ONE OK ROCK新境地開いた初アコースティックライブ「馴染みながらはみ出していけ！」

ONE OK ROCKが7月22日から25日にかけて山梨・河口湖ステラシアターで、有観客アコースティックライブ「ONE OK ROCK 2021 "Day to Night Acoustic Sessions" at STELLAR THEATER」を開催した。

ONE OK ROCKが有観客ライブを行うのは約1年半ぶりで、アコースティックライブを行うのはこれが初めて。昨日7月31日には本公演の模様を収録した映像が配信された。この記事では7月25日の昼公演の模様をレポートする。

アコースティックライブにはバンドメンバーのほか、ギター、パーカッション、キーボード、ストリングス、コーラスを担当する計9人のサポートメンバーも参加。まずはこのサポートメンバーが登場し、ストリングスをメインとした荘厳な音色を奏でる。続いてONE OK ROCKが静かにステージに現れて椅子に座り、オープニングナンバー「We are」のパフォーマンスへ。透明感のある柔らかなアンサンブルがオープニングを彩り、盛夏のステラシアターに清涼感がもたらされた。続く「Bombs away」では客席でハンドクラップが起こり、Taka（Vo）は椅子から立ち上がって情熱的に歌唱して場内に一体感を生み出した。3曲目は2007年リリースの2ndシングル「努努 -ゆめゆめ-」のカップリング曲「カラス」だ。ストレートなバンドサウンドやシリアスな歌詞が印象的なこの曲がワンマンで披露されたのは、2013年に行われたアリーナツアー「ONE OK ROCK 2013 "人生×君=" TOUR」以来。今回の演奏ではToru（G）がアコースティックギターでイントロをつまびき、そこにTakaのエモーショナルな歌声や静謐なストリングスの音色が重なった。

MCではTakaがこのアコースティックライブのレアさを語ったあとにサポートメンバーを紹介。バンマスであり今回のライブの楽曲アレンジも担当したギタリスト・akkinは、ONE OK ROCKの結成初期から楽曲のプロデュースやアレンジを手がけている人物。彼はこの4日間について「あっという間だったけど本当に幸せだった」と振り返った。このMC中にウッドベースに持ち替えたRyota（B）は「ちゃんと弾いたことなかったけど、このライブが決まってから、モリちゃん（Taka）から『ウッドベースを弾いてほしい』っていつもの無茶振りを受けて。1回断ったんやけど、『どうしても弾いてほしい』と言われて……『それなら、時間ないけどめっちゃ練習する』と答えてけっこうやりました」と語る。Ryotaがウッドベースを使用して演奏したのは「Deeper Deeper」。この曲はウッドベースの軽やかな音色が際立つジャジーなアレンジに仕上げられ、楽曲の新たな魅力が打ち出された。さらにバンドは原曲とは大きく異なるサウンドの楽曲群をライブ中盤に配してオーディエンスを楽しませた。人気曲「Wherever you are」は夏のビーチに似合うような南国ムード漂うサウンドに。Takaはシェイカーやコンガ、アコースティックギターなどの音色に乗せてゆったりと歌い上げた。

映画「るろうに剣心」シリーズ計5作すべての主題歌を担当しているONE OK ROCK。25日の昼公演では全5曲のうち4曲を披露した。Takaはこのシリーズや主演を務める佐藤健について語る。さらに「剣心の気持ちを言葉にして歌いたいと思って、全面的に『るろうに剣心』に寄り添った曲を作ってみました」と前置きをして、バンドはシリーズの完結編となる映画「るろうに剣心 最終章 The Beginning」の主題歌「Broken Heart of Gold」を披露。哀愁を帯びたサウンドや映画の世界観に寄り添ったドラマチックなアンサンブルが場内を包み込んだ。映画「るろうに剣心」2作目の主題歌「Mighty Long Fall」はゴスペルふうのアレンジに。Takaのソウルフルな歌声とパワフルなコーラスが観客を圧倒した。セットリストの中でレアな選曲だったのは宇多田ヒカル「First Love」のカバー。ONE OK ROCKがライブで日本人アーティストの楽曲をカバーするのはこれが初となる。Takaは甘い歌声を響かせ、観客をうっとりと聴き入らせた。

ライブ終盤は普段のONE OK ROCKのライブを彷彿させる熱気あふれる展開に。「Taking Off」ではTakaが上着を脱ぎ去り、「もっと体揺らして？」「立っちゃいけないとかないからね。みんな立ってもいいんだよ」と呼びかける。これを受け、これまで座っていた観客は一斉に立ち上がり、体を揺らして演奏を楽しんだ。さらに「Renegades」ではTakaがパワフルに歌い上げ、「Stand Out Fit In」ではTomoya（Dr）がエネルギッシュなビートを刻み、観客をジャンプさせた。「Stand Out Fit In」の演奏中、Takaは「この曲は英語で歌っているけど日本人の気質満載の曲です。はみ出して馴染め。俺らもはみ出すから、お前らも馴染みながらはみ出していけ！ 自分を愛せよ。自分らしく生きろよ。戦っていきろよ！ 人生は 1回だぞ！」と観客に力強くメッセージを伝えた。彼は演奏後には「汗かいちゃったね。今回のライブで汗かくと思ってなかったんだけど、結局最後はこうなるっていう。ONE OK ROCKらしいっちゃONE OK ROCKらしい」と笑顔を見せた。そしてバンドは最後に壮大なサウンドの「Wasted Nights」をパフォーマンスしてステージをあとにした。