アニバーサリーイヤーを飾る今回のライブには、全国から約2万5000人のファンが集結した。会場の舞洲はライブ開催直前に発生した台風6号の影響により断続的に強い雨に見舞われたものの、16時過ぎには雨が上がりときどき薄日も差し込む中でライブが開演した。
天井に「プログラム 15th」のロゴをあしらった大きなフラッグが掲げられたステージに、鈴木貴雄(Dr)、田淵智也(B)、斎藤宏介(Vo, G)の3人はいつも通りに登場。ステージ左右に設置された大型ビジョンに3人の表情がそれぞれ映し出されると、2万5000人から大歓声が沸き起こる。そして斎藤のアカペラから始まった「お人好しカメレオン」の、夕方の空気を思わせる柔らかなサウンドでライブの幕は開けられた。その後「シャンデリア・ワルツ」「君の瞳に恋してない」の軽快なビートでオーディエンスを揺らすと、斎藤は「今日は長いよ?」と告げ、会場の期待を煽った。
クールな前半のサウンドからの展開で観客を圧倒した「流星のスコール」、ダンサブルなリズムに乗せて大勢の腕が上がった「instant EGOIST」と、3人は15年の歴史を飾るさまざまな時代の楽曲を届けていく。一呼吸置いたあとは夏の野外にぴったりな「8月、昼中の流れ星と飛行機雲」を演奏し、舞洲をロマンチックな空気に染めた。かと思うと続いては「オトノバ中間試験」をドロップして観客を再び踊らせるなど、3人は自由自在に会場を翻弄していった。
中盤で披露されたのはバンド結成10周年の際に発表された曲「プログラムcontinued」の歌詞を、結成15周年にあたって書き換えた「プログラムcontinued(15th style)」。斎藤が「今日ぐらいは祝ってくれないかな」と歌うと、その声に応えるようにオーディエンスが大きな拍手を贈り、3人も晴れやかな表情でアウトロを奏でる。曲が終わると観客からは「おめでとう!」という祝福の声が飛んでいた。
大阪湾の上空を覆う雲の隙間から真っ赤な夕日が差す中、披露されたのは「黄昏インザスパイ」そして「春が来てぼくら」。歌い終えた斎藤は「いやあ降ったね! 降ったけど止んだね!」とこの日の天気の移り変わりを振り返り、美しい夕日に目を細めた。その後斎藤は「UNISON SQUARE GARDENは昔からちゃんとしてたかというと全然そんなことなくて。今だから話せる黒歴史だけど、僕らはインタビューなんかで『(ライブで)煽るのってダサくないですか?』とか偉そうに言ってるけど、初期の頃は僕らも煽ってました(笑)」と結成当初のエピソードを明かし、当時の田淵によるフロアの煽り方、ドラムセットに飛び込んで流血していたという鈴木の様子を語ってファンを笑わせる。田淵は思い出せないかのように首をかしげ、鈴木は苦笑いしてさらなる笑いを誘った。
「大人になりましたが、次の曲は当時を思い出してインディーズの頃にやっていた曲を」という斎藤の言葉に続き、「水と雨について」が演奏される。シリアスな雰囲気を作り出すアンサンブルを聴かせたのちは「harmonized finale」で再び会場を華やかに盛り上げた。鈴木のドラムソロではビジョンに映し出される鈴木の華麗な手技の合間に、徐々に満ちていく月の映像が挟まれる。鈴木のドラムも独特な浮遊感を醸し出すリズムからどんどん熱量を上げていき、オーディエンスを大いに興奮させていた。
「天国と地獄」「fake town baby」「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」とライブに欠かせないアッパーチューンが連投されると、観客のテンションはピークに。田淵は高々と脚を上げながらグルーヴィなベースラインを奏で、会場をさらにヒートアップさせた。バンドを代表する楽曲となった「シュガーソングとビターステップ」を終えたあと、斎藤は改めて15年間を総括し、自分たちのためだけに音楽を続けてきたらファンや素晴らしいスタッフが増えたと語る。そして「僕たちを好きな人のことはできるだけ大切にしたい、その方法を僕は知ってます。それはこれからも自分のために音楽を続けること、そうやっていけばずっと『いいバンドだな』と思い続けてくれるんじゃないかと思っています」と自身の思いを明かした。
ここで斎藤は「2人もなんか喋る?」と鈴木と田淵に話を振り、普段のライブではまったくMCをしない2人がマイクへと向かった。鈴木は「こんな才能のある2人に囲まれて、俺のことを見捨てないでくれたわけですよ。人間的なことで言ったら見捨てられてもおかしくなかったなと思うんですけど」と15年間を共にした斎藤と田淵に感謝の気持ちを述べ、「今日のライブ、カッコいいわ。自分とチームが本当に誇らしいです。これからも自分勝手に楽しいと思うこと、カッコいいと思うことを突き詰めていきます」と15周年の決意を語った。田淵はしばらくマイクに向かって黙ったあと、「UNISON SQUARE GARDENちゅうのは、すげえバンドだな!」と2万5000人を見渡しながら述べ、「今日はよく来た!」とファンへの感謝を短い言葉で明かした。
終盤では「桜のあと(all quartets lead to the?)」そして「オリオンをなぞる」と、ユニゾンの名を知らしめるきっかけとなった2曲を連続で披露し、発表当時よりブラッシュアップした演奏で15年のキャリアを感じさせる。熱狂のうちに最後に演奏されたのは、メジャーデビューシングル「センチメンタルピリオド」。15周年ライブのラストにふさわしい選曲にオーディエンスは大喜びし、笑顔の3人が放つサウンドを全身で受け止めていた。
アンコールなしで全26曲にわたるライブが終演すると、大型ビジョンに映し出されたカウントに合わせて15発の花火が打ち上がった。15発目が華々しく上がると、ビジョンには「Thank You 15th Anniversary! See You Next Live!」の文字が現れた。
15周年ライブを終えたユニゾンは8月28、29日にトリビュートアルバムの発売を記念したスペシャルライブ「Thank you, ROCK BANDS! ~UNISON SQUARE GARDEN 15th Anniversary Tribute Live~」を東京・新木場STUDIO COASTで開催。9月27日からファンクラブ限定ツアー「Bee-side Sea-side U-side」、11月14日から全国ホールツアー「UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2019『Bee side Sea side ~B-side Collection Album~』」を開催する。
UNISON SQUARE GARDEN「プログラム 15th」2019年7月27日 舞洲スポーツアイランド 太陽の広場 特設会場 セットリスト
01. お人好しカメレオン
02. シャンデリア・ワルツ
03. 君の瞳に恋してない
04. 流星のスコール
05. instant EGOIST
06. リニアブルーを聴きながら
07. Invisible Sensation
08. 8月、昼中の流れ星と飛行機雲
09. オトノバ中間試験
10. カウンターアイデンティティ
11. Catch up, latency
12. プログラムcontinued(15th style)
13. 黄昏インザスパイ
14. 春が来てぼくら
15. 水と雨について
16. harmonized finale
17. cody beats
18. 10% roll, 10% romance
19. 天国と地獄
20. fake town baby
21. 徹頭徹尾夜な夜なドライブ
22. シュガーソングとビターステップ
23. さわれない歌
24. 桜のあと(all quartets lead to the?)
25. オリオンをなぞる
26. センチメンタルピリオド
リンク
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- 15th Anniversary | UNISON SQUARE GARDEN
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