タイトル通り“4年以上行ってない県”のホールを中心に、4月から各地を回ってきたゴールデンボンバーの4人。ラストを飾った神戸公演ではアリーナ会場の特性を生かした演出、彼ららしい悪ノリ全開のMC、そしてサービス精神旺盛なステージで3時間近くにわたってファンを楽しませた。
ライブは喜矢武豊(G)特製のダンボールワゴンにメンバーが乗り込み、全国津々浦々を巡る様子を追ったオープニングムービーでスタート。ポルノグラフィティのヒット曲「幸せについて本気出して考えてみた」の替え歌「地方民について本気出して考えてみた」をバックに、ときに牛に道を阻まれ、ときに熊と遭遇し、さらにはその肉を焼いて食らうメンバーの姿が映し出される。そして、ダンボールワゴンに乗車した作業着姿の4人がステージに登場すると、ホール中にオーディエンスの大歓声が響いた。「ワンマン不安」のトラックが流れる中、メンバーはいそいそと作業着を脱ぎ、衣装に早着替え。観客とコール&レスポンスを繰り広げながら、ワンマンライブに対する恐怖心を歌ったナンバーを投下。続く「やんややんやNight ~踊ろよ兵庫~」では鬼龍院翔(Vo)とオーディエンスが見事なデュエットを披露し、会場は力強い一体感で包まれた。
鬼龍院は「ようこそ! (11月16日の)無人島ライブはどうなるかわからないので、実質これがファイナルです。チケットが取れなかった人も大勢いると聞いています。そういう人の生き霊を背負って、僕らは燃え尽きる気でおります」と宣言すると、メンバーに自己紹介するよう促した。喜矢武は「皆さんの毛根は元気ですか? 今日、僕はメイクさんに『髪の毛増えたね』って言われました!』と弾けんばかりの笑みを浮かべ、「ツアー中はご当地の名産を食べるのが好きで、今日はご飯に合う名産を食べに来ました」と神戸名物を食べる気満々であることをアピール。歌広場淳(B)はこの日が“有人島ライブ”のファイナルであることを宣言して「フゥー!」と歓声を浴び、「こんなつもりはなかった!」と予想外の反応に照れまくる。樽美酒研二(Dr)は地方では蛍が見られると語り、「皆さん、蛍を見たいですか? 本当に見たいですか?」と観客にしつこく念押し。多くの賛同の声を受け、「今日は皆さんで呼び寄せてみませんか? 信じていれば必ず会える……」と胸に手を当てながら微笑んだ。
意味深なトークに続いた「抱きしめてシュヴァルツ」では、喜矢武が山盛りの白米と神戸プリンを苦悶の表情を浮かべながらかっ込み、蛍光イエローのTバックを着用した樽美酒が臀部に黄色い蛍光塗料を塗り、蛍に扮して優雅に宙を舞う。曲が終わった瞬間、歌広場は喜矢武に向かって「目が死んでた!」と言い放ち、鬼龍院は「ほかにもご飯に合う名産があるのに、なんでプリン? プリンは単体ならおいしいのに」と呆れ顔。喜矢武は「全国でいろんなものを食べてきたけど、この組み合わせは頭がクラクラした」と本音を漏らした。喜矢武はその後も地方ネタを盛り込んだトークを続け、「ツアーを回って一番思ったのは、地方はファッションが時代遅れ! それすらいいことだと思ってますけど」と苦し紛れのフォローを入れつつ「やさしくしてね」につなげた。同曲を経ての「また君に番号を聞けなかった」では、ギターソロの最中に「ファッションモール」なる建物が登場。喜矢武はその中から奈良時代や弥生時代の服装に身を包んで現れ、鬼龍院に「時代遅れすぎ!」「もういい!」とツッコミを入れられる。終いには股間に葉っぱ1枚のみを付けた喜矢武、歌広場、樽美酒が満面の笑みで登場。3人がさまざまなポーズで肉体美を見せつける中、鬼龍院は苦笑いをしていた。そんな鬼龍院も「令和」のトラックが流れ始めると服を脱ぎ、葉っぱ1枚のみの姿に。そして4人は今年を象徴するナンバーを全力で届けた。
4人が退場したのを合図に、スクリーンにはメンバーがリレー形式で執筆した台本を基にした劇の上演がアナウンスされる。上演直前にはインタビュー映像が流れ、その中で鬼龍院が「ほかの人たちは何もできないんだから」と断言する一方で、歌広場は「自信はあります。僕が書いたところは明らかにレベルが違うと思う」と胸を張る。また樽美酒は演劇における起承転結の意味を問われるも適当な回答を繰り出し、喜矢武は鬼龍院の名前を「鬼龍院ション」と言い間違えたままインタビューを打ち切られ会場を不安に陥れた。
そうして始まったのは男子校の学園祭を舞台にしたサスペンス。鬼龍院が執筆した第1話では、ゲイで友人同士の鬼龍院と歌広場が歌舞伎部の発表会に足を運び、鬼龍院はブリーフ1枚の喜矢武に、歌広場がショッキングピンクのTバック姿の樽美酒に一目惚れするというストーリーが展開される。第1話のクライマックスでは、鬼龍院が喜矢武の美しい殺陣とさわやかな笑顔に見惚れる中、「愛してると言えなくて」が情感たっぷりに歌い上げられた。歌広場が台本を担当した第2話では、発表会の打ち上げに誘われた鬼龍院が部室に行くシーンでスタート。鬼龍院が部室に足を踏み入れると、全裸の喜矢武の横に、樽美酒の名前入りのブリーフを喉に詰まらせた歌広場が死んでいた。ショッキングな場面に出くわした鬼龍院が歌い出したのは、「死 ん だ 妻 に 似 て い る」。歌広場はブリーフをくわえたままキレのあるダンスを披露し、観客の視線を釘付けにした。
樽美酒が担当した第3話は、喜矢武が「台本の都合でなぜか全裸にされたんだ!」と不満げに叫ぶシーンで幕を開ける。そこから鬼龍院と喜矢武が歌広場を生き返らせるために、“ゴールデンボール”なるものを探しに行くというRPG的な展開に突入した。長い旅路が待ち受けているのかと思われたが、“ゴールデンボール”はいとも簡単に見つかり、鬼龍院がオナラを球に吹きかけるとどんな願いも叶えてくれる恐竜の子供“ガチュピン”が降臨。しかし、鬼龍院が願いを口にしようとした瞬間、突然樽美酒が現れ「イチローのサインボールが欲しい!」と願い事を横取り。その切ない展開を引き立てるように「片想いでいい」が第3話のクライマックスを彩った。
そして、喜矢武執筆の第4話で混沌とした物語は佳境へ。歌広場を殺した容疑者として検挙されていく樽美酒だが、本人は「俺はやってないんだ! 誰かにハメられたんだよ!」と容疑を否認。その言葉を受けて、青ジャケットに水色の半ズボン姿の「名探偵エロ川コカン」に扮した歌広場が颯爽と現れた。股間を膨らませた“コカン”があっさりと真犯人が喜矢武であることを暴くと、喜矢武は「許せなかったんだ……さっきまで葉っぱ1枚だったのに、ブリーフにもなったのに、俺を全裸にしたあいつの台本が! 理由もなく最後まで全裸でいなくちゃいけなくしたあいつの台本も! 服を着たい……」と歌広場と樽美酒を恨めしそうににらんだ。すると、鬼龍院が「むしろ裸の豊さんのほうが好きだ!」と叫び、全員が股間のみを隠したほぼ全裸の状態に。笑いが起きる中で「やっぱりゴールデンボンバーは下ネタと裸が好きだった……すみません」という鬼龍院のモノローグが流れ、「世界平和」のパフォーマンスをもって劇は締めくくられた。
飛び道具的な演出が続いた前半から一転してライブの後半では、「ガガガガガガガ」を皮切りにアップテンポな楽曲や激しいナンバーを間髪入れずに投下した4人。「ぼくの世界を守って」ではトロッコに乗り込んで観客とのコミュニケーションを楽しみ、ファン心理を突いた歌詞が魅力の新曲「かまってちょうだい///」ではコール&レスポンスを行い会場をひとつにする。さらに「暴れ曲」「†ザ・V系っぽい曲†」でヘッドバンギングの嵐を巻き起こし、トドメとばかりに「イヤホン」を叩き込んでステージをあとにした。
アンコールの1曲目は、ライブにおいてヘッドバンギングを繰り返し、首などが痛くなることを歌った「首が痛い」。クールな表情で歌詞とリンクした振り付けを踊ったあと、鬼龍院は「なんて当たり前の歌だろう」とつぶやき観客の笑いを誘った。また喜矢武はアンコールでも地方の魅力について語り「地方で一番好きなのところは空気がおいしいこと!」と熱弁。続く「きかせて!アンコール」では空気を吸い込みすぎて腹が破裂するも、アイロン型の蘇生装置で息を吹き返すという茶番で爆笑を巻き起こした。そして「女々しくて」のにぎやかな余韻を残しつつ、4人はダンボールワゴンに乗り込み退場。続いてスクリーンにはメンバーが無人島に向かっていく様子が映し出された。
映像が終わったあとも拍手は止まず、メンバーは早々にファンの前に帰還。鬼龍院は「今言えることは『紅白』出たいなあ、くらいで。あとアルバム作ってますってことくらいかな?」と今後について言及し、できたての新曲「犬じゃあるまいし」を披露した。そして、もうひと盛り上がりとばかりに4人はトロッコに乗り込みラストナンバーの「Sick Lady たぶん...」を全力でパフォーマンス。メンバーは約3時間のステージを終えたあとも記念撮影の時間を設けたり、客席に降りてファンに挨拶をしたり、最後の最後までファン思いの一面をのぞかせていた。
ツアー本編を終えたゴールデンボンバーは、11月16日にツアーの特別公演として無人島・沖ノ島で無観客ライブを行い、その模様をLINE LIVEで生配信する。これまでも前代未聞の企画で多くのファンを驚かせてきた4人が何をするのか期待しておこう。
ゴールデンボンバー「地方民について本気出して考えてみた~4年以上行ってない県ツアー~」2019年11月3日 神戸ワールド記念ホール セットリスト
01. ワンマン不安
02. やんややんやNight ~踊ろよ兵庫~
03. 抱きしめてシュヴァルツ
04. やさしくしてね
05. また君に番号を聞けなかった
06. 令和
07. 愛してると言えなくて
08. 死 ん だ 妻 に 似 て い る
09. 片想いでいい
10. 世界平和
11. ガガガガガガガ
12. ぼくの世界を守って
13. かまってちょうだい///
14. 暴れ曲
15. †ザ・V系っぽい曲†
16. イヤホン
<アンコール>
17. 首が痛い
18. きかせて!アンコール
19. 女々しくて
<ダブルアンコール>
20. 犬じゃあるまいし
21. Sick Lady たぶん...
※記事初出時、写真キャプションに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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- ゴールデンボンバー Official WebSite
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(^-^)👹 @15sil80
【ライブレポート】ほぼ裸!下ネタ三昧!ゴールデンボンバー「地方民について本気出して考えてみた」終幕 https://t.co/Kqx3SA3ftK