ツアー中止の悲しみを乗り越え念願成就、HIMEHINAが涙と笑顔の「藍の華」オンラインライブ

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HIMEHINAが2月7日に東京・チームスマイル・豊洲PITで無観客ライブ「HIMEHINA LIVE 2021『藍の華』」を開催し、その模様を生配信した。

HIMEHINA

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昨年4月リリースの1stアルバム「藍の華」を携えて、4月から5都市のZeppでツアーを行う予定だったHIMEHINA。しかしこのツアーは、新型コロナウィルスの感染が拡大していることを受けて中止になっていた。今回のオンラインライブは、ツアーが中止になってもファンに思いを届けることを諦めきれなかった彼女たちにとって、ついに実現した念願の企画だった。今回は、オンラインライブゆえ観客の生の声をステージに届けることができない代わりに、特設サイトにてファンの音声や歌声を事前に募集。これにより集まった4000人近くの声が演出に使用され、ライブ中はまるでそこに満員のオーディエンスがいるかのように大きな歓声が沸き上がった

オープニングムービーを経てステージに姿を現したHIMEHINA 。

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オンラインライブは、ガレキにもたれかかって座る2人がアルバムの1曲目「約束の血」を力なく歌うムービーでスタート。力尽きた2人はどこかに転送され、画面にはその後、2019年9月に行われた1stワンマンライブでツアーの開催を告知した瞬間の様子や、そのツアーの中止を決断した際のやりとりなどが映し出された。会場にはピアノの伴奏とともに、2人が心の内を明かすように語る「当たり前だと思っていた。会えるってことを。歌えるってことを。いや、この世界がこの世界のままでいるってことを。当たり前だと思っていた。いつから勘違いしてたんだろう。ボクらがいつか死ぬように、この世界にも永遠なんてなかったんだ。正直、ボクらが引き裂かれることなんてないと思っていた。悔しかったよ。悲しかったよ。積もりに積もった想いを取り返したくて諦めたくなくてさ。あのね……会いたかったんだ」という言葉が響く。そして2人が「聞かせてよ。命ある限り歌うからさ。生命の声を聞かせてよ!」と呼びかけると、それに応えるようにたくさんの人々が一斉にカウントダウンをする声が。その後HIMEHINAの2人がステージに現れ、数字がゼロになると同時に「藍の華」のパフォーマンスをスタートさせた。

ARにより大量の視聴者コメントが浮かぶ会場フロア。

ARにより大量の視聴者コメントが浮かぶ会場フロア。[拡大]

続けて彼女たちは、ライブ当日より配信中のHIMEHINA流ウエディングソング「相思相愛リフレクション」を初披露。「ヒトガタRock」や、ちょうどこの日にYouTubeの再生数が500万を突破した「ヒバリ」といった人気曲を連発し、2人は時に激しい掛け合いを繰り広げながら、美しいハーモニーを響かせた。無人のフロアには、視聴者が書き込んだコメントをARで映した大量のウインドウが浮いており、まるでそこに観客がいるかのよう。事前に集めたリアルな歓声により、画面越しには無観客とは思えないほどの熱狂がライブハウスを包んだ。

「夢景色」でのサプライズの瞬間。

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その後も彼女たちは、アルバム「藍の華」の収録順に構成したセットリストでライブを展開。曲の合間にポエトリーリーディングのような2人の語りをはさみながら進行し、これによりライブのストーリー性と世界観がより強固になっていた。バラード「夢景色」では、曲の終盤で2人とも涙で声を詰まらせながら歌い上げるというひと幕も。2人が泣いた理由は、リハーサルではスクリーンに歌詞が流れていたのに、本番ではファンから届いた大量の応援メッセージが表示されたため。彼女たちは突然のサプライズに感動し、曲が終わるとスタッフに向けて「聞いてないよ!」「やってくれたな!」と言いながら泣き笑いをしていた。

「真剣!ジョジリ場!」の様子。

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ライブが折り返し地点を迎えると、2人がジョジ民(HIMEHINAファンの呼称)とコミュニケーションするコーナー「真剣!ジョジリ場!」がスタート。このコーナーは、出されたお題に対してそれぞれがどう思うのかを、視聴者の書き込みを読みながらディベートをするというもの。今回は「どっちが面白い?ドッキリVSホラー」というテーマで舌戦が繰り広げられた。勝敗はニコ生のアンケート機能を使って視聴者投票で決まり、得票数はドッキリ派の田中ヒメが49.2%、ホラー派の鈴木ヒナが50.8%と超僅差となった。ヒメは負けたものの、連敗しているこれまでの「ジョジリ場」の中でも一番の接戦だったことから、悔しがりつつも少しうれしそうにしていた。ここまで「藍の華」の楽曲を収録順に披露してきたが、一旦ストップしてここからはカバー曲を連発。Orangestar「アスノヨゾラ哨戒班」、Eve「アウトサイダー」、かいりきベア「ベノム」、みきとP「ロキ」を楽しげに歌い踊ったのち、YOASOBI「夜に駆ける」を披露すると、配信のコメント欄は驚きの声で満たされた。

ソロ曲「キセキ色」を歌う田中ヒメ。

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ソロ曲「ユメミテル」を歌う鈴木ヒナ。

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「夜に駆ける」が終わると2人は一旦ステージの袖へ。スクリーンにはヒメとヒナそれぞれへのインタビュー映像が流れ始め、2人は「初めての作詞の感想を教えてください」「タイトルに込めた想いを聴かせてください」といった質問に対してアーティスト然とした態度で答えていく。その後、ヒメは「キセキ色」、ヒナは「ユメミテル」とそれぞれが自ら作詞したソロ曲を1人ずつ披露した。

「My Dear」を歌い終えたHIMEHINA。

「My Dear」を歌い終えたHIMEHINA。[拡大]

たくさんのジョジ民たちから集めたパワーを解き放つように、「うたかたよいかないで」では2人の歌声に大合唱が重なり、「ララ」ではシンガロングが発生。無観客ライブでありながら、会場は観客との一体感で満たされていた。「ララ」を歌い終えった2人はステージ上の更衣室に入って衣装チェンジ。その間にスクリーンに、2人が「シメサバの最期は光ってた 腐ってた なんて知らなかった」と「アダムとマダム」の替え歌を歌う映像が上映された。そして無事着替えを終えた2人が登場し「アダムとマダム」を熱唱。さらに代表曲「ヒトガタ」に突入し、配信のチャット欄への書き込みは一気に勢いを増した。そして2人は白いワンピースに着替え、水平線に浮かぶ大きな月を背にしてバラード「My Dear」をしっとりと歌い上げる。この曲の間奏で2人は「今日は来てくれて本当にありがとう」「このアルバムのライブなんてもうできないかと思ってたけど、こうやってみんなに届けることができてすごくうれしかった」と視聴者に語りかけ、曲が終わるとステージ中央のベンチに着席。ベンチは2人を乗せたまま上昇し、そのまま空に消えた。

アンコールを求める観客の声。

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視聴者のアンコールを代弁するように、たくさんの人々がオルゴールの音に合わせて「うたかたよいかないで」を合唱する声が会場に響き始める。するとHIMEHINAの2人は、「ヒトガタ」に通づる世界観を持つハードな新曲「フリコドウル」を初披露しながら、ゴンドラに乗って天井からステージに降りてきた。突然の新曲に配信のコメント欄が沸く中、2人はクールなパフォーマンスを展開。さらにとどめを刺すように2人はGigaのカバー「劣等上等」を熱唱した。

最後のMCで、ヒメは泣きながらこの1年を振り返り「アルバムを出してから、ライブをして歌を届けたい、みんなと共有したいっていう気持ちがずっとずっと毎日募ってて、今日を迎えられるのが本当に本当に楽しみでした」「これから先どうなるかわかんないけど、できる限りのことを全力で、死にものぐるいでやるし、どんどん挑戦もしていきたいし、何よりみんなに会いたいって思うから、これからもがんばるから付いてきてくれたらうれしいな」とコメント。ヒナはこの日のライブの序盤をYouTubeで無料配信していたことに触れて「無料しか観れなくてゴメンとか、グッズ買えなくてゴメンとか謝られるけど、それでもヒナたちが好きならみんなジョジだし、みんなの好きなスタンスで応援してほしいって思ってる。生配信を最後まで観れなくても全然ゴメンじゃないし、あなたがヒナたちを思い思いに楽しんでくれたらそれが一番うれしいから、あなたの中でマイペースに好きでいてくれたらうれしいな。応援してくれることがつらくなってほしくないし、ヒナはあなたの支えになりたいから」と視聴者にメッセージを送った。

「水たまりロンド」を歌うHIMEHINA。

「水たまりロンド」を歌うHIMEHINA。[拡大]

HIMEHINA

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そして2人は「今は世界が大変な状況になってるけど、こんな状況もいつか晴れる」という気持ちを込めて、土砂降りの雨に打たれながら「水たまりロンド」を歌唱。さらに、銀テープがフロアに発射されたのを合図に「Mr.VIRTUALIZER」でライブは締めくくられた。なおライブ終了後に彼女たちは、HIMEHINAの2ndアルバム「希織歌」が5月26日にリリースされることと、これを記念したライブ「希織歌と時鐘」を6月27日に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで行うことを告知した。

HIMEHINA LIVE 2021「藍の華」2021年2月7日 チームスマイル・豊洲PITセットリスト

01. 約束の血
02. Introduction:生命の声
03. 藍の華
04. 相思相愛リフレクション
05. ヒトガタRock
06. ヒバリ
07. ライライラビットテイル
Int:Electron II
08. 琥珀の身体
Int:Honey
09. 溺れるほど愛した花
Int:Everlasting Scene
10. 夢景色
11. アスノヨゾラ哨戒班(Remix)
12. アウトサイダー
13. ベノム
14. ロキ
15. 夜に駆ける
16. キセキ色
17. ユメミテル
18. Bridge : HIMEHINA SINGLE Medley
19. うたかたよいかないで
20. ララ
Int:NamidaGanges
21. アダムとマダム
22. ヒトガタ
Int:What i am
23. My Dear
<アンコール>
24. フリコドウル
25. 劣等上等
26. 水たまりロンド
27. Mr.VIRTUALIZER

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