さとうもかが謎の騒音集団として会場ジャック、観客と共犯関係結んだツアーファイナル

さとうもかのツアー「さとうもか LIVE TOUR 2021」の最終公演が11月7日に東京・渋谷CLUB QUATTROで開催された。この記事では16:00より行われた第1部の模様をレポートする。

「さとうもか LIVE TOUR 2021」は最新アルバム「WOOLLY」を携えて行われたツアーで、10月の岡山公演を皮切りに、全国4都市で開催された。さとうは新型コロナウイルスの感染が流行した2020年初頭より3枚のCDをリリースしていたが、感染拡大防止のためツアーの開催は見送られており、本ツアー開催にあたって彼女は「やっっっと念願のツアーが出来る事になりました」と喜びあらわにコメントしていた。

開演時刻を迎えると、「ただいまこちらのライブ会場にシュガーサイエンス団が侵入している可能性がございます」という女性のアナウンスが突如流れ出す。やがて女性の声が騒然としたノイズにかき消されると、またたくストロボの光を浴びながら、謎の“騒音集団”・シュガーサイエンス団の団員であるシンリズム（G）、河合宏知（Dr）、沼澤成毅（Key）、森川祐樹（B）、そしてサングラス姿のさとうが白衣姿でステージ上に現れる。5人は「Sugar Science先生」ですかさずライブをスタート。演奏後にさとうが、サイレンの音とパトランプを思わせる赤い光を浴びながら「我々がシュガーサイエンス団だ！ 私たちはこの地球を2つに割る威力のある爆弾を製作している。実はそれをかぎつけた警察がもうそこら辺に来ている。ここで音楽ライブをしてカモフラージュするのだ。みんなも共犯になってしまうけど、次の曲に付き合ってくれ！」と客席に投げかけ、「Weekend」を披露する。シュガーサイエンス団と共犯関係を結んだ観客は、グルーヴィな演奏に身をゆだね、5人のパフォーマンスを全身で堪能した。

続けてシュガーサイエンス団のボスであるクマのぬいぐるみが舞台に登場し、観客に「次の曲のワシらのことを動画に残してくれ」と指令。次の演奏曲が「melt bitter」であると告げられると、フロアからは歓声が湧き起こる。演奏後ボスは「とにかくお前らはこのままずっと歌を止めないんじゃ！」という言葉を置き土産として残し、警察に連行されステージを退場。ボスからのメッセージを受け取ったさとうがハートのステッキを振りながら「Cupid's arrow」を披露すると、会場はチアフルな空気に包まれた。

中盤でさとうは、アコギを携えながら「Lukewarm」「いとこだったら」をパフォーマンス。Momとの共作曲「いとこだったら」では、会場に来れなかったMomの代わりに、バンドメンバーがMomを模した紙のお面を頭に付けて演奏した。「Love Buds」「いちごちゃん」というメジャー1stシングルの収録曲を経て、バラードナンバー「ながれぼし」が歌われると、オレンジ色のサイリウムの光が優しく揺れるフロアに、さとうの伸びやかな歌声が染み入るように響き渡る。さらに5人は「アイロニー」「Woolly」を畳みかけるように演奏し、終盤へ向けて会場の熱気を高めていった。

本編のラストでさとうは、「やっぱり自分は家で1人で曲を作って、ただただ音楽が好きな人間なんだなと気付かされていて。だからこの曲は家に近い空気で演奏できればと思いました」と高校生の頃に実際に使っていたピアノで「歌をとめない」を弾き語り。「また会える日を夢に見ながら 愛を歌うわ 歌をとめない」と目の前の観客に力強く宣言し、感動的な空気の中ステージを去って行った。アンコールの拍手を受けてツアーTシャツ姿で現れたさとうは、2022年3月23日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでワンマンライブを開催することと、オフィシャルファンクラブ「喫茶もか」の発足を発表。会場は祝福の拍手に包まれる。そして5人はラストに、ソリッドなサウンドに切実な恋心を乗せて歌った「愛ゆえに」をパフォーマンス。演奏後5人は「Woolly」を口ずさみながら肩を組んで挨拶し、熱気の冷めやらぬ会場をあとにした。