台湾ロマンス」や「燃える星」といった楽曲を披露。ダンサブルな「タイムスペース」では、クラップを煽って会場の一体感を生み出した。
PORINは「NHK紅白歌合戦」への出場が決定したり、「LINE NEWS PRESENTS NEWS AWARDS 2021」でアーティスト部門賞を受賞するなど、忙しなく過ごす日々の中で、ファンと対面し「みんなの顔が見れてホッとしました」と安堵の表情を見せる。そして「皆さんのおかげでここまで来れました。やっと恩返しができると思っています。渋谷の小さいリハスタで始まったバンドで、ずっとライブハウスでライブをしてきたので、心の底からライブが大好きで一番輝ける場所だと思っています」と思いを語った。
atagiは「コロナ禍でライブに来られない時期もあったし、今も声を出せないし、距離を空けて楽しんでもらうという制限の中でライブをやらせていただいています。そんな中でも身振り手振りで反応してくれることが僕たちにとっては励みになったしうれしかったです。僕らに許されているコミュニケーションはクラップだけ。せっかくだから一体になりたいと思いましてクラップを使う曲を用意してきました」と話し「SUNNY GIRL」を歌唱。Awesome Hornsによる華やかなホーンサウンドの中で、3人はステップを踏んで笑顔を見せ、客席からも笑顔がこぼれた。テンションそのままに届けられた「湾岸で会いましょう feat. PES」では、フィーチャリングで参加しているPESがステージへ。3人とPESとの共演を楽しむフリースタイルを繰り広げながらピースフルなステージを展開した「湾岸で会いましょうfeat. PES」は、このライブのハイライトとなった。
PESが去るとAwesome City Clubは官能的な雰囲気をまとった楽曲「but xxx」のパフォーマンスで会場の空気を一変させる。続く「Don't Think, Feel」では、楽曲に身を任せて観客たちもその場でダンスを踊った。PORINは「最高です! 楽しいです! やっぱりライブはいいですね。今日は“to end the year”ということで、2021年を締めくくる喜ばしい日ですけど、2021年は『勿忘』がいろんな奇跡を見せてくれました」と、「勿忘」のリリースをきっかけに躍進を遂げた2021年の活動について触れる。atagiは「強烈に覚えているのは、地元の和歌山県から『成人式のコメントをいただけないですか?』ってオファーをいただいたんですよ。“地元孝行”じゃないですけど、それができたことがうれしくて胸に残っています」と今年を振り返り、モリシーは自身が営むコーヒースタンド・MORISHIMA COFFEE STANDで起きた最近の出来事を明かす。「紅白が決まったあと、隣のブティックの方がいきなり『こないだ記者会見に出ていたけど何者なのよ』ってお店に入ってきて(笑)。『ミュージシャンだよ』と答えたら驚いていたので、その場でサブスクで聴かせてやりました!」とモリシーがしたり顔を見せると会場から拍手が起こった。PORINは「私は今年何度うれし泣きをさせていただいたんだろうって感じ。こんなに光栄なこと、今までなかったなと。すごく濃い1年を過ごさせていただきました。皆さんのおかげです。ありがとうございます!」とファンへの感謝の思いを伝えた。
そしてPORINは「このバンドはいろんなストーリーがあって、苦難もあったけど最高の景色を見られているのは、自分たちの感性を信じてここまで歩みを止めずに進んできたからだと思います。そんな思いを書いた曲です」と紹介し「Okey dokey」の演奏へとつなぐ。最後は代表曲の「勿忘」を、鮮やかに咲き誇る花の映像をバックに披露。Awesome City Clubがようやく花開いた2021年を象徴するかのようなパフォーマンスで本編を締めくくった。
アンコールでは、3月9日に4thアルバム(タイトル未定)のリリースが決定したことや4月から5月にかけて全国ツアーを行うことが発表された。その後、Awesome City Clubは冬にぴったりな「青春の胸騒ぎ」と新曲「雪どけ」を披露。雪が降り積もる映像をバックにエモーショナルな歌声を届け、手をつないでお辞儀をしてステージを終えた。なお本公演のセットリストはSpotifyとApple Musicにてプレイリストとして配信中。
Awesome City Club「Awesome Talks One Man Show 2021 - to end the year -」2021年12月8日 東京ガーデンシアター セットリスト
01. you
02. 夏の午後はコバルト
03. color
04. またたき
05. Sing out loud, Bring it on down
06. Fractal
07. アンビバレンス
08. Lesson
09. Cold & Dry
10. Moonlight
11. 台湾ロマンス
12. 燃える星
13. タイムスペース
14. SUNNY GIRL
15. 湾岸で会いましょう feat. PES
16. but xxx
17. Don't Think, Feel
18. Okey dokey
19. 勿忘
<アンコール>
20. 青春の胸騒ぎ
21. 雪どけ
Awesome Talks - One Man Show 2022 -
2022年4月2日(土)愛知県 Zepp Nagoya
2022年4月3日(日)大阪府 Zepp Namba
2022年4月10日(日)東京都 Zepp Divercity(TOKYO)
2022年4月15日(金)北海道 Zepp Sapporo
2022年4月17日(日)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
2022年5月1日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
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Awesome City Club「勿忘」と駆け抜けた飛躍の2021年最後のワンマンライブ(ライブレポート / 写真10枚) - 音楽ナタリー https://t.co/jflHSx4hf5