Pick Up!

Jonah 日照り
清涼感あふれるサウンドと稀有な歌声で描く、“自分だけの太陽”を探す少女のストーリー
文 / 天野史彬
最近の夏の日差しは暑すぎて参ってしまうが、この曲が描き出す太陽の光は、とてもさわやかで生命力に満ちている。今年デビューした高知県出身、18歳のシンガーソングライターJonahの4作目となる配信シングル曲は、「暗い女の子が、自分にとっての『太陽』を見つける」というストーリーを思い描きながら制作された「日照り」。デビュー曲「エコー」や前作シングル曲「追風2.0」同様、サウンドプロデュースをSUKISHA、作詞プロデュースをいしわたり淳治が手がけた1曲だ。
アコースティックギターの繊細かつダイレクトな響きも印象的な、清涼感と躍動感があふれるサウンドにJonahの稀有な歌声が乗る。もはや「考えすぎなんて、まどろっこしい!」と言わんばかりに、胸の内の湿度を吹っ飛ばすくらいに、燦々と照り付ける太陽に向かって、その肉体を躍動させようとする少女の姿を描き出す。歌詞に「ねぇ これが恋じゃなくても止められない」というフレーズもあるように、少女が見つける「太陽」は、何も恋人とは限らない。もちろん恋でも構わないが、それは推しでも、夢でも、趣味でも、なんだってあり得る。この曲において「太陽」は言わば、人それぞれの「希望」のメタファー。裏を返せば人それぞれ、なんだって希望になりえるんだということをこの曲は伝えている。もしかしたら、あなただって誰かにとっての太陽かもしれない、ということも。
歌詞の「考えよう私だけが出来ること」というフレーズに宿るたくましさも魅力的だ。この曲において希望の太陽は、主人公の自律を促す存在として表れる。自分の足でしっかりと歩けるように、少女は目をつむっても見える自分だけの太陽にたどり着いた。「嘘みたいで嘘じゃない話を聞いてくれるかい」──序盤で歌われるこのフレーズが、もしかしたらこの少女はJonah自身のことなのかもしれない、という予感もにじませる。
Jonah「日照り」ミュージックビデオ
- Jonah「日照り」
- 2025年7月30日(水)配信開始 / Scrum Wave Music
- 購入・再生はこちら
-
作詞プロデュース:いしわたり淳治
サウンドプロデュース:SUKISHA
ジャケットアートワークディレクション:佐藤奈穂子(yot)
ジャケットアートワーク刺繍:Lmrnuc
Jonah(ジョナ)

イギリス人の父と日本人の母を持つシンガーソングライター。2007年、高知県生まれ。eggmanとNTTドコモ・スタジオ&ライブによる、次世代バンドおよびグローバルアーティストの発掘・育成を目的としたオーディションプロジェクト「Catching Wave Audition 2024」に出場後、2025年1月にプロジェクト内で発足されたレーベル・Scrum Wave Musicより第1弾シングル「エコー」を配信リリースした。最新曲は7月にリリースされた第4弾配信シングル「日照り」。