4月16日「平日の武道館 バイト編~ねぇ、シフト代わってくれない?~」
初の武道館公演を2日にわたって開催した彼らは、初日公演を「平日の武道館 バイト編~ねぇ、シフト代わってくれない?~」、2日目を「連日の武道館 正社員編~有給休暇の使い道、これが私の生きる道~」と銘打ってライブを実施。初日公演はそのタイトルとリンクしたライブパフォーマンスおよび映像演出が展開された。
開演時刻を迎え客電が消えると小川幸慈(G)、小泉拓(Dr)、長谷川カオナシ(B)、尾崎世界観(Vo, G)の順にメンバーが1人ずつステージに登場。4人が定位置についたところで、ステージ後方に設置されたスクリーンに松居大悟が監督を務めたショートムービーが映し出された。映像はコンビニのアルバイトの青年が仕事中にこっそり観ていたUstream中継でクリープハイプのレーベル移籍を知り驚くという内容のもので、青年の「お前ら何で始まったと思ってるんだよ」という台詞でスクリーンが暗くなる。尾崎は「クリープハイプはこの曲で始まったと思っています」とひと言添え「左耳」からライブをスタートさせた。
ライブ序盤は「SHE IS FINE」「蜂蜜と風呂場」といったインディーズ時代の楽曲を中心としたセットリストに。「あの嫌いのうた」では尾崎の叫ぶようなボーカルに合わせ会場からは無数の手が上がり、バンドとオーディエンスのテンションが徐々に高まっていく。演奏がひと段落し上着を脱いだ尾崎は「どうですか? 序盤は」「好きなように楽しんでくださいね」とオーディエンスの反応を伺い、「世界で一番かわいい犬の歌を歌います」とのMCから「マルコ」を披露する。また「ラブホテル」では間奏で演奏を止め「夏のせいで武道館まで来ちゃったからね」「夏のせいじゃないか」とMCを挟み観客の笑いを誘うなど、和やかなムードでライブは進行した。
中盤ではアコースティックギターに持ち替えた尾崎が「ライブでやったことのない曲をやります」と宣言し「グルグル」を披露。そのまま「グレーマンのせいにする」「傷つける」を間髪入れずに演奏した。MCに入ると尾崎は「いまだにタクシー乗ってもメーターから目が離せないし、TSUTAYAに行っても新作借りられないし」「そういうのが染みついてて。でもこの感覚が大事だと思ってます」と自身の等身大の思いを口にする。また武道館公演を楽しみにしていたという祖母が3月に亡くなったことを打ち明け、「皆さんはいなくならないでください」とオーディエンスに優しく声をかける場面もあった。
小泉のパワフルなドラムと、尾崎と長谷川のかけ声が印象的なナンバー「火まつり」の演奏が終わると、後方のスクリーンに再びショートムービーが映される。アルバイトの青年がレジで缶ビールの会計をしながら不満をつぶやく映像を受け、バンドは「深夜のコンビニの店員が缶ビールを買う客に舌打ち」の歌い出しから始まる「バイト バイト バイト」をプレイ。さらに「HE IS MINE」の間奏中には尾崎が「武道館は厳しいから、言っちゃいけない言葉とかがある」と前置きをしつつもオーディエンスに「よろしくお願いします」と呼びかける。この期待に応えるかのように曲のクライマックスではオーディエンスによる「セックスしよう!」の盛大なシャウトが武道館に響き、尾崎は満足そうな笑顔を浮かべた。
会場内のボルテージが高まったところで、ライブはいよいよクライマックスに。ミラーボールをバックにアップテンポな曲調でオーディエンスの高揚感を煽った「ウワノソラ」、「余計なお世話だよ、馬鹿」という尾崎のひと言に会場が歓喜した「社会の窓」、小川の爽やかなギターリフが会場に響きわたった「憂、燦々」とバンドは人気曲を次々とドロップしていく。そして本編最後の曲「オレンジ」の演奏を終えると尾崎は「ありがとう」とオーディエンスに向けて感謝の言葉を述べ、ライブ本編を締めくくった。
アンコールに応えて再びステージに姿を現した4人が披露したのは「イノチミジカシコイセヨオトメ」。アルバムの収録内容通りにバンドが曲のアウトロからそのまま「手と手」の演奏になだれ込むと、オーディエンスからは喜びの歓声が上がった。演奏が終わりメンバーがステージから掃けた後も会場内の熱気は冷めず、ライブはダブルアンコールに突入する。ステージに三たび登場した尾崎は5月7日にリリースする新曲「寝癖」について触れ、「どうせお前ら『社会の窓』みたいなのだと思ってるんだろ? もっとスマートに戦っていこうと思って」と発言。続いて「もう絶対に移籍しません」と宣言し、そのまま「寝癖」を披露した。最後に尾崎は「うまくは言えないけど、バンドやっててよかったなって思っています」と語ると、この日のラストナンバー「ねがいり」をプレイ。演奏終了後、4人は歓声と拍手の中オーディエンスにお辞儀をし、初の武道館ワンマンライブは大団円のうちにその幕を閉じた。
4月17日「連日の武道館 正社員編~有給休暇の使い道、これが私の生きる道~」
「連日の武道館 正社員編~有給休暇の使い道、これが私の生きる道~」と銘打たれた17日の公演は、初日に登場したアルバイトの青年の兄である会社員の男性を主人公としたショートムービーからスタート。移籍ネタやクリープハイプの楽曲を取り入れたストーリーが繰り広げられ、映像が一区切りつくと尾崎の「大変お騒がせしております。今、話題のクリープハイプです」という言葉からライブに突入した。
1曲目に披露されたのは、ショートムービーの中で弟役の男性がメロディを口ずさんでいた「オレンジ」。尾崎、小川、長谷川の3人は広いステージをマイペースに動き回りつつ、「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」「言わなくても伝わると思ってたよ」といったメジャーデビュー以降に発表した楽曲を連発する。尾崎は客席を見渡しながら頷き、ほんのり余裕を伺わせる。最初のMCで彼は「ありがとうございます。ものすごいラブソングができまして。とっておきの。皆さんに聴いてほしい。愛しのあの人に捧げます」と、赤と緑の照明が激しく明滅する中で攻撃的な新曲を投下。スクリーンには移籍について言及した歌詞や、自身のハイトーンボイスを自虐的につづった赤裸々な歌詞が映し出され、尾崎のまくしたてるような歌声とともに観客を圧倒する。新曲を機にアグレッシブなモードに拍車をかけた4人は、「HE IS MINE」でオーディエンスの興奮をピークに導く。曲のクライマックスでは、「何言ってるのはわかんないくらいの大きな声でお願いしますね」という尾崎の煽りを受けて8500人の盛大な「セックスしよう!」コールが響いた。
長谷川と尾崎が掛け合いのように歌い上げる「グレーマンのせいにする」、ゆったりとしたアンサンブルが展開する「傷つける」のあとは、ショートムービーの続きを挟み後半へ。尾崎は「後半に差し掛かってきましたが……あと78曲ありますから」と冗談を言い、「それではいけますか?」とCO2が盛大に噴射される中で「明日はどっちだ」を熱唱。その勢いのまま「イノチミジカシコイセヨオトメ」「手と手」「愛の標識」とテンポの速い曲を矢継ぎ早に披露した。
長谷川がリードボーカルをとる「かえるの唄」が始まると、会場の熱気はさらに上昇。小泉のスティックカウントから始まった「憂、燦々」では青と白の照明が涼やかな空気を作り出し、エモーショナルな楽曲を彩った。「さっきはごめんね、ありがとう」の前には、尾崎が「今日は来てくれて本当にありがとうございます。感謝を込めて歌います」と観客にお礼を伝える一幕もあった。そして「最後の曲です」と尾崎が言うと「えー!」という不満げな声があがる。彼はそれを受けて「いろいろあるんですけど、不安なことも多くて。こんなデカイところでライブをして、もっと緊張するかと思ったんですが、(お客さんの)顔見てたら安心しました。だから『えー!』じゃなくて笑顔をみせてください」と「社会の窓」を届けた。金銀の紙吹雪が舞い、客電が点く中で4人は全身全霊のプレイを展開。そして「愛してる!」という尾崎の叫びが本編の幕引きを飾った。
アンコールではミディアムテンポの「さっきの話」「女の子」が披露されたほか、長谷川と小泉がMCを行いファンを驚かせる。さらに前日と同様にダブルアンコールも敢行され、インディーズ時代に発表された「ねがいり」と新曲「寝癖」の2曲が披露された。尾崎は「思ったよりもライブを楽しめています。武道館に立ったことで終わってしまったらどうしようと心配してたんですけど、全然大丈夫。これからもいい音楽を作っていくので、よろしくお願いします」とファンに“今後”を約束。2日間のライブを完遂した4人は、少し照れくさそうに一列に並んで手をつなぎ「ありがとうございます!」とマイクなしで叫んだ。
クリープハイプ「平日の武道館 バイト編~ねぇ、シフト代わってくれない?~」
2014年4月16日 日本武道館 セットリスト
01. 左耳
02. SHE IS FINE
03. 蜂蜜と風呂場
04. あの嫌いのうた
05. マルコ
06. チロルとポルノ
07. ラブホテル
08. グルグル
09. グレーマンのせいにする
10. 傷つける
11. 風にふかれて
12. ごめんなさい
13. 火まつり
14. バイト バイト バイト
15. HE IS MINE
16. 身も蓋もない水槽
17. ウワノソラ
18. 社会の窓
19. 憂、燦々
20. オレンジ
<アンコール>
21. イノチミジカシコイセヨオトメ
22. 手と手
<ダブルアンコール>
23. 寝癖
24. ねがいり
クリープハイプ「連日の武道館 正社員編 ~有給休暇の使い道、これが私の生きる道~」
2014年4月17日 日本武道館 セットリスト
01. オレンジ
02. おやすみ泣き声、さよなら歌姫
03. NE-TAXI
04. 言わなくても伝わると思ってたよ
05. 新曲
06. あ
07. ウワノソラ
08. HE IS MINE
09. グレーマンのせいにする
10. 傷つける
11. 明日はどっちだ
12, イノチミジカシコイセヨオトメ
13. 手と手
14. 愛の標識
15. 週刊誌
16. ラブホテル
17. かえるの唄
18. 憂、燦々
19. さっきはごめんね、ありがとう
20. 社会の窓
<アンコール>
21. さっきの話
22. 女の子
<ダブルアンコール>
23. ねがいり
24. 寝癖
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