日本語ラップ最前線レポート (2026年1月号)
EBISU BATICAスタッフが語る今月のラッパーの“カマし”|Lillieのリリパには何かが始まりそうな予感があった
Sonsi初出演、SSPがライブ中にタトゥー彫る、Worldwide Skippaがショットライブ、体調不良のシラフが爆発などの事件も
2026年2月6日 12:00 3
今、最もホットなラッパーが集まる東京の現場と言えば、2011年に東京・恵比寿にオープンし、今年15周年を迎えるEBISU BATICA。2018年4月には釈迦坊主の伝説的なイベント「TOKIO SHAMAN」が初開催された日本語ラップの最前線であり、毎月さまざまなパーティが開催されています。この連載では、そんなBATICAのブッキングを担当しているスタッフの一瀬公佑さんに特に印象に残ったパーティやラッパーを毎月紹介していただきます。
取材・
本物のSonsi、BATICA初ライブ
1月は「RAPSTAR 2025」でファイナリストに選ばれ、時の人となった
「ラップスタア」後にSonsiが関東でライブするのはたぶんこれが初めてで。BATICAの前に柏でライブをする予定だったんですけど、メンタル的な問題で出演キャンセルとなっていたんですよね。でも、この日はちゃんと来て前向きなライブをしてくれて、お客さんも大合唱で、ものすごい盛り上がりでした。「SonsiがEPをリリースする」というフェイクニュースが話題になっていたタイミングでもあったんですけど、EPではなくアルバムを
Sonsiのお客さんがたくさん集まる中で、その前にはMADEINBEN10、
熱気あふれるLillieのリリパ
愛知の若手ラッパーagulの1stアルバム「Forecast」のリリパもありましたし、1月は内容的にいいイベントが多いんですけど、中でも印象に残っているのが1月30日です。
Lillieは、東京を拠点とするラッパーSarenとSecurity Blanketというクルーを組んでいた岡山出身のラッパーです。2022年に出したデビュー曲「SpeeD」が、今より尖った、芸術的なニュアンスで注目を浴びたんですけど、そこから一旦、地元に帰ってしまいました。
Lillie "SpeeD" (Official Music Video)
しばらくブランクがあったんですが、東京に戻ってきて2024年10月にリリースした1stアルバム「WSYG」が話題になったんです。その後はまたしばらくリリースがなかったものの、去年は「RAPSTAR 2025」の応募動画も話題になり、今年1月に2ndアルバム「Bet my Boots」がリリースされました。今はこのアルバムがすごくいろんな人に聴かれてるんですよ。
Lillie - Voodoo (Music Video)
リリパには「WSYG」から聴いている子たちもたくさん来ていて、フロアの熱量がすごくよくて……これから何か始まりそうだなという予感がしました。Lillieは“男が好きになる男”って感じのカッコよさがあるんですよね。リリックがフレックスではなくて、等身大の自分や東京という街に向き合う内容で、自分たちのノリというかラフな部分もちゃんと出している。シンプルにカッコいいものを作っているから、今の子たちにすごく響くんじゃないかなと思います。
広島のニューカマーYoung 888
このリリパには、Young 888という広島のラッパーも出ていました。16歳からラップを始めた子で今は20歳くらい。数年前からSoundCloudに曲を上げていて、広島ではライブをやりまくってるから、みんなが歌うぐらいのアンセムを持ってるんですけど、サブスクで配信し出したのは去年なので、東京の知名度はまだないと思います。
ヤンパチは、僕も広島出身ということもあって、去年の9月にBATICAに呼んだら、すごくカマしてくれたんですよね。それで今回、Lillieのリリパに誰を呼ぶかという話になったときに、ヤンパチを含む10組くらい候補をLillieに送ったんです。そしたら「Young 888がめっちゃカッコいいから呼びたい」って返事があって、出てもらうことになりました。
もともとLillieとつながりがあったわけではなく、Lillieのファンは知らなかった人が多かったはずです。出順も最初でお客さんも15人ぐらいしかいなかったけど、やっぱりラップがうまいし、お客さんを置いてかないライブをしていて、本当に盛り上げてくれましたね。その日に客演で出ていた関谷拳四郎とかいろんなラッパーも「こいつヤバい。めっちゃ元気出た」ってニコニコしてて。Lillieはカマすだろうとみんな予想してたし、もちろんカマしてたんですけど、ヤンパチは期待値を大きく超えたので印象に残りましたね。
SWEEら出演パーティが140人集客
Lillieのリリパのあとには、千葉のDJ・SOMAが主催する「BRIDGETHEGAP」が開催されました。もともとは千葉の熱帯夜ってハコでやってたイベントなんですけど、ちょっと規模を広げて都内でやりたいということで、4回目くらいからBATICAでやるようになったんです。今回はBANNY BUGS、Kouichi Arakawa、SWEEとかR&B寄りのメロウなラインナップで、お客さんはトータルで140人くらい来ましたね。
キャパ130人のBATICAで来場者が100人を超えるイベントは多くなく、まして140人を超えるのはアニバーサリー企画くらいで、本当にめったにないので驚きました。アーティストをしっかり観に来た人が多かったです。開場直後に入場して、2階がオープンするまで階段付近で待ってて、最初のDJから最前を陣取っている子たちもいて。ナイトでこの雰囲気のパーティはひさびさじゃないかな。
SWEEは2021年に活動を開始してからジワジワとリスナーを増やしてるシンガー / ラッパーで、イベントはちょうど
Ride Remix (feat. IO)
それもあってイベントは総合的にすごく盛り上がったし、みんなお酒を飲むし、ライブが終わったらアーティストのファンの子は帰るんですけど、パーティ野郎がずっと残ってて。その後もお酒の注文は続くし、5時を過ぎてもDJはプレイしていて、1回僕が「そろそろ……」と止めようとしたんですけど、止まらなかったです。結局7時前くらいまでやっていて、スタッフ的には本当に大変だったけど、いいパーティでした。
ライブ中にタトゥーを入れ始めたSSP
その翌日のナイトには、
SSPがライブ中に彫師をステージに上げてタトゥーを入れたのが話題になってましたけど、僕も事前に話を聞いてなくて「何してんだろう?」って(笑)。面白い人ですよね。でも、僕の印象では、すごく真面目というか硬派というか。ブランディング的にそう言っていいのかどうかわからないですけど、おちゃらけた人ではないと思ってるんですよ。
SSP-BPB feat. ARuM (Music Video)
ARuMもしっかり盛り上がっていて。途中でケンカとまではいかないですけど、ハプニングでフロアが揉めかけたときに、ARuMは「誰のライブ観にきてんだよって」ってお客さんを盛り上げる形でそれを消化していたのが印象的でした。本当にライブをちゃんとやってきてる人にしかできない立ち回りでしたね。
Worldwide Skippaも実は出ていた
Destiny_child🔺 🟡 🪖 @Destiny_child77
@natalie_mu 😄😄😄😄😄😄😄