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Maison book girlが血まみれで絶唱、満員の観客を緊張感で満たした渋谷公会堂ワンマン

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Maison book girl(撮影:稲垣謙一)

Maison book girl(撮影:稲垣謙一)

Maison book girlが本日1月5日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でワンマンライブ「Solitude HOTEL ∞F」を開催。2015年3月に「Solitude HOTEL B1」を行って以来、単独公演としては最大規模の会場となったが、チケットは完売し、客席はたくさんのファンで埋め尽くされた。

まだ開演前にも関わらず会場内には、ステージの幕に投影された「Solitude HOTEL ∞F」という文字がぼんやりとにじむほどに、スモークが濃く焚かれていた。そしてライブが始まると、静かに荒れる海の波の映像を映した透過スクリーンがステージ中央に登場。1曲目「海辺にて」でスクリーンの向こう側にメンバー4人が姿を現し、まるで映像の一部と化して海の底を漂っているかのような状態で、彼女たちは軽やかな足取りで踊りながら力強く歌った。

続く「闇色の朝」でも、ミュージックビデオが流れるスクリーンの裏側で歌っていた彼女たちだったが、MVの構成と同様に序盤で曲が唐突にストップ。一瞬の暗転ののち、彼女たちはスクリーンの手前に移動して、ここで初めて遮るものなく観客にその姿を見せた。またこの曲の終盤のブレイク部では、まるでメンバーの体を這い回る虫のように、無数の光の粒がステージに照射された。曲中に頻繁に入るブレイクが印象的な「rooms」は、曲の後半の無音部分が通常よりも長く設けられた。

その後もライブは、12月発売の最新アルバム「海と宇宙の子供たち」の収録曲を中心としたセットリストで進行。リズムに合わせて左右交互から光を当てることで不思議な浮遊感を生み出した「狭い物語」など、曲の展開やメンバーの動きにシンクロしたライティングが、4人のダンスをよりスタイリッシュに彩っていく。「狭い物語」のラストで力いっぱい熱唱した4人は、力尽きるように全員その場で倒れ、起き上がった矢川葵と和田輪はアカペラで「夢」の冒頭を歌唱した。

感情を爆発させるように歌う「長い夜が明けて」や、オクターブ違いのハーモニーを美しく響かせる「LandmarK」などを経て披露されたのは、最近のライブでメンバーが観客に対して振り付け講座を行っていたポップチューン「ノーワンダーランド」。ほとんどの観客はここまで一言も発さずに集中してじっとステージを観ていたこともあって、あまりの緊張感にこの曲で振りコピをすることを躊躇するような雰囲気があったが、ブクガの4人は続けて「my cut」を繰り出し、追い打ちをかけるように「オイ! オイ!」と客席を煽った。いよいよ観客が腕を上げて盛り上がり始めたさなか、曲の途中で音がブチブチと途切れだし、透過スクリーンに砂嵐のようなノイズが流れ始め、そのまま「my cut」のバラードバージョンである「MORE PAST」に突入。神秘的で緊張感のある「Solitude HOTEL ∞F」の世界に再び観客を引き戻した。

「レインコートと首の無い鳥」のイントロが流れ始めると、メンバーの手前に吊るされていた透過スクリーンが彼女たちの首の高さまで上昇し、正面から見るとまるで4人が首なしのような状態に。さらに曲中でペストマスクを付けた怪しげな人物がステージに登場。メンバーはその存在に気付かないかのようにパフォーマンスを続けるが、ペストマスクの人物は4人に近付き、彼女たちのフォーメーションを崩していく。その後にスタートした「karma」は、トラックだけを残して歌詞と振り付けを「cloudy irony」に差し替えた、観客の意表を突くアレンジが施されていた。

続く「water」は音源ではポエトリーリーディングの楽曲だが、この日は朗読なしで、4人が1人ずつスポットライトを浴びながらソロダンスパフォーマンスを披露。正面からライトを当てて背後のスクリーンに自分たちの影を大きく映しながら歌う「シルエット」や、コショージメグミが1人でしなやかに舞い踊る中でほかの3人が本を手に朗読する「思い出くん」など、ライブの終わりが近付く頃には4人のステージングがますます神秘的な雰囲気をまとい始める。

そして「bath room」が始まるが、イントロが逆再生されており、冒頭から不穏な雰囲気に。序盤こそ通常通りのパフォーマンスが行われていたものの、時間が進むにつれてだんだん曲のテンポが遅くなり、最終的に曲の体をなさなくなるほどにスローになってしまった。ステージの両端では、コショージが「君を見ていた!」、和田が「見たくなかった!」と、それぞれ泣き崩れそうなテンションで何度も絶叫。4人は血糊を浴び、真っ白だった衣装を赤く染めた。ライブ演出の狂気が頂点に達したここで、最後の曲「悲しみの子供たち」がスタート。彼女たちはリミットを外すように感情を込め、叫び声にも似た歌を渋公の広いホールに響かせた。曲が終わった瞬間、背後のスクリーンに「Solitude HOTEL ∞F」という文字が映し出され、この日初めて客席から盛大な拍手が沸き起こった。そしてメンバーは観客に一礼して退場。MCなし、アンコールなしの約1時間半のワンマンライブは、来場者に深い余韻を与えて終幕した。

なお終演後、ステージのスクリーンでは、ブクガのベストアルバム「Fiction」がリリースされることが告知された。

Maison book girl「Solitude HOTEL ∞F」2020年1月5日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)セットリスト

SE. 風の脚
01. 海辺にて
02. 闇色の朝
03. rooms
04. 狭い物語
05. 夢
06. 長い夜が明けて
07. LandmarK
08. 鯨工場
09. ノーワンダーランド
10. my cut
11. MORE PAST
12. レインコートと首の無い鳥
13. karma(cloudy ironyバージョン)
14. water
15. シルエット
16. 思い出くん
17. ランドリー
18. bath room
19. 悲しみの子供たち

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