キニナル君が行く!

キニナル君が行く! 第13回 [バックナンバー]

音楽プロデューサーの仕事って?

本間昭光さんに直撃取材!

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作曲・編曲とプロデュースの違い

──本間さんはプロデュースだけでなく、作曲や編曲も数多く手がけていますよね。頭の使い方に違いはありますか?

全然違うよ。プロデュース、作詞、作曲、編曲、ミックス、ライブ……全部使う脳が違う。今はライブプロデューサーとして動いているのか、作曲家としての顔なのか、アレンジャーなのか。常に切り替えながらやっているよ。

──意識的に切り替えるんですね。

今週も編曲作業とライブリハーサルが続いていて、その合間に作曲の予定が入っていたんだけど、これがなかなか切り替わらない(笑)。昼間リハして夜は作曲……の予定だったけど、全然スイッチが入らなくて。でも締切はあるので、そこをどうコントロールするかが勝負だね。

──プロデューサーモードに入るのも難しい?

いや、プロデューサーへの切り替えは簡単。難しいのは、作曲と編曲の切り替えかな。

──なぜその2つは難しいんですか?

作曲はゼロから生み出す作業で、編曲はあるものをよりよくする作業。作曲は「どうメロディを際立たせるか」「どうリクエスト通りの世界観を作るか」を考え、編曲は完成した素材をいかに聴きやすく、魅力的に仕上げるか。同時にやっているアーティストは本当にすごいと思う。さらに作詞までする人もいるけど、僕は無理(笑)。例えるなら作曲は“野菜作り”かな。土作りから始めて、種を蒔いて野菜を育てる。編曲は、それらの野菜をどう料理するかを考える“シェフ”の仕事。いい食材があっても、調理の仕方で味は全然変わるでしょう?

──確かに! では、プロデューサーは?

真剣にインタビューするキニナル君。

真剣にインタビューするキニナル君。 [高画質で見る]

プロデューサーはその全体の流れを設計する人だね。コーディネート型なら「君は野菜を作って」「君は料理して」と指揮を取ってお客さん(リスナー)に食べて(聴いて)もらう。全部自分でやる人もいるけどね。そこに“アーティスト”という看板が加わると、それはもう“レストラン”だよ。そのお店の評価をどう上げていくか──「あそこのレストランおいしいよね」「雰囲気いいよね」と思ってもらえるように育てる。それがアーティストをプロデュースする醍醐味だと思う。

ポルノグラフィティのプロデュース

──本間さんがプロデュースしたアーティストについて具体的にお伺いしたいんですが、ポルノグラフィティはメジャーデビューのタイミングから長くプロデュースを担当されてました。当時はどんな意識で取り組んでいたんでしょう?

あの頃はとにかくがむしゃらだったなあ。彼らも僕らスタッフも、全員が「どうすれば売れるか?」を真剣に考えてた。事務所、レコード会社、制作陣が三位一体となって、どうやったらポルノグラフィティを世の中に広められるかってね。まだCDが売れていた時代だったし、売上やライブの動員数といった“目に見える結果”を出すことが成功の証だったね。

──明確に結果を意識していたんですね。

最初に“答え”を決めて、そこから逆算していく発想でやっていたよ。「全国ツアーを成功させたい」「NHK紅白歌合戦に出たい」、それが答えです。そのためには何が必要か?どういう曲を出すべきか?という具合に、“答え”がはっきりしている中で、そのための“方程式”をどう組み立てるかをチーム全員で考えていた。当時はそういう制作スタイルだったね。

──ただ、答えがあっても、その通りに導くのは簡単じゃないですよね。

だからこそ、どうすれば導けるかを全員で徹底的に考えていた。事務所のやるべきこと、レコード会社のやるべきこと、制作陣のやるべきこと。そしてアーティストのモチベーションをどう保つか。それぞれの役割を整理しながら進める。うまくいったのは、全員が同じ方向を向いていたからだろうね。でも同じ方程式を別のアーティストに当てはめることはできない。アーティストによって出すべき答えも導き方もまったく違うから。例えばアーティストが「こういう曲を作りたいけど形にできない」と言うとき、お茶を飲みながら話すだけで発想が広がる人もいれば、外に出て刺激を受けるのがいい人もいる。逆に、部屋にこもってサウンドを研究するタイプもいる。常に人と向き合って見極めるのがプロデューサーの仕事。そこが面白くもあり、難しい部分だね。

プロデューサーとして一番やりたいこと

──ポルノグラフィティとは10年以上の長いスパンで関わっていましたけど、関係性や距離感は変化しましたか?

いい意味で変わってないかな。時間が経つと現場スタッフの世代交代もあるし、アーティストとしての地位はどんどん上がっていく。そうすると、若手スタッフはなかなか意見を言えなくなっていくんだよね。僕みたいにデビュー当初から近い立場で関わっていた人間は、関係性が変わらないからこそ今でも言えることがある。

──そうやってなんでも言ってくれる存在がアーティストにとって重要なのかもしれないですね。

アーティストがある程度の地位を築いたあとに必要なのはバランス感覚だと思う。「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」じゃないけど、上に行けば行くほど謙虚にならなきゃいけない。ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手なんか、まさにそうだよね。ちやほやされたり、お金を手にしたりすると初心を忘れがちなんですよ、人間って。でも、ちゃんと意見を伝えられる関係性でいたい。とはいえ、今は強く言うとすぐ「パワハラ」って言われちゃう時代だけどね(笑)。

──昔の現場ってすごかったんでしょうね……。

昔の現場を想像して怯むキニナル君。

昔の現場を想像して怯むキニナル君。 [高画質で見る]

めちゃくちゃ厳しかったよ。スタジオで譜面の書き方1つで怒られたし、バイオリンの音階が下はソまでしかないことを知らないで譜面を書いたら、演奏しながらミュージシャンに「ファの音ないんだけど?」なんて嫌味を言われたり(笑)。

──譜面を見たらわかるのに、わざわざ弾いてから言うなんて意地が悪い……!

でも、その悔しさが今でも忘れられなくて血肉となっている。もちろん今の時代に同じことはできないけど、自分が関わるアーティストには、厳しさと愛情を持って勉強になることをちゃんと伝えたい。

──「厳しさの中にも愛がある」と言いますもんね。

アーティストって本当に大変な職業なんだ。たとえメジャーで活動しているアーティストでも、契約が終わったら、その先は自分で生きていかなきゃいけない。我々スタッフは別の仕事があるけど、アーティストはなかなかそうはいかない。だからこそ、自分が関わっているうちに“その先も生きていける力”を身に付けてほしい。その意識を植え付けてあげることが、プロデューサーとして僕が一番やりたいことだよ。

──例えばアーティスト活動はやめても、作曲家やプロデューサーなど、裏方として成功するケースもありますよね。セカンドキャリアで成功するにはどんなことが必要ですか?

アーティストだった自分を一度手放せるかどうか。そこが大きいかな。アーティスト感覚が強く残りすぎていると、中途半端になってしまう。自我を持つのは大切だけど、制作側に回るなら一度リセットしないと難しい。ただ、寺岡呼人さんや亀田誠治さんのように、アーティスト活動とプロデュース業を並行してできる“二刀流”の人たちもいる。あれは本当に大変だよ。

──確かに、両方やってる人は少ない印象があるなあ。

二刀流は才能だけじゃなく相当な努力が必要だよ。大谷選手がまさにいい例だよね。メジャーリーグであんな簡単に結果を出してるように見えるけど、人の何倍も努力している。音楽の世界の二刀流も同じだと思うよ。

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MVNace 🌊RIVER @melvinace88

@natalie_mu 本間昭光さんのような音楽プロデューサーは、アーティストの楽曲制作やアルバム制作の全体を統括する役割を担います。具体的には、作曲や編曲の方向性を決めたり、レコーディングの進行管理、サウンドの調整、演奏者やエンジニアとのやり取り、時には歌詞やメロディのアドバイスも行います。ポルノグラ

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