BUCK-TICK「memento mori」の世界観をステージで構築

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BUCK-TICKの全国ツアー「BUCK-TICK TOUR 2009 memento mori」東京公演が、7月1日・2日にNHKホールで行われた。

7月2日のツアー最終公演では、アンコールで「絶界」「悪の華」「夢魔 -The Nightmare」といったナンバーが披露された。

7月2日のツアー最終公演では、アンコールで「絶界」「悪の華」「夢魔 -The Nightmare」といったナンバーが披露された。

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教会を彷彿させるステージセットは、アルバム「memento mori」の世界観にぴったり。

教会を彷彿させるステージセットは、アルバム「memento mori」の世界観にぴったり。

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4月3日に埼玉・川口リリアホールからスタートしたこのツアーは、3カ月をかけて全25公演を実施。BUCK-TICKにとって約2年ぶりの全国ツアーは、この東京公演をもってファイナルを迎えた。

セミファイナルとなった7月1日の公演は、定刻より約10分遅れて会場が暗転。無機質なSEにあわせ、スクリーンには地球や大自然などの映像が映し出されていく。メンバーがひとり、またひとりとステージに登場すると、ライブ1曲目「真っ赤な夜 -Bloody-」がスタート。しかし、ギターリフにあわせ櫻井敦司(Vo)が歌う声はするものの彼の姿は見当たらず、ステージ上には球体状のスクリーンがあるのみ。ドラムが演奏に加わると同時に球体が破裂し、中から櫻井が現れるというサプライズでファンを驚かせた。

ここから会場の空気は一気にヒートアップ。続く「Les Enfants Terribles」では今井寿(G)とボーカルパートを分け合いながら、櫻井は「Oh Yeah!」と観客を煽っていく。デジタルビートが強調された「Baby,I want you.」では、ステージ後方の十字架が光るなか樋口豊(B)がビートにあわせてダンスし、客席を沸かせた。

3曲終えたところで、櫻井は「ようこそ。こんなにたくさん集まってくださいまして、ありがとうございます。最後まで楽しんでいってください。よろしく!」とファンに語りかけた。ライブはさらにディープな方向へと進んでいき、ニューアルバム「memento mori」の世界観をステージ上で再現。耽美かつ厳かなステージセット上で、バンドは「MOTEL 13」「アンブレラ」などといったナンバーを披露していった。

ライブ中盤では、ピアノの音色が印象的なバラード「Message」を熱演。曲のクライマックスでは、天井から羽が降ってくる演出もあり、それまでの攻撃的な姿勢とは異なる世界観を堪能することができた。

「Message」が終わると、再びダークな世界へと引き戻す「Memento mori」がスタート。ヤガミ・トール(Dr)が打ち出すジャングルビートにあわせ櫻井が手を挙げると、ステージ上には火柱が立ち上がる。どことなく南国を彷彿させるメロディはBUCK-TICKナンバーの中でも異色といえるもので、バンドも観客もビートにあわせて思い思いのダンスで感情を表現していた。

何かの儀式を思わせるような「Memento mori」が終わると、ライブは後半戦に突入。バンドが疾走感あふれる「Jonathan Jet-Coaster」で客席を熱狂の渦に巻き込むと、BUCK-TICK流ブルース「Coyote」で独特な世界観を構築していった。この日のライブでアコースティックギターを弾く機会が多かった星野英彦(G)は、この曲でもアコギでムーディな味付けをしてみせた。

続く「謝肉祭 -カーニバル-」では櫻井は、ドクロをのせ帽子とコートを被せたマイクスタンドを人に見立て、まるで話しかけるかのように歌う。曲のエンディングにはそのドクロにキスをすると、客席からは悲鳴にも近い歓声が鳴り響いた。続くMCでは、櫻井は椅子に座って「ドクロちゃん、乾杯しよう」と茶目っ気たっぷりに話し、乾杯のアクション。「皆さんの人生にも乾杯」と言うと、そのまま次の曲「Lullaby-III」へと突入しセクシーな歌声を聴かせてくれた。

「天使は誰だ」「スズメバチ」といったサイケなハードロックナンバーで客席を盛り上げた後、ライブはいよいよ終盤へ。甘いポップチューン「セレナーデ -愛しのアンブレラ-Sweety-」ではメンバー5人がステージ中央に向き合うように演奏し、ピースフルな雰囲気を演出した。ここまでのライブの流れはまるで1本の映画を観るかのようなストーリー性が感じられ、続く「HEAVEN」でライブは感動的なクライマックスを迎えた。

メンバーがステージを去ると、客席からはアンコールを求める手拍子が続く。数分後にステージに戻ったBUCK-TICKの5人は、「Alice in Wonder Underground」からアンコールをスタート。櫻井は照明を手に持って客席を照らし、ファンを煽っていった。BUCK-TICKらしい疾走ナンバー「スパイダー」に続き、80年代からのファンには懐かしい「ICONOCLASM」のリフが会場に鳴り響き、客席のファンは大興奮。曲の途中で今井が客席に降りるなどのハプニングもあり、興奮のるつぼの中アンコールも終了した。

しかし、ファンはまだまだもの足りず、さらなるアンコールを求める。三度ステージに戻ってきた櫻井は「ツアーも残りあと少し。皆さん楽しでいってください」と言うと、ヒットシングル「GALAXY」を披露。最新版のBUCK-TICK王道チューンに続いては、アルバム「悪の華」のオープニングを飾る「NATIONAL MEDIA BOYS」が演奏され、客席から大歓声が沸いた。

曲を終えると、櫻井は「もう少し、あと少しだけやります」と言ってからメンバー紹介。最後にヤガミ・トールを紹介すると、そのままドラムソロに突入し、いつしかそのビートはこの日最後の曲「LOVE ME」へと続いていった。観客がリズムにあわせて手を左右に振ると、樋口もそれにあわせて踊る。熱気がピークに達したところで、2時間以上にわたるライブは終了した。

デビューから20年以上を経てもなお、さらなる進化&深化を続けるBUCK-TICK。ツアーを終えたばかりの彼らは、9月から再び全国スタンディングツアーを開催する。「BUCK-TICK Tour memento mori -REBIRTH-」と銘打たれたこのツアーで、アルバム「memento mori」の世界がどこへ到達するのか、今から楽しみにしておこう。

「BUCK-TICK TOUR 2009 memento mori」
7/1(水)NHKホール セットリスト

01.真っ赤な夜 -Bloody-
02.Les Enfants Terribles
03.Baby,I want you.
04.MOTEL 13
05.アンブレラ
06.勝手にしやがれ
07.Message
08.Memento mori
09.Jonathan Jet-Coaster
10.Coyote
11.謝肉祭 -カーニバル-
12.Lullaby-III
13.天使は誰だ
14.スズメバチ
15.セレナーデ -愛しのアンブレラ-Sweety-
16.HEAVEN
ENCORE 1
17.Alice in Wonder Underground
18.スパイダー
19.ICONOCLASM
ENCORE 2
20.GALAXY
21.NATIONAL MEDIA BOYS
22.LOVE ME

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読者の反応

るし @sakuraxxx69

残ってるもんだね。

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