開演まで30分を切った頃、超特急のオフィシャルサイトでは5号車・ユーキが当日のリハーサル中に足を負傷したため、演出の一部が変更になることがアナウンスされた。突然の出来事に場内に不安が広がる中、リーダーのリョウガは開演前アナウンスを務めて状況を説明。「今日来てくださった8号車(超特急ファンの呼称)の皆さまと最高の思い出になるライブに絶対にします」と力強く誓い、ファンを安心させる。超特急にとって初めての同所での単独公演は、誰もが予想だにしなかった形で開演時刻を迎えた。
今回のアリーナツアーでは、ユーキが総合演出を務めるなどメンバーそれぞれが各所でライブ制作にプロデューサーとして携わっている。12月24、25日に行われたクリスマス公演ではカイがプロデュースしたスタイリッシュなサンタクロースふう衣装やきらびやかにショーアップされたクリスマスソングメドレーなどで8号車を楽しませた7人だったが、この日のライブではクリスマス公演とはまったく異なるセットリストとパフォーマンスを提示。ユースケプロデュースによる宇宙を舞台とした映像が誘うコンセプチュアルなライブパート、超特急の持ち味である“8号車参加型”のハイテンションなライブパートなどがテンポよく展開し、加えて8号車がこれまで見たことのない、7人の新しい挑戦も盛り込まれたステージにアリーナには絶えず驚きの声や歓声が響いた。
冒頭、いつにも増して強い気迫をみなぎらせてステージに登場した7人。ライブはユーキの「新たな旅の始まりだ!!」という叫びで幕を開けた。カイは、いつもはさまざまなメンバーの名前をコールするパートをすべて「『ユーキ』って言って!!」と8号車に伝え、会場には8号車とメンバーが一体となった大きな「ユーキ!」コールが響き渡る。コーイチも「8号車のみんな! ユーキにエール聞かせよう! こっからが始まりだぜ!!」と呼びかけ、パワフルなボーカルでオーディエンスを牽引していった。
ライブのところどころがユーキを除く6人でのパフォーマンスとなったが、ステージに立つメンバーは頼もしい振る舞いでユーキの不在をカバーした。いつもはユーキがアクロバットを決めるパートでは代わりにユースケがダイナミックなロンダートで観客を魅了。タクヤも身体能力の高さを存分に見せつけるアクロバットで8号車の注目を集めてみせる。またユーキがステージに立っているときも6人は常に彼に目を配り、ユースケは“お姫様抱っこ”でユーキの移動をフォロー。ユーキとリョウガが手をつなぎジャンプする場面では、思い切り踏み込めないユーキのぶんまでリョウガが高い跳躍を見せて彼の笑顔を誘っていた。メンバーと8号車からのエールを受け取ったユーキもまた、負傷中であることを感じさせないほどシャープなダンスと豊かな表情の表現で、自身の出番を全力でまっとうしてみせた。
フルパワーで広いステージを駆け巡る7人の姿に約1万5000人のオーディエンスも大きなコールを送り、この日のライブはメンバー同士の強い絆、さらには8号車とメンバーとの温かなつながりを感じさせるものとなった。終盤のMCでカイは「今日こんなに素敵なライブができたのは、8号車のおかげです」と切り出すと、「本当はなかったほうがよかったことだけど、ユーキが出られないということがあったからこそ、8号車とメンバー、メンバー間の絆を再確認できたと思います。この絆をもっと固いものにして、2018年、もっといい景色を皆さんに見せることを約束するので……これからもよろしくお願いします!」と呼びかけ、8号車はこの言葉に大きな拍手を送る。
するとユーキが「あの、ちょっとしゃべっていい?」とカイに続いた。呼吸を整えて8号車のほうを向くと、彼は「受験があったり、いろんな事情で今日しか来れないっていう8号車もいると思います。それなのにいつもの、僕の100%の力でできなかったのがとても悔いに残るんですけど……」と正直な思いを吐露。あふれ出す涙をこらえながら「もし、もし次の機会があるのなら、精いっぱい、真剣に、本気でみんなを笑顔にさせますので、どうかこれからもよろしくお願いします!」と言葉を振り絞る。パフォーマーとしての立場だけでなく、総合演出という立場でもライブ作りに携わったからこそ公演にかける思いはひとしおで、ユーキは「自分はステージに立つ身だけど演出をする身でもあって。その何もかもを教えてくださった演出家さんとこうやって素敵な舞台を作れたことが僕は幸せだったので……これからも切磋琢磨して、皆さんに最高の笑顔を、最高のパフォーマンスを届けたいって今日この場に立ってすごく思いました!!」と笑顔を作って前を向いた。
彼の言葉に8号車が涙を流すと、その様子を見たリーダーのリョウガは「おい、その(涙を拭う)手やめろやめろ! 泣いてる人特有のやつ! ほら上に上げて!」と彼らしいユーモアに満ちたツッコミで笑顔を誘う。そして彼は「悲しむことはいつでもできるけど、楽しむことは今しかできないんだよ!」と言って超特急の真骨頂とも言えるハイテンションパフォーマンスを繰り広げる「超えてアバンチュール」へとつなげた。曲中ダンサーメンバーが1人ずつ叫ぶパートで、ユースケは「ユーキがんばったな!!」とシャウト。センターのリョウガがその日の気分で自身のパートナーを選びポーズを決めるシーンでは、リョウガはユーキの手を取って彼を力強く抱き寄せた。ラストナンバーでは、ユーキ自身が「必ずこの借りは返す!!」と高らかに宣言。7人は「僕たち超特急、この先もまだまだ突き進んでいきます!」と誓ってステージを去る。7人の姿が徐々に舞台奥へと消えていく中、ユーキは最後まで「またね、必ず。必ずだよ!」と8号車に呼びかけていた。
「BULLET TRAIN ARENA TOUR 2017-2018 the end for beginning」の次回公演は12月30日に愛知・日本ガイシホールにて開催。ツアーファイナルは1月6日に大阪・大阪城ホールで行われる。
BULLET TRAIN ARENA TOUR 2017-2018 the end for beginning ※終了分は割愛
2017年12月30日(土)愛知県 日本ガイシホール
2018年1月6日(土)大阪府 大阪城ホール
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