Crazy Raccoonオフィスでゲームをするのっちさん。

のっちはゲームがしたい! 第10回 [バックナンバー]

平岩康佑さんの実況を生で聞くべく、Crazy Raccoonオフィスで「Apex Legends」に挑戦しました

“日本初のeスポーツアナウンサー”が実現させたい世界とは

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平岩さんは僕らにとってお父さんみたいな存在なんですよ

のっち 私はもともとゲーム実況が好きで観ていて、にじさんじの面々が「Apex Legends」の大会に出たときに、「CRカップ」という大きな大会があること、それを主催しているのがCrazy Raccoonというチームだということを知りました。「ポップなイラストの人がたくさんいるな」って。

Francisco 僕らのことですね。

左からカワセさん、Franciscoさんのキャラクター。

左からカワセさん、Franciscoさんのキャラクター。

のっち ピンクの髪がかわいくて、女の子なのかなと思ったら男の人の声でした(笑)。

Francisco こんな声で申し訳ないです(笑)。

のっち プロゲーミングチームって、例えば蛍光の青とか緑をビジュアルに使ってるイメージがあるんですけど、CRは見た目がポップでキャッチーですよね。皆さん華があるなあって。

Francisco 立ち上げた当初は「ゲーマーをカッコよく魅せる」という理念があったんです。今はもう「自由が一番」ってことで、おのおの伸び伸びやらせていただいてますけど。

平岩康佑 4年くらい前にオーナーに初めて会ったときに、ずっと思い描いていた夢を話してくれたんです。そこで「いかにもプロゲーマーっぽいユニフォームやチームカラーは使いたくない」と言っていて。XLARGEと組んでユニフォームを作ったり、映像の中で流す音楽をヒップホップにしたり、そういうのはこだわっているみたいですね。

左からのっちさん、平岩康佑さん、Franciscoさん、カワセさん。

左からのっちさん、平岩康佑さん、Franciscoさん、カワセさん。

のっち あとCRカップって、解説のあれるさんがメイド服のコスプレをして出てきたり、両親への感謝の手紙を読み上げるとポイントを減らせる「感謝ポイント」ルールがあったり、競技としてだけでなくエンタメとしても面白い大会だなあってところから気になりましたね。

Francisco めちゃくちゃ観てくれてるんですね! あれるさんの名前が出てくるなんて(笑)。

のっち でも、そんなふうにすごく間口が広いのに、個人個人を見るとみんなめちゃめちゃ本気でゲームをやってるから、CRを入り口にプロゲーマーやストリーマーにのめり込んでいく人は多いだろうなという印象です。

平岩 うん、ゲームだから「遊んでるんでしょ」と思われる方もまだ多いので、そのイメージは覆したいですね。みんな1日10時間くらい練習したり、覚悟を持ってゲームに人生を費やしてるし、家族と和解できないままプロゲーマーになった子もいる。だから「彼らは本気で勝負してるんだ」ということが観ている人に伝わったらいいなと思いながら実況をしているところはあります。

のっち 私もさっき「のっちさんはこの日のために10時間プレイしてきました」って実況されました(笑)。

平岩 10時間もやって来てるとは思わなかったので(笑)。「番組でプレイするためにちょっと触ってきました」「一応インストールはしました」程度の人は多いですけど、そのレベルではないじゃないですか。

のっち 多少は動けるようになってから来たかったので(笑)。選手のそういう情報はどうやって得ているんですか?

平岩 プロ野球とかでも、選手に直接会いに行って「昨日のピッチングはどうでしたか」みたいなことを取材して、仲よくなるとプライベートで一緒に食事に行ってより深い野球の話を聞いたりするんです。だからそのとき聞いた話を実況でみんなにも聞いてもらいたいという気持ちがあって。eスポーツでもなるべく選手とはコミュニケーションを取るようにしていますし、試合前に選手に話を聞く時間があったら絶対に取材してますね。

平岩康佑さん

平岩康佑さん

Francisco 平岩さんは僕らにとってお父さんみたいな存在なんですよ。

平岩 えっ! お父さん? そこまでは歳は離れてないでしょ(笑)。

Francisco 僕らのことをここまで知ってくれる人ってなかなかいないですし、特定の誰かじゃなくて全員のことを万遍なく調べてくれてるんですよ。大会中に間違った情報を言ってもすぐに修正するし、そういうところもすごく誠実だから、お父さんみたいな人だなって思ってます(笑)。

のっち 「ゲームの大会で実況してる人って何者なんだろう?」ってずっと思ってたんですけど、平岩さんはアナウンサーから転身した方ということで、安心して観れるなと思ったんですよね。変な言葉遣いをしたり、おかしなことを言ったりしないだろうという安心感。

平岩 そうですね。正確じゃない情報は言えないので、現地調査したことを話すようにしています。

韓国でeスポーツの大会を観て、帰国した次の日にテレビ局に辞表を出しました

のっち テレビ局のアナウンサーだった頃は、平岩さんは報道の人だったんですか?

平岩 ニュースも読んでましたけど、メインはスポーツ実況でしたね。基本は野球とサッカーで、ラジオでも箱根駅伝や女子ゴルフを実況してました。

のっち そこからゲーム専門の実況に転身したのはどうしてですか?

平岩 もともとゲームが好きだったんですが、2017年の冬くらいに「eスポーツが海外で盛り上がってる」という話を聞くようになって、日本に先駆けて盛り上がっていた韓国で「リーグ・オブ・レジェンド」というゲームの専用スタジアムに大会を観に行ったんです。300人くらいが入る円形のスタジアムだったんですけど、熱気がすさまじくて。見た目はゲーマー的というか、サッカースタジアムにいるのとはちょっと違ったタイプの人たちが、拳を突き上げて声を枯らしながら一心不乱に選手に声援を送ってたんです。それを見て「きっとこんな人たちが日本にも潜在的に眠ってるんじゃないか」と思って、韓国から帰国した次の日にテレビ局に辞表を出しました。

のっち ええええ!

のっちさん

のっちさん

平岩 「日本でも、ゲーマーがこれだけ脚光を浴びられるようにしたい」と思ったら、いてもたってもいられなくて。アナウンサーを辞めたら当然収入もなくなるし人生を失敗するかもしれないけど、乗り遅れてほかのアナウンサーに先を越されるのが一番嫌だったんですよ(笑)。自分が第一人者にならなければ一生後悔するぞと思って、すぐに部長に相談しまして。高校野球の第100回大会の直前だったのでいろいろ大変だったんですけど。

のっち フリーアナウンサーになって、ゲームの仕事と今までやっていたような仕事を両立する道もあるじゃないですか。そこでeスポーツ専門の会社を作ったのはどうしてですか?

平岩 それまでもゲームの大会を実況していた人はいたんですけど、「アナウンサーのプロの技を見せて、eスポーツ実況のクオリティを数段上げる」というのを一気に進めたかったんです。そうすれば「ゲームをするのはカッコいいこと」というイメージが付いて、大会や実況に対するみんなの見方も変わるんじゃないかと思って。

のっち 今までになかった会社を始めることに不安はなかったんですか?

平岩 会社を辞めたときはやっぱり少し不安はあって、僕はあんまりお酒を飲まないんですけど、珍しく弟とかなり飲んでたんですよ。現実を見たくないと(笑)。次の日に昼頃まで寝てたら、弟が「会社を辞めたことがYahoo!ニュースのトップに出てるよ!」って教えてくれて。当時すでに幕張メッセとかビッグサイトでも大会をやるようになっていたので、ニュースを見たゲーム会社やイベント制作会社などから連絡があって、その日のうちに70件くらい仕事が来ましたね。1日中電話が鳴り止まなくて。

実況のために準備した、選手全員に話を聞いて情報を書き込んだメモ

のっち プロの大会だけでなく、社内ゲーム大会で実況をされることもあるんですね。

平岩 ありますね。自動車を作っている方々の大会とか。オープンなイベントではないんですけど、社内大会ってすごく楽しいんですよ。新人が部長をボコボコにしたりするわけで(笑)。そのために事前に部署名、仕事内容、家族構成とかを全部教えてもらって「システム開発部部長! 対するは1年目! 4月に入社したばかりです!」「部長のヘッドショットが決まった!」みたいな実況をすると、ものすごく盛り上がるんですよ。

のっち それは盛り上がりますね(笑)。やっぱり事前の準備は大事なんですね。

平岩 基本的に実況は準備がすべてで、試合が始まってからできることって実はあんまりないんです。これ、普段は人に見せないんですけど、僕が実況のために準備した選手の資料です。60人いる選手に1人ひとり話を聞いた情報を書き込んで、「この人が勝ったらこんなこと言おう」というメモを付けてます。

平岩さんが「CRカップ」の実況の際に実際に使用した資料。

平岩さんが「CRカップ」の実況の際に実際に使用した資料。

のっち うわー、これはいつの大会ですか?

平岩 山田涼介Hey! Say! JUMP)くんが出たときのCRカップですね。例えば山田くんの場合「湘南ベルマーレのジュニアユース」「日本アカデミー賞 新人俳優賞」みたいな情報を書いておいて、前日にWokkaくんとの1対1を制していたのでそのことを赤ペンで追加してます。

のっち 叶さん(にじさんじに所属するバーチャルライバー)のとこ「人脈プレデター」ってすごい(笑)。

平岩 読まれるのはちょっと恥ずかしいんですけど、皆さんの配信を観たりTwitterをチェックしたりして、こんなことを調べてます。

のっち カワセさんの名前もありますね。

カワセ えっと……「クレーバー得意」。それだけっすか?(笑)

平岩 まあまあ(笑)。ほかにも「自由に動かす」って書いてますね。カワセくんと同じチームのDJ Foy(Repezen Foxx)くんに前日たまたま会ったので意気込みを聞いたら、「カワセは自由に動かして、ほかの2人でカワセをカバーするような戦いをしたい」と言ってたので。

カワセ コメント薄くないっすか? 「湘南ベルマーレのジュニアユース」「日本アカデミー賞 新人俳優賞」と差がすごくないっすか?

Francisco そりゃ山田さんと比べたら差はあるだろ(笑)。

平岩 でも、クレーバーを持ったときに「カワセはこれが得意です!」って言えるのは大きいんですよ。観てる人の期待感が全然違ってくる。

カワセ そんなふうに言われたら、外したときにヤバイんですけどね(笑)。

左からのっちさん、平岩康佑さん、Franciscoさん、カワセさん。

左からのっちさん、平岩康佑さん、Franciscoさん、カワセさん。

平岩 バトロワゲームで生き残るのって、芸能界でサバイブすることに例えたりもできるんです。だから今日ののっちさんの場合、「アクターズスクール広島で2000年春に結成されて以来、20年以上にわたって活躍」みたいな情報が実況に使えたんですよ。

のっち ありがたかったですね、それ言ってもらったとき(笑)。

平岩 あと「Apex」はワールドワイドなゲームなので、「2019年にはアメリカ最大の音楽フェス『Coachella』に出演」というのも使いどころがある。ほかにも「大舞台の一発勝負に強い」という話につなげるために「『NHK紅白歌合戦』に14年連続出場」という話をしたり。14年連続って高校野球で言えば超強豪校、大阪桐蔭みたいな存在ですからね(笑)。何が生きるかわからないので、できる限りのことは調べて、それを適所で出してます。

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「ゲームが好き」って堂々と言える世の中にしたい

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「のっちはゲームがしたい!」連載第10回が公開!今回はプロゲーミングチーム・Crazy Raccoon のオフィス兼ゲームスペースにて“日本初のeスポーツアナウンサー”として知られる平岩康佑さんと対談してきました✨🎮

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