世界の終わり、初のホールライブで新曲続々披露

12月23日、世界の終わりが渋谷C.C.Lemonホールにてワンマンライブを開催した。このライブは秋から行われたワンマンツアーの最後を飾る、彼らにとって初のホール公演。チケットはソールドアウトとなり、会場は満員の観客の熱気に包まれた。

開演前にはステージ上の巨大LEDモニターにテロップが流れ、遊園地のアトラクションを思わせるハイテンションなアナウンスが観客に注意事項を知らせる。一瞬ステージ上が真っ白に照らされ、照明が暗くなるとメンバー4人はすでにスタンバイ済み。マジックのような演出に客席からは大歓声が沸き起こった。

1曲目「ファンタジー」のイントロが鳴り響くと、オーディエンスは一斉に手拍子。深瀬慧（Vo,G）はステージ最前ギリギリまで飛び出し会場を煽る。続く「虹色の戦争」では藤崎彩織（Piano）の奏でる音色が軽やかなビートを生み出し、LOVE（DJ）の鳴らすリズムに乗せて全員が腕を挙げる。そして中島真一（G）が早くも「新曲やりたいと思います」と話すと、観客は大喜び。ここで披露された新曲「夢（仮）」は深瀬の伸びやかなボーカルが響き渡る、前向きなミディアムチューン。間奏では藤崎がダイナミックなソロを聴かせ、観客を魅了した。

不穏なムードのライティングに照らされ、ハッピーな雰囲気から場内の空気を一変させた「世界平和」、深瀬がギターをつま弾きながら始まったイントロから壮大な展開を見せた「白昼の夢」とライブは続く。中盤のMCで深瀬は「びっくりだね、こんな大きいところでライブできるなんて。今年の初めは60人ぐらいだったのに」と、約2000人を収容するホールを見渡しながら語りかける。そして「こんなに言っていいのかってこと、でも僕たちにしか言えないことをいろいろ言った」というシングル曲「天使と悪魔」を披露。ミラーボールが輝く中、深瀬は切実な歌詞をじっくりと歌い上げた。

続く「死の魔法」では深瀬がイントロの入りを間違え、会場から笑いが起こる一幕も。「みんなすごくあったかいですね。うれしいです（笑）」と照れ笑いを浮かべた深瀬は、「次は完全に未発表の新曲をやります。今やった『死の魔法』は何かが終わっていくのが怖くて受け入れられない、という気持ちを歌ったんですけど、そのアンサーソングとして作った曲です。何かが永遠に続くことはいいことなのか、死がくれるものもある、そういう題材です」と次の曲を紹介した。ここで演奏された新曲「不死鳥」は、シリアスな曲紹介とは裏腹にアッパーでポップな楽曲。不死身のロボットと恋に落ちた主人公の永遠を願う思いと、それと対照的に“死の魔法”を願うロボットの気持ちを、歌詞の中でリアルに描いていた。

「幻の命」で宗教的な香りすら漂わせる空気を生み出した後は、いよいよ本編最後の曲に。「みんな今日は来てくれてありがとう。僕たちに会いに来てくれる人たちのおかげで、いい1年になりました」と深瀬が挨拶し、「青い太陽」が始まる。中島の鳴らすギターがさわやかに響くこの曲で、本編が締めくくられた。

アンコールで再びステージに現れた4人は、客席から飛んだ「メリークリスマス！」という言葉に笑顔を浮かべる。中島は「今日のことがあったから、全員クリスマス気分じゃなかったんです（笑）。でもこれが終わったらみんなで旅行に行きます」と話し、深瀬は「僕、いつかフェリーでライブやりたいんですよ（笑）。これを来年の抱負にします！」と夢を語って会場を笑わせた。

深瀬が「アコギをライブで弾くのは初めてです」と言って始まったのは新曲「眠り姫」。藤崎のエレピの音と深瀬のアコギのストロークから柔らかく始まった曲は、リズムとアレンジを複雑に変化させながら展開。ダイナミックな曲調は再びエレピの音に収束し、しっとりと締められた。

「今日はみんなと席が離れていて歌うのが恥ずかしいかもしれないけど、みんなで歌ってください！」と深瀬が叫んで始まったラストナンバーは「インスタントラジオ」。深瀬はいつも以上に大きな声でイントロを歌い、オーディエンスの一体感を煽る。それに応えるように会場も大合唱を繰り返す。大サビではリボンキャノンが発射され、ツアーファイナルと初のホール公演を盛大に祝福した。

世界の終わり 2010年12月23日 渋谷C.C.Lemonホール セットリスト

01.ファンタジー
02.虹色の戦争
03.夢（仮）
04.世界平和
05.白昼の夢
06.天使と悪魔
07.死の魔法
08.不死鳥（新曲）
09.幻の命
10.青い太陽
EN-01.眠り姫（新曲）
EN-02.インスタントラジオ