2017年12月24日の千葉・幕張イベントホール公演を皮切りに全5公演を行い、およそ6万人の8号車(超特急ファンの呼称)を動員した今回のツアー。自身最大規模となったこのツアーを締めくくる大阪城ホール公演には、約1万人のファンが集まった。
このツアーで超特急メンバーは総合演出、衣装デザイン、映像制作などをそれぞれに担当し、制作段階から自分たちの意思をステージに直接反映させていくという今までにない挑戦をした。総合演出を務めたユーキは最終公演を前に思いを語り「(2016年の)クリスマスライブを終え、2017年は『いつまでも受け身じゃダメだ』と気付いた年だった。僕らが本当にやりたいことをそのままステージで出すことができたら、より胸を張ってパフォーマンスできると思いますし、何よりも8号車さんが観ていてうれしいだろうなと思って。絶対にそうするべきだって思ったんです」とこの挑戦の意図を明かした。
ユーキはメンバーを代表する形で初期段階からツアースタッフの制作会議に参加。7人の意思を伝えながら演出プランを練り、セットリストも1から自分で組み立てていった。そして、その中で彼が最も強く「実現したい」とスタッフ陣に訴えたのは「クリスマス、年末、年始でそれぞれまったく違う公演をやること」だったという。「新しい超特急の幕開けを感じさせるツアーにしたいと思ったとき、これは譲れないと思った。準備の時間には限りがあるから現実的に厳しさもあったけど、思いを伝えるうちにスタッフさんも『やってみよう』となってくれて。純粋に8号車を驚かせたかったし、『超特急なら絶対にできる』とも思っていました」とユーキ。その言葉通り、7人は1つのツアーの中で3種類の異なるエンタテインメント性を持ったステージを展開し、8号車を魅了してみせた。
カイいわく「長く応援してくれている8号車が喜んでくれるようなセットリスト」やクリスマスソングメドレーでファンを楽しませたクリスマス公演、「宇宙」をテーマにトランポリンを使ったアクロバットや瞬間移動のイリュージョンをパフォーマンスに盛り込み「すごい挑戦を“こなす”自分たちを見せて、みんなに『僕らに付いて来いよ』と伝えたかった」(ユーキ)という年末公演を終え、年始公演は「お正月」をテーマにしたライブが展開された。超特急のOvertureと共にユースケがプロデュースしたオープニング映像がステージ上のビジョンに上映されると、メンバーの登場BGMとして流れだしたのは筝曲「春の海」。タクヤがデザインした和洋折衷のステージ衣装に身を包んだ7人は姿を見せるやいなや鏡開きを行い、琴の調べに乗せて厳かにライブの幕を切って落とした。
タクヤの「2018年、超特急のスタートだ!」という叫びからドロップされた1曲目は和メロのアッパーチューン「ikki!!!!!i!!」。ステージには纏を持ったパフォーマーやはしご乗りの芸人も登場し、賑々しく超特急のパフォーマンスに彩りを加える。さらに曲中に餅つきセットが運び込まれると7人は舞台上で一心不乱に餅つきを始め、正月ならではの盛り上げ方で8号車を大いに沸かせた。
続く「バッタマン」では、足の負傷を乗り越えてこの日からパフォーマンスに完全復帰したユーキにほかの6人が抱きつき、ユースケが「ユーキお帰り!」と喜びを叫ぶ場面も。3曲を終えて最初のMCに入ると、7人は書初めを披露して新年の抱負をそれぞれに語った。この後に彼らが8号車に見せたのは、この日のために用意された和太鼓のパフォーマンス。1人ステージに立ったコーイチが静寂の中に「ハッ!」と威勢のよい掛け声を響かせたのを合図に、メンバーは次々にソロで演舞を披露して雄々しい太鼓の音色を轟かせた。円形のセンターステージに全員がそろうと、ここから7人は鮮やかなバチさばきを見せる群舞で一層激しい演奏を披露し、熱い盛り上がりのままキラーチューンの「超えてアバンチュール」へとなだれ込む。和太鼓の生演奏と共に届けられたエネルギッシュなダンスパフォーマンスに8号車も大きなコールを飛ばし、ホールは早くも大きな熱狂に包まれた。
組紐を使ったサスペンダーと蝶ネクタイのドレスアップスタイルに7人が早着替えしたパートでは、ユーキが自身のセンター曲「Kiss Me Baby」で鮮やかなバック転を見せて力強く復調をアピール。また関西出身のコーイチとタカシをフィーチャーするように2人のモチーフ曲である「Whiteout」「ライオンライフ」が連続で届けられ、2人は遊び心に満ちたボーカルを気持ちよさそうに広いホールに響かせた。
中盤のMCでは1曲目で7人がついた餅が取り分けられて運び込まれ、メンバーは「つきたておいしい!」(ユースケ)、「全部パワーになりそうやな」(コーイチ)と舌鼓を打ちながらライブを進行。ここではカイが「これまでの人生、大吉以外引いたことない」と縁起のよすぎるお正月エピソードを明かし、リョウガから「さすがスピリチュアル(神秘)担当!」と絶賛されていた。ダンサーの5人が「お餅おかわり!」と言って舞台袖に姿を消すと、コーイチとタカシは「この場所でライブができるなんて思っていなかった」と、小さな頃から憧れてきた大阪城ホールのステージに立てた喜びを2人で分かち合う。その後に届けられた「Fantasy Love Train ~君の元までつながるRail~」「Starlight」はボーカルのみで披露され、2人はしっかりと目を合わせて晴れやかな表情を浮かべながら息ぴったりのユニゾンを8号車に聴かせていた。
火柱の上がる演出の中で鬼気迫る表情のユーキが妖しげに舞う「Beautiful Chaser」を経て、後半の山場になったのは「Gravitation」でのトランポリンパフォーマンス。12月27日の横浜アリーナ公演の前、このトランポリンの練習中に足を負傷してしまったユーキは、この日のステージがパフォーマンス初披露だった。タカシが宙返り、ユースケが縄跳びの二重跳びを盛り込んだアクロバットと次々にメンバーが技を決めていく中で勢いよくトランポリンに飛び込んだ彼は、ひねりを加えた難易度の高い回転技を華麗に決め、手に握っていた赤い紙吹雪を美しく宙に放ってみせる。そして、最後にタクヤとペアで挑む最難関の壁登り技・ウォールトランポリンへ。横浜アリーナ公演ではユーキの無念の思いを受け取ったタクヤが1人で決めたこの技を、今度は2人で一緒に成功させた。自身の納得のいくパフォーマンスができなかったタクヤは表情に悔しさをにじませたが、ユーキはタクヤの肩を抱き寄せて無言で笑顔を浮かべる。固唾を飲んで2人の姿を見守っていたメンバーと8号車は、彼らの全力の挑戦に惜しみない拍手を送っていた。
「OVER DRIVE」の大合唱で会場がひとつになると、ライブもいよいよ佳境へ。ここでMCに立ったのはユースケで、彼は「今回のツアー、いろいろなことがありました。ユーキのケガには本当にびっくりして、同じように悔しくなったりいろんな感情があったけど……メンバー、スタッフ、8号車さんがカバーしあい、支え合って、超特急の愛がそこにはありました」と、声を震わせながら言葉を紡ぎ出す。そして「改めてこの7人でステージに立つことができた今、感謝を込めて超特急の愛を届けます」と、柔らかな声で自身のモチーフ曲「Peace of LOVE」のタイトルコールをした。
この日に披露された「Peace of LOVE」は、ユーキが特別な思いを持って演出を付けたものだった。「既存の振りもいいけれど、大阪城ホールという大きな舞台で見せるこの曲は、もっと壮大にしたかった」と明かしたユーキ。彼はこの曲に強い思い入れを持つユースケに相談し、ジャズダンサーの矢野祐子によるまったく新しい振付をこの公演のために用意した。メンバーは表情豊かにしなやかな身振りで楽曲の世界観を表現し、ユースケは“愛”を分け与えるような仕草を見せながら舞台上を躍動する。既存の振りではユースケのソロダンスが披露されるシーンはダンサー5人がソロをリレーする形に変わり、最後にバトンを受け取ったユースケはたおやかに舞いながらふわっと優しい笑みを浮かべた。
華やかに幕を開け、さまざまな表現で7人のチームワークや絆が形となっていったこの日の公演。本編の最後を飾ったのは、コーイチが歌詞を書き、ユーキが振り付けしたツアーのテーマ曲「The End For Beginning」だった。コーイチの歌詞について「僕ら超特急の今の思いをすごく感じた。自分たちの等身大というか、嘘がない」と感じたというユーキは「だから、自分もそのリアルさを振りで表現したかった。とにかく僕らの感情を伝えたかったから、そこを強く意識しつつ……『TRAIN』のジャケ写のポーズだったり『No More Cry』の振りの一部だったり、超特急の初期からある曲の要素も『気付いてもらえるかな?』って取り入れたりしながら、作らせていただきました」と振り付けに込めた思いを語った。
1番のサビでリョウガがセンターポジションに立つ意味を、ユーキは「僕自身の『頼んだぞ』っていう思いも入ってます。リーダーとして、みんながその背中を追いかけるくらい、『俺に付いて来い』って胸を張ってほしい」と明かす。また、タクヤが1曲を通してストーリーテラー的な役回りを担うのも、彼の「俳優としての顔も持っている彼は演技の表現に長けていると思っていたので。それと、号車順で並んだときに7人の真ん中に立つのは(4号車の)タクヤだから、リアルな心情を表現する大事な役を託したかった」という思いがあるから。全員が主人公になるようにユーキが1つひとつの動きやポジションに思いを込めたパフォーマンスを、7人は呼吸の合った力強いパフォーマンスで提示しオーディエンスを圧倒。ホールの広い空間には「強くなったんだ僕ら、もう」と歌うコーイチの激情的なボーカルが響き渡った。曲を終えると、深い余韻の中でリョウガは「超特急『the end for beginning』、ここが始まりの時です」と8号車に伝え、7人はさっそうとその場を去る。
そして、「BREAK OFF」から始まったアンコールではツアーを終えようとしている今の思いを言葉にした7人。タクヤは「こうして7人全員でステージに立てていることが何よりの幸せだなと思いました」と語り、ユースケは「どんな瞬間でもいい。僕たちの思いが8号車さんに伝わっていたらうれしいです」と呼びかける。「(会場前の)城天で小さい頃から踊っていて『いつかあのステージに立ちたい』と思っていた僕にとって、この大阪城ホールはやっぱり特別な場所。超特急と8号車が僕の夢を叶えてくれて、個人的にも節目になりました」と話したコーイチは続く「fanfare」で大粒の涙を流しながら「ありふれた日常が奇跡に変わる瞬間を……今、ここで感じたよ!!」と歌い替え、その様子を見たユーキは彼の頭を優しく叩いて思いを分かち合っていた。
ユーキは「このツアーで何が終わり、何が始まるのかをあえて言葉にするなら?」という質問に、「終わるのは、自分たちの意志を表に出さないでいること。始まるのは、自分たちの進む道は自分たちで切り開く、ということ」と断言し、カイは「(始まるのは)“レールの施工”ですね」と笑顔で答えた。7人が自らの足でしっかりと一歩を踏み出した今回のツアーの最後を飾ったのは、彼らが節目のタイミングで披露するナンバーである「Signal」。「今輝く未来へ手をのばそう 夢は見るよりつかみ取れ」「railは自分で選ぶから」と歌うこの曲でタカシは「僕たちは絶対に夢を叶えてみせます!」と叫び、7人は確かな眼差しで前を見据えた。最後にリョウガは「何があっても、いつになっても、僕たち7人に付いて来てください!」と頼もしく8号車に呼びかける。1年の始まりのライブで、夢をつかむための“シグナル”を力強く灯した超特急。充実感に満ちた表情を浮かべた彼らは「2018年もよろしくね!」という明るい言葉を残して舞台の奥へと姿を消していった。
超特急「BULLET TRAIN ARENA TOUR 2017-2018 the end for beginning」
2018年1月6日 大阪城ホール セットリスト
・出初式
01. ikki!!!!!i!!
02. バッタマン
03. Burn!
04. 太鼓パフォーマンス
05. 超えてアバンチュール(太鼓ver.)
06. Kiss Me Baby
07. Whiteout
08. ライオンライフ
09. My Buddy
10. ダンスパフォーマンス
11. Fantasy Love Train ~君の元までつながるRail~ ~Starlight
12. Beautiful Chaser
13. Star Gear
14. Gravitation
15. gr8est journey
16. OVER DRIVE
17. Peace of LOVE
18. The End For Beginning
<アンコール>
19. BREAK OFF
20. fanfare
21. Signal
超特急「BULLET TRAIN ARENA TOUR 2017-2018 the end for beginning」
2017年12月27、30日 横浜アリーナ / 日本ガイシホール セットリスト
01. The End For Beginning
02. Drive on week
03. Secret Express
04. Star Gear
05. Time Wave
06. pani pani
07. ダンスパフォーマンス
08. UNKNOWN...
09. Beautiful Chaser
10. Snow break
11. Gravitation
12. ライオンライフ
13. My Buddy
14. Shake body
15. Burn!
16. 超ネバギバDANCE
17. 走れ!!!!
18. gr8est journey
19. バッタマン
<アンコール>
20. BREAK OFF
21. 超えてアバンチュール
22. fanfare
超特急「BULLET TRAIN ARENA TOUR 2017-2018 the end for beginning」
2017年12月24、25日 幕張イベントホール セットリスト
01. Joy To The World
02. My Buddy
03. Burn!
04. 超えてアバンチュール
05. Pretty Girl
06. Kura☆Kura
07. We Can Do It! ※25日はKiss Me Baby
08. Whiteout
09. Snow break
10. UNKNOWN...
11. BREAK OFF
12. Drive on week
13. X'mas Overture~White Christmas~ジングルベル~きよしこの夜~金平糖の精の踊り~くるみ割り人形より「行進曲」~We wish you a Merry Christmas
14. No More Cry [3rd Anniversary Special!!!!!!!!ver.]
15. Believe×Believe
16. 浮つきWAVES
17. バッタマン
18. Fantasy Love Train ~君の元までつながるRail~
<アンコール>
19. The End For Beginning
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