細野、クラムボン、ハナレグミは今年それぞれカバーアルバムを発表しており、3時間半におよんだライブは、各アーティストが古今東西の名曲をひたすらカバーするという贅沢な内容となった。一番手を務めた細野晴臣は、伊賀航(B)、伊藤大地(Dr)、高田漣(G, Pedal Steel)というおなじみのバンドメンバーとともに登場。彼がギターを爪弾きながら「Lazy Bones」を滋味のある声で歌い出すと電飾に光が灯り、細野の穏やかな歌と星空を思わせる演出に客席からはため息が漏れた。細野はこの日は「The House of Blue Lights」といった音源化されているカバー曲のほか、4日前に“仕入れた”ばかりという「The Cheat」や、ユーモアたっぷりの日本語詞を乗せたウィリー・ディクソン「29 ways」のカバーを披露。さらに自身の「Pom Pom 蒸気」をセルフカバーするサービスでオーディエンスを楽しませた。
2番手のハナレグミは、ホーンやスティールパンを含む豪華なバンドを引き連れてライブを展開した。「メリークリスマス!」と朗らかに挨拶した彼は、「プカプカ」「ウイスキーが、お好きでしょ」などカバーアルバム「だれそかれそ」からの楽曲を歌い上げる。曲の合間には洒脱なトークを挟み、「ラブリー」を歌う前には先日泥酔してしまったエピソードや、青春時代に渋谷系にハマりフリッパーズギターに憧れてSUPER BUTTER DOGを結成したいきさつを語る。そしてソウルフルなアレンジを施した「ラブリー」、スカをフィーチャーした「オリビアを聴きながら」で会場の熱を高め、最後にほのかな照明が灯る中で「ガラス越しに消えた夏」を披露。深い余韻を残して、クラムボンのステージへとつなげた。
大きな拍手を浴びながら登場したクラムボンの3人はセッションで場の空気を作っていく。この日は「呼び声」「GOLDWRAP」「幸せ願う彼方から」といった最新カバーアルバム「LOVER ALBUM 2」からの楽曲に加え、本邦初披露となるフジファブリックの「茜色の夕日」のカバーもパフォーマンス。茜色の照明のもと、原田郁子(Vo, Key)の浮遊感あふれる歌声とノスタルジックなアンサンブルが響いた。さらに終盤で3人は「ナイトクルージング」のカバーで、オーディエンスを夢見心地に。全7曲を演奏し終えると、郁子は凛とした声で「ありがとう」と感謝を述べた。
もちろんアンコールもカバー縛りとなったこの日。まずはクラムボンとハナレグミがコラボセッションを行う。クリスマスにちなんで郁子が手作りした赤いケープをまとった4人は、はっぴいえんどの「あしたてんきになあれ」と、クラムボンの「ある鼓動」をプレイ。ちなみにハナレグミがクラムボンの楽曲を歌うのは初めてということで、貴重なセッションとなった。MCでメンバーは「毎年やりたいくらいだよね」と口々に“次回”への期待を寄せる。そして郁子は「さらなるプレゼントを……」と述べ、細野をステージに呼び込んだ。赤いケープをまとい、サンタクロースに扮した細野に観客は拍手と歓声を浴びせる。出演者が全員そろったところでプレゼントされたのはハナレグミの「MUSICA」。丁寧かつ優しいアンサンブルと、ボーカリストたちの歌声が重なりあう中、「ワンだらけツーだらけスリーだらけカバーだらけ!」は静かに幕を閉じた。
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昨年の12/25のレポ。
細野晴臣×クラムボン×ハナレグミがカバー三昧なXmas
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