つば九郎も登場！クリープハイプ、大団円のツアー最終日

クリープハイプが12月5日に東京・Zepp DiverCity TOKYOにて全国ツアー「秋、零れる程のクリープハイプ」の最終公演を行った。

新作アルバム「吹き零れる程のI、哀、愛」を携え全国15都市を回ってきた彼ら。尾崎世界観（Vo, G）はステージに現れると「いろんなところで始まる前に気の利いたことを言えていたんだけど、東京は全然思いつかなくて」「だからひと言だけ……ただいま！」とあいさつし「愛の標識」でライブをスタートさせる。続けて「ウワノソラ」「左耳」「手と手」と人気曲を連投し会場を一気に興奮の渦に巻き込んだ。

「世界で一番かわいい犬の歌を」とのMCから、小泉拓（Dr）の繰り出す軽快なリズムに乗せて披露されたのは「マルコ」。それまでのアップテンポな楽曲から一転、ゆったりとしたナンバーで和やかなムードを漂わせる。その後もバンドは小川幸慈（G）のソリッドなギターのイントロから始まった「週刊誌」、尾崎と長谷川カオナシ（B）の掛け合いが印象的な「グレーマンのせいにする」など新旧の楽曲を折り交ぜさらに場内の熱を上げていく。

中盤、アコースティックギターに持ち替えた尾崎が「今日来てくれた人に歌で傷をつけたいなと思ってます」「長くやりたいなと思って、このバンドを。だから忘れないでほしいなと思って、一生懸命歌います」と告げると「傷つける」を披露。尾崎の話しかけるような弾き語りから曲が始まると、ステージ後方のスクリーンには尾崎の原案をもとに制作された映画「自分の事ばかりで情けなくなるよ」が映し出される。会場にはバンドが丁寧につむぐ切ないサウンドが静かに響き渡った。演奏後には静まり返った観客を前に尾崎と長谷川が「傷つけすぎた？」と笑いを誘い、オーディエンスとの距離を縮めていく。長谷川が「私発信でもひとつ傷をつけたいなと思って」とモニタに腰かけると、おもむろにベースを弾き始めバンドはそのまま「HE IS MINE」を演奏。そして尾崎が「大人のコール＆レスポンスの時間になりました」と煽ると恒例の「セックスしよう！」コールが発生し、続く「あ」「身も蓋もない水槽」「社会の窓」では4人は感情を吐き出すような緊迫したプレイを見せた。

「季節外れの歌を歌います」という尾崎のささやきから「ラブホテル」の演奏が開始されると、ミラーボールが点灯し会場はダンスホールと化す。曲の途中で、尾崎が「『夏のせい』とかもう12月だし恥ずかしくなってきた。バカらしくなってきた。だって全部俺のせいだもん。止めよう」と演奏を中止。オーディエンスの「えー！」という大きな反対の声を受け「じゃあやろう」と曲を再開するという彼ららしいニクい演出も見られた。

終盤「今日でツアーは終わるけどまたその先へ行きたいなと思って1曲歌います」とのMCから披露された「オレンジ」、バンドの熱がさらに上昇した「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」に続けて、4人は1音1音確かめるように視線を合わせ「憂、燦々」へ。最後に尾崎は「メンバーの顔も見飽きて『またか』とか『ミスしてんな』とか思ったりするけど、そういうのも愛しいなと思いました。これからも一生懸命、クリープハイプとして頑張っていきたいなと、今、思っています」とツアーを振り返り「何よりお客さんにありがとうの気持ちを伝えたいです。本当にありがとう」と観客に感謝の気持ちを伝えた。加えて「『ありがとう』って素直に言えないから曲作ったんだけど、言えるようになりましたね。本当によかった、ツアーに出て」と噛みしめるように話すと「さっきはごめんね、ありがとう」で本編を締めくくった。

アンコール1曲目は長谷川のバイオリンと尾崎のギター弾き語りによる「自分の事ばかりで情けなくなるよ」。この演奏が終わると小川と小泉もステージに登場し、4人で新曲「ラジオ」を披露した。ゆったりとしたサウンドと尾崎の伸びやかな声が相まった壮大な1曲に観客はじっと聴き入る。アンコール最後の楽曲「女の子」では尾崎が丁寧に歌い上げた後のアウトロで「何を信じればいいんだよ！」と声を荒げる一幕も見受けられた。アンコールを終えステージを降りたメンバーは、再度大きな歓声に呼ばれみたびステージへ。すると尾崎の好きなプロ野球球団である東京ヤクルトスワローズのマスコット・つば九郎が尾崎のギターを持って登場する。つば九郎は「来年の4月、クリープハイプがあるところでライブをやります。それは、どこでしょう？」とクイズを出題。すると場内からはざわめきとともに「神宮球場！」「東京ドーム」など回答が上がる。その後尾崎は「そろそろ発表しますか」と4月16、17日に東京・日本武道館でライブを開催することを伝えた。これを聞いたファンからは大きな歓声と拍手が沸き起こり、さらに「おめでとう！」という祝福の言葉が会場に響いた。興奮に包まれる中、尾崎はうれしそうに笑顔を見せ「今まで『明日には変われるやろか』と歌ってきたけど、今日から変われることを証明します」と話し、「イノチミジカシコイセヨオトメ」を歌唱。バンド史上最大規模となった今回のツアーは、大団円のうちにその幕を閉じた。

クリープハイプ「秋、零れる程のクリープハイプ」
2013年12月5日 東京都 Zepp DiverCity TOKYO セットリスト

01. 愛の標識
02. ウワノソラ
03. 左耳
04. 手と手
05. マルコ
06. 週刊誌
07. リグレット
08. NE-TAXI
09. グレーマンのせいにする
10. 傷つける
11. HE IS MINE
12. あ
13. 身も蓋もない水槽
14. 社会の窓
15. ラブホテル
16. かえるの唄
17. オレンジ
18. おやすみ泣き声、さよなら歌姫
19. 憂、燦々
20. さっきはごめんね、ありがとう
＜アンコール＞
21. 自分の事ばかりで情けなくなるよ
22. ラジオ（新曲）
23. 女の子
＜ダブルアンコール＞
24. イノチミジカシコイセヨオトメ