「浜離宮アンビエント」は東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京が主催するイベント「Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13」のプログラム「隅田川怒涛」の一環で行われたもの。ゲストには
真っ青な芝生の上に360°方位型と呼ばれる隊形を組んだ蓮沼フィルメンバー。笙演奏家の音無史哉を加えた布陣で、蓮沼が手がけるNHK総合ドラマ「きれいのくに」の劇伴「M28」でライブをスタートさせる。緑に囲まれた庭園で和装のメンバーが奏でるドラマチックな劇伴は、「浜離宮アンビエント」の幕開けにふさわしい非日常的な世界観を作り出していた。2曲目は蓮沼がフィルメンバーと完全リモートで作り上げた楽曲「Imr」。野外で合奏されることでエモーショナルなパフォーマンスが加速していき、大谷能生(Sax)はいつも以上に陽気かつ解放的なスキャットを披露した。
陽が傾き、汐留のビル越しにきれいな夕焼けが観えると蓮沼は「こんな素晴らしい庭園で、屋外で、夕焼けで、ライブができることなんてめったにない」と天候に恵まれたことを喜んで、このシチュエーションにぴったりなバラード「Eco Echo」を歌唱。昨年8月開催のオンラインライブ「#フィルAPIスパイラル」でこの曲が初披露されたときには夕焼けを思わせるオレンジの照明の中で蓮沼が歌っており、今回本物の夕焼けの下で歌唱することで視聴者に、より鮮烈な印象を与えた。
小林うてな(Steelpan)が空に月が出たことを告げたタイミングで、ゲストの寺尾紗穂、角銅真実が呼び込まる。柔らかな歌声の角銅、透明感あふれる歌声の寺尾という異なる魅力を持つ2人の女性ボーカルと共に「Meeting Place」「wannapunch! - Discover Tokyo - Sunny Day in Saginomiya」が届けられた。その後、蓮沼フィルは4月に行った東京・Bunkamuraオーチャードホール公演「○→○」にてヤン富田とのコラボレーションで披露した「centers 0」を初めて単独でパフォーマンス。さらに「centers 2」と「centers 3」の間では、本公演のために蓮沼が用意した「centers 2.5」と位置付けた新作「私は思い描く」が披露され、この曲では大崎清夏による詩とフィルメンバーが事前に書いた詩を大崎、蓮沼、寺尾、角銅がそれぞれ輪唱のように演奏に乗せて朗読していった。
最後に蓮沼は「この『隅田川怒涛』のディレクターの清宮さんが蓮沼フィルを始めて観たときに、ぜひ屋外でライブを観たいと思ったそうで、こうやって実現できてうれしいですね。また屋外やりましょう! そして今度はみんなにも来てもらって。そんな世の中がやってくることを願いながら、最後の曲をやりたいと思います」と語り、寺尾と蓮沼のツインボーカルによる「ONEMAN」を披露してライブを締めくくった。
なお本日5月23日(日)15:00からはいとうせいこうを中心としたプログラム「ことばの渡し」、18:00から和田永によるプロジェクト「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」が「隅田川怒涛」のYouTubeチャンネルで無料配信される。
蓮沼執太フィル「浜離宮アンビエント」2021年5月22日 セットリスト
01. M28
02. Imr
03. Eco Echo
04. Meeting Place
05. wannapunch! - Discover Tokyo - Sunny Day in Saginomiya
06. centers 0
07. centers 1
08. centers 2
09. centers 2.5 「私は思い描く」
10. centers 3
11. ONEMAN
※浜離宮恩賜庭園は当面の間臨時休園中
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蓮沼執太フィルが寺尾紗穂、角銅真実らと無観客の庭園に響かせた「浜離宮アンビエント」 https://t.co/pjcvHb1MhI