のっちはゲームがしたい! 第10回 [バックナンバー]
平岩康佑さんの実況を生で聞くべく、Crazy Raccoonオフィスで「Apex Legends」に挑戦しました
“日本初のeスポーツアナウンサー”が実現させたい世界とは
2022年2月18日 18:30 350
みんなの質問、のっちが代わりに聞いてきますのコーナー!
のっち ここからは皆さんに、読者から届いた質問に答えてもらいます。まずはこちら。
平岩さんの著書を拝読しました。転職もeスポーツ実況も、状況や情報の取捨選択のスピードが必要かと思いますが、インプット・アウトプットのコツや心がけていることを教えてください。
平岩 まず取捨選択をするためには、いろんな情報を知ってなきゃいけませんよね。僕は情報をインプットするのが好きで、特に本を読むことを大事にしてるんです。「読書は効率が悪い」と思っている若い子も多いようですけど、著者の数十年の考えや経験が詰め込まれた1冊を、読者は4、5時間で読むことができるわけで、そんなにコスパのいい体験ってなかなかないと思います。そして、人と話しているときに「俺は最近こんな本を読んだよ」「こんな面白いことがあったよ」みたいなことをお互いに伝え合うと、相手のアウトプットが自分のインプットになる。これを繰り返していくと、自分の中にいい情報がどんどん集まってくるんです。
のっち なるほどー。私はよく「どこの大学に行こうか迷ってる」「どこの企業に入ろうか迷ってる」みたいなお悩み相談をもらうんですよ。
平岩 のっちさんも進路について相談を受けるんですね。子供の頃からポップアーティストとして全然違う生き方をしてるのに。
のっち 悩める10代が多くて(笑)。でもそういう悩みって結局、自分の中にある情報が少ないってことなんですよね。どれを選ぶか考える前に、少しでも多く情報を入れてから取捨選択をすれば決断しやすいのかなって、今の平岩さんの話を聞いて思いました。では続きまして。
お互い(アーティスト・ゲーマーとして)「プロ」として大切なことは何だと思いますか?また「あ?!この仕事で良かったな!」と思う時はどのような時ですか?
のっち これは皆さんに聞いてみたいです。プロとして大切なこと。
カワセ 僕はプロゲーマーをやってる期間がめちゃくちゃ短かったんですよ。18歳で始めて、半年もやってないんじゃないかな。だからプロ意識を語るなんておこがましいんですけど、“プロストリーマー”という立場で話をすれば、言っちゃいけない言葉とかはめちゃくちゃ調べました。今でこそTwitterのフォロワーは30万人いるんですけど、高校生の頃は60人くらいしかいないし、友達しか観てないと思ってそこまで気を遣ってしゃべってなかったんです。でも今は、誰もが知っているような有名人と絡む機会も多くなったので、誰が観ていても失礼のないようにしゃべらないといけない。普段使ってるけど言わないほうがいい言葉って、山のようにあるんで。プロになってよかったことは、好きな時間に寝て好きな時間に起きれることですね。二度寝しても誰にも怒られないんで(笑)。
Francisco 僕も今はカワセくんと同じく配信者なんですけど、プロゲーマーをやっていた時期は「絶対に誰にも負けない。自分が味方を引っ張っていくぞ」というギラついた気持ちを常に持ち続けてました。その気持ちがたくさんの練習につながって、そしてその練習が自分の励みや自信につながるんです。でも「あの子には勝てないな」と思ったときに、ギラつきがなくなって、もう勝負の世界にはいられないなって踏ん切りが付いたんですよね。
のっち ギラつきって自然と湧き上がる感情だから、コントロールできるものじゃないですもんね。それを保ち続けるってなかなかできることじゃないし、プロゲーマーってすごいなと思います。
平岩 僕の場合はやっぱり「準備」かな。準備を怠らない人がプロです。75点の実況をしろと言われればできるんですよ。局アナだった経験もあるし、準備をしなくてもやろうと思えばできる。でも「まだまだ足りないかな……?」と思いながら睡眠時間を削って書いた1行のフレーズが、自分の人生で一番いい実況を引き出すこともあるんですよ。使わないまま捨てる情報もいっぱいあるんですけど、そこまで準備したときにしか100点は出せないし、奇跡的な瞬間にも立ち会えないんですよね。
のっち 今の話、自分たちのライブに向けての練習と重ね合わせて聞いてました(笑)。あと
カワセ 相手を信じられるのもプロですね。
Francisco 確かに。「Apex」みたいにチームを組むゲームもそうですね。
スクリムや大会当日、また大会中でも特に初戦と最終戦では緊張感が全然違い、ピリついた空気が伝わってきます。配信をしていると言うだけでも十分緊張しそうだなと思うのですが、どのように緊張をほぐしていますか?メンタルを保つ秘訣を知りたいです。
カワセ スクリムというのは要は練習試合のことなんですけど。
のっち 緊張はしますか?
カワセ しますね。全然します。
のっち 緊張してるときにはどうしていますか? 緊張を抑えようとするのか、それとも緊張を自分のモチベーションに変えるのか。
カワセ 初戦がやっぱり一番緊張するんですよ。その日の流れは初戦で決まるっていうくらい大事なので。でも、気付かないうちに緊張は解けてますね。なんでだろう……全然考えたことなかったです。
のっち 「緊張して手が震える! どうしよう!」みたいなことは?
カワセ まったくないっす。
平岩 のっちさんも、紅白に出るときに緊張しないですよね? 14年も連続で出てるし。
のっち いやいや、めちゃくちゃ緊張しますよ(笑)。メンバーと指を合わせる振りのときに、みんな手が震えてるんですよ。
カワセ やっぱりストリーマーより競技シーンで戦ってるプロのほうが強いんですよ。彼らがなんで強いのか考えると、より緊張に強いというのが大きい。緊張を力に変えるから、本番になると強いんだろうなと思います。
Francisco 僕がやるのはチームを組んでやるゲームばかりで、1人でプレイするゲームを今までしてこなかったんですけど、「自分1人で戦ってる」と思っちゃうと「がんばらないと」というプレッシャーで緊張しちゃうんです。「みんなで同じ目標に向ってるんだ」と思えば、勝ちにこだわりすぎずに落ち着いた気持ちでゲームができるんですよね。
のっち チームの関係がうまくいかなくてギクシャクしてきたときは、どうしてるんですか?
Francisco 逆に自分が一番慌ててあげるんです。例えば最終試合とかになると、みんな熱くなって手が震え始めるんですよ。そういうときは僕が率先して、声を出してテンパってる感じを出す。それで「ああ、自分だけじゃなくてこの人も緊張してるんだ。自分はそこまでじゃないからまだ大丈夫だ」という空気を作って落ち着いてもらう、という。
のっち へー!
平岩 それができるのはすごいね。
カワセ 負けず嫌いが過ぎると、チームメイトに対しても負けず嫌いになっちゃうんですよね。明らかに僕のせいではないミスなのに突っかかってくる人とかいるんですよ。でも僕はそういうときも耐えますね。「ごめんなさい、僕が悪かったです」って。
Francisco なごませるのは大事だよね。
カワセ 言い合いをするのが100%悪いとは思わないし、時には腹を割って話し合うべきだけど、本番中にそれをするのは違うと思うので。
今後はゲーム制作やプロゲーマーだけでなくゲーム実況者を目指す子供たちも増えていくと思われます。そのような子供たちに何かアドバイスするとすればどのような事でしょうか?
平岩 近いうちにアナウンサー的な立場で地上波のテレビにゲーム実況者が出演するようになると思いますが、アナウンサーってやっぱりしゃべるのが好きなんです。アナウンス部の忘年会に行くと、全員しゃべりたいから声の大きさで上回ろうとしてすごいことになるんですよ(笑)。もしここで「1時間つないでください」と言われても、何も困ることなく1人でしゃべり続けることができます。だから、相手が家族でも学校の友達でもいいんですけど、「しゃべるのが好きで、それを聞いてみんなが楽しそうな顔をしてるのが好き」という人は合ってるんじゃないかな。
のっち この質問はストリーマーであるお二人にも聞きたいですね。
Francisco 僕はゲームが好きであることが一番重要だと思います。ゲームの人気って移り変わりが激しいので、特定のタイトルだけでなくいろんなゲームに興味を持ってやりたくなる人じゃないとキツいかもしれない。
カワセ 自分で言うのもアレですけど、僕は本当に運がよかったんですよ。配信者をやるんなら、いかに面白い人だろうが強い人だろうが、知られてなかったらどうしようもない。僕はもともとプロになる気なんてまったくなくて、働く気で就活してたのに、気付いたらこうなってたんです。周りにいた仲のいい人と一緒にゲームをやってたらひょんなことからプロゲーマーになって、プロでがんばってたらCRのオーナーとつながって。正直、人脈と運はマジで大事だと思います。
のっち うん、大事。Perfumeも出会いに恵まれて14回目の紅白です(笑)。
カワセ 14年連続はマジでえぐい(笑)。14年前って僕まだ6歳ですよ、お父さん。
平岩 俺に言わないで(笑)。
のっち 今日はどうもありがとうございました。平岩さんがしているような実況がみんなの魅力を引き出してくれて、eスポーツが楽しくなってるんだというのがよくわかりました。自分より選手を大事にしていることが、観てる側にも伝わってるんだろうなって。
平岩 のっちさんはやっぱりプロ意識が高い方なんだなと思いましたね。予想していたよりもずっとCRに詳しくて。今日、最初にFranciscoくんを紹介したときに、のっちさんが「あっ! シスコさん!」って言ったのにビックリして。その呼び方は本当にいつも観てないと出てこないから。ツアーの真っ最中でお忙しい中なのに「Apex」を10時間プレイして来たこともそうですし、しっかり準備してくるプロ意識にたじろぎました。やはり「紅白」14年連続出場は伊達じゃないですね。
のっち それ、私のことイジり始めてますよね?(笑)
のっちさんの取材後記
こんにちは、家にいるときは基本的にゲーム配信を流しながら生活してます、のっちです。
なんだけど、忙しくなると長時間の配信を流す時間が無くって、配信の切り抜き動画(ハイライトや面白いシーンを集めた魅力バカ詰め詰め動画[※編注:配信者と契約した公認切り抜きチャンネルも多数あり])ばかり見るようになるんですよ。
特に大会があると、練習配信から二次会ゲームまで、至る所で名シーンが爆発的に生まれて、切り抜かれて。
で、切り抜き動画見てたら、いつの間にか《あなたへのおすすめ》が面白そうな切り抜きでいっぱいになっちゃって、切り抜きに出てきたストリーマーの本配信をおすすめされて。見ちゃって。好きになっちゃって。次の大会はライブ配信で応援したりして。
頻繁に名前や顔が目に入ると「あれ私この人のかと好きなんかな?」って思っちゃうことないですか? なんかそういう心理学の効果ありますよね。まんまとですよね。
そんな毎日です(ハート)
さて! 今回はeスポーツアナウンサーの平岩さん、Crazy Raccoon所属ストリーマーのカワセさん、Franciscoさんに話を伺いにCrazy Raccoonオフィスへおじゃましました。
ねえ!!!!!
もっかいやりたかったあ!Apex!
楽しかったなあ~。
楽しかったけど、もっとちゃんとカメラ役を!やりたかった!
ちょっとガチめに「ちょともっかい……やりたいす」みたいな空気出してみたけど、完全一発勝負でした(笑)
私がこの先どれだけ頑張っても、この人達と楽しく遊べるレベルまで強くはなれないし……もう一生この人達と遊べることはないんだろうなあ……って思うと寂しくて、小学生の時に英会話教室の合同キャンプでその場限りだとわかって仲良くなった友達との別れを思い出していた……。
また遊んでほしいなあ。
そんな、初心者Apexにも平岩さん流石の実況で、優しくて面白い試合に仕上げてくださいました!(感謝) 本物だった。
平岩さん、今この場で1時間繋いでくださいって言われても全然困らず喋り続けることができるって。
大会実況やアナウンサーに合っていると思う人物像、のような話の流れで仰ってたんですが。すごすぎ。わたしなら2分だね!
これから目指す子どもたちへのアドバイスとして、苦手意識があると、どこかで悩んだり苦しくなることもある。とにかく喋ることが好きで、それで楽しんでもらうことが好きな人が合っている。といったようなことを仰ってて、それがとても印象的でした。
苦手意識をもっていることが魅力になり、後々プラスに働くことも職業によってはあるけれど。「好き」でいるって、それだけで“闘う”世界が変わっちゃう。目線と速度が変わるすごい才能です。それを体現してる方たちでしたねえ。
ここ数年個人的にテーマにしている「好き」の力を、目の当たりにした出会いでした。
平岩さん、カワセさん、シスコさんありがとうございました!!!
次回は、大好きな『テイルズ オブ』シリーズだ!
絶賛プレイ中の「テイルズ オブ アライズ」IP総合プロデューサーの富澤祐介さんに会いにゆきます。
まず最初の質問は「IPって、何ですか?」になることでしょう! 楽しみです!!
次回予告
人気ストリーマーと一緒にゲームをして、その様子をeスポーツキャスターに実況してもらうという、なかなかない貴重な体験をしたのっちさん。次回はバンダイナムコエンターテインメントを訪問し、「テイルズ オブ」シリーズのIP総合プロデューサーの富澤祐介さんに、昨年発売されたRPG「テイルズ オブ アライズ」についてお話を伺う予定です。
この連載では、訪問相手に聞いてみたいことをTwitterで募集中。ハッシュタグ「#のっちはゲームがしたい」を付けてツイートされた富澤さんへの質問を、のっちさんが代わりに聞いてくれるかもしれません。ぜひ質問をツイートしてください。
※募集期限は2月28日(月)まで。1つのツイートに書き込む質問は1つだけにするようにお願いいたします。
Perfume最新情報
TBS系で毎週火曜22:00より放送中のドラマ「ファイトソング」に、Perfumeが主題歌として新曲「Flow」を提供。これを表題曲としたシングルを3月9日にリリースします。
※記事初出時より本文の一部表現を変更いたしました。
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「のっちはゲームがしたい!」連載第10回が公開!今回はプロゲーミングチーム・Crazy Raccoon のオフィス兼ゲームスペースにて“日本初のeスポーツアナウンサー”として知られる平岩康佑さんと対談してきました✨🎮
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