きのこ帝国、憧憬バンドと競演果たした夏の夜

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きのこ帝国が7月23日に東京・TSUTAYA O-EASTにて自主企画「echoes」を開催した。

きのこ帝国(Photo by Yuki Kawamoto)

きのこ帝国(Photo by Yuki Kawamoto)

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People In The Box(Photo by Yuki Kawamoto)

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この日のトップバッターを務めたのはPeople In The Box。彼らはステージに登場すると、8月6日発売のニューアルバム「Wall, Window」の収録曲「聖者たち」「翻訳機」の2曲を続けて披露した。そして波多野裕文(Vo, G)がギターからキーボードへとパートを替えるとバンドは「もう大丈夫」へと突入していく。山口大吾(Dr)が淡々と刻むリズム、福井健太(B)がスラップ奏法ではじき出す力強いベース音、波多野の奏でるピアノサウンドと透明感のあるボーカルが絶妙に絡み合い、彼らの生み出したグルーヴに満員のフロアは大きく揺れた。

People In The Box(Photo by Yuki Kawamoto)

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MCでは山口によるお決まりのハイテンションなトークで会場がなごやかなムードに包まれる。「新曲ばっかり?みたいに思ってる方もいらっしゃると思います。でも過去の曲やりますよ。今日も」と山口が告げ、「火曜日 / 空室」のメロディアスなイントロが奏でられるとオーディエンスから歓声が沸き上がった。同曲アウトロのセッションパートでは激しいプレイを見せながら、福井と山口の2人がフロアにキャンディを投げ入れるという粋な演出も。そしてPeople In The Boxは「旧市街」と「ヨーロッパ」の2曲を届け、出番を終えた。

downy(Photo by Yuki Kawamoto)

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2番手のdownyは秋山タカヒコ(Dr)のソリッドなドラムから「葵」でライブをスタートさせた。そしてバンドは高速なビートと重低音のベースが響き渡った「曦ヲ見ヨ!」、青木ロビン(Vo, G)のしゃがれたボーカルが印象的な「時雨前」など再始動後にリリースしたオリジナルアルバムからの楽曲を間髪入れずに投下。VJの石榴による映像の演出と轟音のバンドサウンドが織りなすdownyの世界にオーディエンスは酔いしれた。

downy(Photo by Yuki Kawamoto)

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その後彼らは「春と修羅」を経て、回転する実写映像と延々と繰り返されるギターアルペジオがリンクした「左の種」で、会場をダウナーな雰囲気へと導いていく。高速の変拍子が特徴的な「弌」を届けたところで、青木ロビンは「呼んでくださったきのこ帝国の皆様、ありがとうございました」と感謝の言葉を述べる。そして最後に「猿の手柄」を演奏し、観客に高揚感をもたらすと颯爽とステージをあとにした。

主催者のきのこ帝国は新曲「ヴァージン・スーサイド」でライブの口火を切る。「ユーリカ」と「夜鷹」の2曲をプレイすると、あーちゃん(G)がいつもの調子で「きのこ帝国です。よろしくお願いしまーす」とお茶目に挨拶をする。そして西村“コン”(Dr)のカウントから「海と花束」を演奏し始め、佐藤(Vo, G)のまっすぐな歌声に寄り添うようにしてバンドはクリアな旋律を奏でた。

きのこ帝国(Photo by Yuki Kawamoto)

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「パラノイドパレード」では、佐藤とあーちゃんによるエモーショナルなギターアンサンブルや曲が終わりに近づくにつれ荒々しくなる西村のドラム、谷口滋昭(B)による剛健なベースサウンドで鮮やかな音景色を構築。曲が終わるとそれまで心地良いメロディに身体を揺らしていた観客は、バンドに賞賛の拍手を送った。

あーちゃんは「いろいろなドキドキがあったんですけど、すごいたくさんの人に見守ってもらえてとてもよかったです。皆さん、ありがとうございます」と満員のフロアを眺めながら語る。MCパートが終わると場内の照明が最小限の明るさになり、バンドはゆるやかに「ミュージシャン」を演奏し始めた。薄暗い会場はきのこ帝国の奏でる音楽で満たされ、観客はそれにじっくりと耳を傾ける。そしてアウトロパートになるとバックライトが一気に点灯し、ステージには4人のシルエットが鮮明に浮かび上がった。

同曲を演奏し終えると場内が暗転。あーちゃんが爪弾くやわらかなギターアルペジオが聞こえ出すと、徐々に照明が明るくなっていく。彼女たちは本編の最後に「夜が明けたら」で熱量の高いパフォーマンスを届け、ステージを降りた。

佐藤(Vo, G / きのこ帝国)(Photo by Yuki Kawamoto)

佐藤(Vo, G / きのこ帝国)(Photo by Yuki Kawamoto)[拡大]

アンコールでは秋発売予定のアルバムを現在レコーディング中であること、その中から「東京」を先行シングルとして9月9日に100円でリリースすることが発表された。また佐藤は「People In The Boxとdownyの皆さんありがとうございました。10代のときにめちゃくちゃ聴いてた人たちとこんなふうに同じステージでやることができて本当にうれしかったです……という報告です」とはにかみながら語る。そして「今日来てくれたみんなも本当にありがとうございます」と深くお辞儀をした。それに対しあーちゃんは「“きのこ帝国19歳”っていう感じでしたね」と発言し、19歳の頃に佐藤からPeople In The Boxとdownyの音楽を教えてもらったというエピソードを話した。最後に彼女たちは「東京」と「明日にはすべてが終わるとして」の2曲で渾身のプレイを見せつけ、さわやかな余韻を残しながら「echoes」の幕を下ろした。

きのこ帝国 presents 「echoes」
2014年7月23日 TSUTAYA O-EAST セットリスト

People In The Box

01. 聖者たち
02. 翻訳機
03. もう大丈夫
04. 火曜日 / 空室
05. 旧市街
06. ヨーロッパ

downy

01. 葵
02. 曦ヲ見ヨ!
03. 時雨前
04. 春と修羅
05. 左の種
06. 弌
07. 猿の手柄

きのこ帝国

01. ヴァージン・スーサイド
02. ユーリカ
03. 夜鷹
04. 海と花束
05. パラノイドパレード
06. ミュージシャン
07. 夜が明けたら
<アンコール>
08. 東京
09. 明日にはすべてが終わるとして

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