上段左から、imai(group_inou)、KM、GeG(変態紳士クラブ)、下段左から篠田ミル(yahyel)、banvox、world's end girlfriend。

マイベストトラック2020 Vol.2 [バックナンバー]

トラックメイカー編

imai(group_inou)、KM、GeG(変態紳士クラブ)、篠田ミル(yahyel)、banvox、world's end girlfriendが選ぶ2020年の3曲

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2021年の幕開けに合わせて音楽ナタリーでは、さまざまなアーティストに「2020年にもっとも愛聴した3曲」を聞くアンケート企画を実施。回答者のジャンルごとに分けた全9本の記事を毎日更新していく。今回は「トラックメイカー編」として、imaigroup_inou)、KM、GeG(変態紳士クラブ)、篠田ミル(yahyel)、banvoxworld's end girlfriend(50音順)が選んだ2020年の3曲を紹介する。

構成 / 橋本尚平

imai(group_inou)

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横沢俊一郎「誰にもわからない」

AOTQ「あ・さ(feat. 初音ミク)」

LEX「Romeo & Juliet」

・横沢俊一郎「誰にもわからない」

間違いなく2020年で一番聴いたアルバムです。夜中にランニングしながら初めて聴いて、もう走り終わっているのに曲を止めたくなくて、しばらく家の周りをうろうろしたこととか、本人にイルカショーの動画を送り付けたこととか、自粛明けにようやく観れたライブの1曲目がこの曲だったこととか、全部がキラキラした思い出になっています。

・AOTQ「あ・さ(feat. 初音ミク)」

ツアー帰りにそのまま「Yu-Koh β版」(※2月に開催されたLocal Visionsとlightmellowbuの共同開催イベント)に遊びに行って、そのときはほとんどAOTQさんを観れてないのですが、トリの若ことSNJOくんがカバーしてるのがめっちゃ印象に残ってて、後日調べて購入しました。この曲のムードと自粛中の気持ちが重なって、狂ったようにこの曲ばかりをリピートしている時期がありました。本当に特別な曲だと思います。

・LEX「Romeo & Juliet」

最近のラッパーで一番好きです。顔もタイプ。2年前に友達のオオクボリュウとライブを観たことがあって、そのときはほかにもいっぱい出てたし、あんまりよく覚えてなくて、今回のアルバムを聴いて完全に落ちました。ドラゴンは2年前から見抜いてたからやっぱすごいなーって。いつも新しいラッパーはドラゴンに教えてもらってる。恐竜物語。

プロフィール

imai(イマイ)

1982年生まれ神奈川出身のトラックメイカー。2003年にMCのcpとともにエレクトロヒップホップユニット・group_inouを結成し、「FUJI ROCK FESTIVAL」「BAYCAMP」「RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO」といった大型フェスに出演して幅広い層のファンを獲得する。2017年にimai名義での初のソロ作品「PSEP」をリリース。2020年12月には七尾旅人をフィーチャーした「MONSTERS(feat. 七尾旅人)」を配信リリースした。

imai - Tumblr

KM

KM

KM

Jacques Greene「Night Service」

The Weeknd「Snow Child」

HONNE「la la la that's how it goes(Jordan Rakei Remix)」

・Jacques Greene「Night Service」

「At night service、土曜日のミサ、ステンドグラスの前で」
聴いているとフックがリフレインして、
コロナの影響で人がいなくなった夜の街の欠落感と合っていた。
レイヴサウンドに回帰したような方向性なのに、不思議とそれを感じさせない音像。
不協和音ギリギリまでピッチを揺らしたアナログシンセと、Lo-Fiな質感のドラムとアンビエントテクスチャー。
本当に毎日聴いていた気がします。

・The Weeknd「Snow Child」

これも人のいない夜か明け方が似合う曲で、
クラブ帰りの車でよく聴きました。
リリックに合わせて鳴るFXの作り込みが細かくて、そういうのの積み重ねが最終的に世界観を作っていくんだなと思いました。

・HONNE「la la la that's how it goes(Jordan Rakei Remix)」

Jazzanovaの「In Between」というアルバムが2002年にあって、なんとなく好きなままNu Jazz - Club Jazzなんかもひと通り聴いてきて、そのまま興味も失っていたのですが(雑ですいません 笑)
2020年にMoses Boydのアルバムを聴いてからUK Jazzがすごく面白く感じて、耳休めもあって、周辺のアーティストを聴きだしてました。
だからHONNEをフォローしてこの曲に出会ったのではなく、Jordan Rakeiをフォローしていてこの曲にたどり着いて以来、ずいぶん浸って、繰り返し聴きました。
2:30からのコード展開に注目してほしいです。

プロフィール

KM(ケーエム)

音楽プロデューサー。ヒップホップに根ざした音楽スタイルを保ちつつ、異ジャンルとの果敢なクロスオーバーを試みながら楽曲制作やリミックスを手がけている。2017年に初のインスト作品集「lost ep」、2018年にアルバム「Fortune Grand」を発表。2019年に田我流とのコラボ作「More Wave」、2020年には(sic)boyとコラボしたミニアルバム「(sic)'s sense」とアルバム「CHAOS TAPE」をリリースした。現在は2ndアルバムを制作中。

KM (@KM_music_) | Twitter

GeG(変態紳士クラブ)

GeG(変態紳士クラブ)

GeG(変態紳士クラブ)

Ariana Grande「safety net ft. Ty Dolla $ign」

Justin Bieber「Yummy」

GeG「I Gotta Go feat. kojikoji, WILYWNKA & Hiplin」

・Ariana Grande「safety net ft. Ty Dolla $ign」

2020年最後にリリースされたアリアナの新しいアルバムの中の1曲です。トラック、メロディともに大好きで聴きまくりました!
このハモリの感じとかVIGORMANとかにもやらせたいなと密かに思ったりしています。アリアナ自体もアイドルみたいな立ち位置にも関わらず音楽のクオリティはものすごく高いですよね。
Ariana Grandeの楽曲のMIX(TD)も毎回よく参考にさせてもらっていますね。本当に綺麗に音出てるなと!笑
僕自身理想の音作りにまだ到達できていないのでこれから聴いて吸収させてもらいます。

・Justin Bieber「Yummy」

今年は全体的に比較的リリースも少なかった中、一番印象に残ってる曲ですね。家でも聴いたし外でもたくさん聴いたな~。
とにかく、このアルバムをたくさん聴きましたね。チームワークある音作りにわくわくさせてもらいました。僕はプロデューサーがしっかりしてるチームが好きですね。

・GeG「I Gotta Go feat. kojikoji, WILYWNKA & Hiplin」

2020年忘れることができない一生大切な曲を作ることができました。これは本当に自分で作ったくせにめちゃくちゃ聴きましたね!
ずっとやりたかったドラムもベースもキーボードもギターもストリングスもすべて生でレコーディングしながらも、打ち込みと同化させる。
自分のスタイルを確立できたなと思える曲です。ただコロナの直前にリリースしてまだMV撮影もできてないので、
まだまだこれからもみんなに聴いてもらえるようがんばりたいですね。それくらい人生を変えてくれた大切な楽曲です。

プロフィール

GeG(ジージ)

音楽プロデューサーとして、ラッパーのWILYWNKA、レゲエディージェイのVIGORMANとともに2017年に変態紳士クラブを結成。同年リリースの「ZIP ROCK STAR」に収録された「すきにやる」のミュージックビデオがYouTubeで1500万回再生を突破した。2019年8月には初のソロアルバム「Mellow Mellow ~GeG's PLAYLIST~」をリリースした。

”GeG”ジージ (@GeGisMellow) | Twitter

篠田ミル(yahyel)

篠田ミル(yahyel)

篠田ミル(yahyel)

Phew「Midnight Awakening」

Beatrice Dillon「Clouds Strum」

Sully「Swandive」

ご多分に漏れず、“おうち時間”の増大で例年以上にじっくりとエクスペリメンタルなものを聴くようになった(そういえば、富ヶ谷の私邸で優雅に犬を撫でながら素敵なおうち時間を過ごしていたあいつはいつ逮捕されるんでしょうね)。その中でもよく聴いたのは、Phew、William Basinski、Beatrice Dillon。

Phewの「Vertigo KO」の中でも「Midnight Awakening」は音響処理を施されて変形していくPhewの語りとその詩の内容の生活感のミスマッチが、不気味な異化作用をもっていてゾクゾクさせられた。日本の風土が持つ湿度と幽玄さを捉えてしまった傑作だと思う。William Basinskiの「Lamentations」も素晴らしい1枚で、またベクトルの違う幽玄さを味わえるのであわせてどうぞ。

一方で、Beatrice Dillon初のソロアルバム「Workaround」には徹底的に情感といった類のものが切り落とされたサウンドデザインに驚かされた。アフロカリビアンなリズムアプローチとUKダンスミュージック的なマナー、それにミニマルアートや抽象絵画的な美学が適用されたもの、とでも表現すればいいのだろうか。Beatrice Dillonさん、人生を何周すればそんなものが出てくるんでしょうか。
(Beatrice DillonのプライベートスタジオにGenelecが鎮座している写真を見て我が家にも導入させていただきました、ウフフ)

一方でフロアへの飢餓感があってなんだかんだで直球のダンスミュージックもがっつり聴いていた。
Sullyの「Swandive」は「Mixmag」のエディターも年間ベストに挙げていたが、アーメンブレイクの新しい地平を開く傑作フロアキラーだと思う。まだまだアーメンブレイクの可能性は広大です。Special Requestの「Spectral Frequency」とともにDJでも大変お世話になりました……本年も何卒よろしくお願いいたします……アーメン、アーウーメン……。

いよいよ2回目の緊急事態宣言で、ライブハウスやクラブは去年よりも一層厳しい状況に立たされているが、なんとしても街角で音楽が鳴る場所を絶やさないようにしたい……。
政府さん、敬意・絆・感謝は結構なので減税・補償・給付金をお願いいたします。

プロフィール

篠田ミル(シノダミル)

yahyelのメンバーとしてサンプラー / プログラミングを担当する傍ら、DJやコンポーザーとしても活動。テクノを軸にインダストリアル、ベース、エクスペリメンタルを横断するハードなDJセットを模索している。またサウンドデモ「プロテストレイヴ」や、坂本龍一とGotch(ASIAN KUNG-FU GENERATION)が中心となって開催される「D2021」といったイベントの企画・運営を通じて、社会問題や政治参加に関するメッセージの発信も積極的に行う。

Miru Shinoda 篠田ミル・Instagram photos and videos
篠田ミル / MIRU SHINODA (@shinoda_man) | Twitter

banvox

banvox

banvox

Chris Brown, Young Thug「Say You Love Me」

Chris Brown, Young Thug「Go Crazy」

Juice WRLD ft. Halsey「Life's A Mess」

Chris Brownが2020年5月頃にリリースした「Slime & B」は、2013年から大好きだったYoung Thugとのコラボレーションという、僕にとって最高のアルバムで、「Say You Love Me」と「Go Crazy」は毎朝聴いていました。
プロデューサーには、音楽シーンの最前線で活躍するOG ParkerやMurda Beatzなどが参加しており、ここからインスピレーションを得て、今のbanvoxがいると言っても過言ではありません。

「Life's A Mess」はJuice WRLDが亡くなった後にリリースされた楽曲です。
僕は高校生でデビューしたのですが、これまで様々な葛藤や苦悩などたくさん経験してきました。
2020年はコロナウイルスという思いがけない困難に直面し、まさに「Life's A Mess」だと感じました。
楽曲に込められたJuice WRLDのメッセージに何度も救われました。2020年ヘビープレイした楽曲の1つです。

プロフィール

banvox(バンボックス)

東京を拠点に活動する音楽プロデューサー。2010年に音楽制作をスタートさせ、2011年にMaltine Recordsよりミニアルバム「Intense Electro Disco」をリリースしてデビュー。2012年にイギリスの音楽レーベルであるSurfer Rosa Recordsより「INSTINCT DAZZLING STARLIGHT EP」を発表すると、各配信サイトのチャートで上位を記録した。2015年5月に「Summer / New Style」でWarner Music Japanよりメジャーデビュー。2020年7月に、ヒップホップにフォーカスしたアルバム「DIFFERENCE」を発表した。

Banvox (@banvox) | Twitter

world's end girlfriend

world's end girlfriend

world's end girlfriend

Puhyuneco「akane」

Meitei「少年」

Seiho「Beyond Dance Music」

コロナによって世界は変貌したので音楽家は新しい遊び方、新しい戦い方が必要で、当たり前に音楽の響き方も変わって、かつては有効な曲があまり響かなくなったり、新たに響く曲もあったり、変わらず響く曲もあり。
そんな中で3曲を選択ってことで、国内の音楽から3曲選びました。

Puhyunecoは、常々人知れずボーカロイドの表現の枠組みを拡げてる音楽家だと思います。
曲と歌(ボーカロイド)と詩が1つの表現に向かっている強さ、すごみというか、ある感情の表現としてはボーカロイドの歌で完全に近い(生歌でもめったに出会えない)ものが響いてる作品。

Meiteiの「少年」は、時間軸は過去のものを扱いながら普遍的で現代的な響き方をしてる作品。

Seiho作品は、この3曲の中だと一番現代的なトラックでありながら、絶妙なバランス感覚というか、ありそうでほかにない響き方してる作品。

プロフィール

world's end girlfriend(ワールズエンドガールフレンド)

2000年に活動を開始。多くのアルバムを発表し、さまざまなアーティストのリミックスを手がけた。スペインの「Sonar Festival」やイギリスの「All Tomorrow's Parties」といったフェスに出演するなど、海外でも精力的に活動。2009年には是枝裕和監督作「空気人形」の映画音楽を担当した。2010年に音楽レーベル・Virgin Babylon Recordsを設立し、国内の先鋭的なアーティストたちの作品を多数リリースしている。

world's end girlfriend (@worldsendgirlfr) | Twitter

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たぬき @tktktk1357

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