このツアーは最新アルバム「KINGDOM」を携え、今年1月にスタート。約3カ月のツアーを締めくくる約5年半ぶりの武道館ライブはIKE(Vo)の誕生日当日に行われた。
開演時刻を迎え、ステージ前方の紗幕にはオープニングムービーが映し出される。それを透かすようにしてメンバー4人の姿が浮かび上がると、客席からは大歓声が沸き起こった。UZ(G)の鮮烈なギターイントロに続き、紗幕が落とされて始まった1曲目は「THE WORLD IS MINE」。武道館を揺らすヘヴィなサウンドに、オーディエンスは大きなかけ声で応えた。
「ようこそ、SPYAIRのライブへ!」というIKEの言葉のあとは「RAGE OF DUST」へ。間奏ではKENTA(Dr)、MOMIKEN(B)、UZが華麗なソロを披露し、場内の熱気をさらに高めた。ステージ両端の花道を駆け抜けながら煽るIKEにあわせて、観客が何度も叫んだ「イマジネーション」「アイム・ア・ビリーバー」が終わると、KENTAのパワフルなドラムとサポートメンバーの高藤大樹(Key)の軽やかなピアノから「C!RCUS」が始まる。ダンサブルなリズムに、観客も心地よさそうに身体を揺らした。
アッパーチューンの連投から一転し、続いて始まったのは「君がいた夏」。力強くも温かいサウンドに乗せ、IKEは情感豊かな歌声を響かせた。会場をさわやかな空気で包むと、「0 GAME」では炎がゆらめくステージからMOMIKENとKENTAが迫力満点のリズムを刻み再びオーディエンスの熱気を上昇させ、「THIS IS HOW WE ROCK」ではステージ前方に大きな炎が吹き上がり、楽曲の持つ熱量を増す迫力の演出に会場の温度もさらに上がっていった。
MCではKENTAが5年半前の初武道館ライブと、この日のライブを比べ「(初武道館では)声援が上から降ってくるような感じだったけど、今日は幕が降りた瞬間からそれを超えるような声援で」とファンの盛り上がりに感謝する。MOMIKENは「アリーナ! 1階席! 2階席!」と観客を煽り、大歓声に「やばいねこれ、ビリビリくるね」と笑顔を見せた。
さらにKENTAはこの日のライブの開場時間と同時に、メンバー4人がTwitterの更新を再開したことに言及。UZはTwitterの更新を停止した、2014年のバンドの活動一時休止時を振り返り「Twitterは4年前の状態で止まってたから。あのときIKEが『SPYAIRを辞めます!』って言って……まあこの話は有名どころじゃん(笑)。で、俺は何か言わなきゃと思って『絶対に諦めないから。』ってつぶやいてたの。4年の時を経て、あきらめなくてよかったなって」と感慨深そうに語った。IKEは「みんな本当にありがとう。僕らが返せるのは言葉とかじゃないから、素敵な会場を使って歌を、曲をしっかり届けていきます」と話し、その思いを込めるように「Be with」を丁寧に歌い上げた。
オリジナルよりも骨太なアレンジの「MIDNIGHT」に続き、UZとMOMIKEN、サポートメンバーのtasuku(G)と高藤によるセッションを経て「BRING IT ON ~Battle of Rap~」へ。IKEとUZが花道の両端からそのままアリーナへと降りてラップバトルを繰り広げ、観客を狂喜させた。デジタルサウンドとボーカルエフェクトが印象的な「Someday, Somewhere」ではカラフルなレーザーが会場内を飛び交い、楽曲の世界を彩った。
ライブ本編は終盤へ。恒例のタオル回しで場内の一体感をピークに高めた「サムライハート(Some Like It Hot!!)」、そして「現状ディストラクション」が終わると、IKEは「みんなはライブが好き? 俺らもそうなんだよ。だからここまでやってこれた。一緒にライブしてくれるヤツらがたくさんいたから続けられた」とファンに語りかける。そして活動休止時を振り返り「本気で辞めようと思ったよ。だけどみんな、あのとき助けてくれたよね。俺はその気持ちが忘れられなくて、メンバーも『もう1回やろう』って言ってくれて。俺を引っ張ってくれて、やっとこの武道館に帰ってくることができました」と赤裸々に語った。
「いろいろあったけど、SPYAIRを今もやれていて本当に幸せです。今まであったことを曲の中に閉じ込めて、みんなに届け続けていきたいと思います。これからも俺たちはライブしていこう!」というIKEの言葉のあと披露されたのは「スクランブル」。これまでの彼らの歩みを振り返るようなこの曲で、本編が締めくくられた。
アンコールの冒頭では、IKEとUZが2人だけでステージへ登場した。ここでUZは「(このツアー期間に)新曲を作りました。また新しい曲をみんなに届けられるので楽しみにしてください」と新たなリリースを予告し、ファンを喜ばせる。そして2人はアコースティックスタイルで「My World」を披露。シンプルな音で歌詞の持つメッセージをまっすぐに届けた。
ここでこの日誕生日を迎えたIKEを、メンバーとファンがサプライズで祝福。ステージにバースデーケーキが運び込まれ、「Happy Birthday to You」の大合唱が巻き起こった。IKEは「こんな大勢の人に祝ってもらったの初めてかも」と笑顔を見せた。アンコール2曲目は、事前に用意された曲の中から抽選で選ばれた観客が選ぶという企画。この日はこれまでの公演と同じ「サクラミツツキ」「ジャパニケーション」「BEAUTIFUL DAYS」に「OVER」をプラスした4曲がリストアップされた。選ばれたファンは「OVER」をリクエスト。ダイナミックなロックナンバーが武道館を大きく揺らした。
「俺はステージで生の歌を届け続けたい。SPYAIRで歌が歌えて幸せです」というIKEの決意表明に続き、武道館ライブのラストナンバーとして届けられたのは「Goldship」。4人はそれぞれの思いを込めるように、時折客席を見渡しながら丁寧な演奏を続ける。IKEはオーディエンスの大合唱に「お前ら最高だよ!」と感極まった表情で絶叫した。すべての曲を終えると、メンバーは会場の隅々まで手を振ってファンとの別れを惜しむ。最後にステージに残ったIKEは「また一緒にライブしようぜ!」と生声で叫び、大きな歓声を浴びていた。
「SPYAIR TOUR 2018 -KINGDOM-」 2018年4月18日 日本武道館 セットリスト
01. THE WORLD IS MINE
02. RAGE OF DUST
03. イマジネーション
04. アイム・ア・ビリーバー
05. C!RCUS
06. 君がいた夏
07. 0 GAME
08. Don't Look Back
09. THIS IS HOW WE ROCK
10. Be with
11. MIDNIGHT
12. BRING IT ON ~Battle of Rap~
13. Someday, Somewhere
14. Brand New Days
15. サムライハート(Some Like It Hot!!)
16. 現状ディストラクション
17. スクランブル
<アンコール>
18. My World
19. OVER
20. Goldship
リンク
- SPYAIR OFFICIAL WEBSITE
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【ライブレポート】SPYAIR、5年半ぶり武道館でファンに感謝「みんなのおかげで帰ってこれた」(写真11枚) - 音楽ナタリー https://t.co/gTn0Efubji