星屑スキャット、有楽町でエレガントなひととき「化粧室で逢いましょう」

女装家のミッツ・マングローブ、ギャランティーク和恵、メイリー・ムーからなるボーカルグループ・星屑スキャットが、6月9、10日に東京・COTTON CLUBでワンマンライブ「星屑スキャット LIVE2018 化粧室で逢いましょう」を開催した。

今年4月、グループ結成13年目にして初のオリジナルアルバム「化粧室」を発表した星屑スキャット。近年はNHK BS「The Covers」へのレギュラー出演などをきっかけに、高度なハーモニーを操る歌唱力と歌謡曲の魂を受け継ぐポップセンスで幅広い層から厚い支持を集めている。アルバム発売を記念した今回のワンマンライブでは、アルバム収録曲を中心にカバー曲を交えたおよそ90分のショーが2日間で合計4回に渡って繰り広げられた。ここでは初日の第2部公演をレポートする。

大きな歓迎の拍手が鳴り響く中、客席通路を歩いて登場したミッツ、ギャランティーク、メイリーの3人はマイクスタンドの前に立ち、まずは森雪之丞作詞の「ご乱心」を歌う。ハンドマイクに持ち替えての「ANIMALIZER」では立ち位置をめまぐるしく入れ替えながらなまめかしいダンスも披露。ミッツは「待ち合わせ時間通りに来てくれてありがとう」とライブタイトルにちなんだ感謝の言葉を投げかけた。エレポップ調の「波の数だけターコイズ」に続いて歌われたのは、ミッツが「いつか歌いたいと思っていた」という南野陽子「パンドラの恋人」のカバー。さわやかさも感じる夏のラブソングが、星屑スキャットらしい濃厚な味わいへと変化していた。

冒頭4曲を歌い終えたところで、3人はバンドメンバーの上田禎（Key, G）、豊福勝幸（B）、脇山広介（Dr）を呼び込み、ここから生演奏のコーナーへ。「私たちの原点である昭和の歌謡曲を」とチョイスされた楽曲は、島倉千代子の1968年のヒット曲「愛のさざなみ」と、少年隊が1987年に発表したバラード「君だけに」。美しいハーモニーで場内を包み込んだ星屑スキャットはここで一旦ステージを離れ、バンドメンバーが小粋なインストを演奏する間に白いドレスへと衣装をチェンジした。ラテン調の演奏とスキャットでおしゃれにアレンジされた細川たかし「北酒場」のカバーでライブを再開させた3人は、アルバム収録を泣く泣く見送ったというシングル「コスメティック・サイレン」のカップリング曲「ニュースな夜」をジャジーな演奏に乗せてパフォーマンス。天井ではミラーボールがまばゆい光を放ちながら旋回し、ドリーミーなムードを作り上げた。

バンドメンバーを見送り、再び3人のみに戻った星屑スキャットは、アルバム「化粧室」に収録された新曲「降水確率」、1970年代後半のソウル / ディスコを想起させる「星屑スキャットのテーマ」、ミッツのソロナンバー「東京タワー」の3曲を連続で披露した。幕間にはドラァグクイーンのディタ・スターマイン、渦潮つば子、胡蝶蘭の3人が「星屑たちが化粧直ししている間に、こちらのスイーツをご紹介しましょう」とスポンサーであるシェルティの銘菓・大阪メープルフィナンシェをエレガントに紹介。3着目の衣装に着替えた星屑スキャットは、さらに「愛のミスタッチ」「半蔵門シェリ」「マグネット・ジョーに気をつけろ」「コスメティック・サイレン」とアルバム収録ナンバーを熱唱。「コスメティック・サイレン」では曲中に少年隊の「仮面舞踏会」を挟み込むというスペシャルな演出も見られた。そして最後は、ミラーボールの光に照らされながらの「REMEMBER THE NIGHT」でフィニッシュ。アンコールでは、「この曲は私たちにいろんな景色を見せてくれました。ぜひ皆さんも私たちを素敵なところへ連れていってくださいね。出会いと宝物をくださった曲です」と、彼女たちのファンであるリリー・フランキーが歌詞を書き下ろした8分を超えるバラードソング「新宿シャンソン」が歌われた。

また今回のライブでは、9月に再び2DAYSワンマンを行うことがアナウンスされた。次回ライブのタイトルは「星屑スキャットLIVE2018『惑星たちのダンステリア』」。9月29、30日に東京・クラブeXにて、2日間で合計3公演が予定されている。