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ヒグチアイ

アーティストを作った名著 Vol.17 バックナンバー

ヒグチアイ

コンプレックスや他人を羨む気持ちと向き合えた3冊

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日々創作と向き合い、音楽を生み出し、世の中に感動やムーブメントをもたらすアーティストたち。この企画は、そんなアーティストたちに、自身の創作や生き方に影響を与え、心を揺さぶった本について紹介してもらうものだ。今回はヒグチアイが登場。思春期に出会ったマンガなど、自身の人格形成において影響を与えられた3作を紹介してくれた。

01. 藤岡拓太郎作品集 夏がとまらない(ナナロク社)
著者:藤岡拓太郎 

わたしとはなんぞや

同い年の拓太郎氏。最高です。もうすべてが面白い。すべてがベスト。自分の双子なんじゃないかと思うぐらいわたしのツボを押さえてる。そしてほとんどの人がそのツボを持っている。これってすごいこと。共感じゃないんですよ。新しいジャンルですよね。タイトルを見ずに最後まで読んで、タイトルを見たときの衝撃たるや……。キャラクターもみんな最高なんですよね。
わたしは面白い人になりたかったんです。ずっと。でも、思春期に恥やらプライドやらそんなものをいつまでも抱えて30歳になりますから、たぶんまだ付き合いは長いはずです。だから自分と真反対にいる世の中の面白い人のおかげで、わたしが解放されて、さらにわたしとはなんぞや、と深めることができるのです。
藤岡拓太郎、今すぐ検索してまんまと好きになってください。

02. 「神風怪盗ジャンヌ」(集英社)
著者:種村有菜

思い出すだけで胸が痛い

小学生の頃毎月買ってもらえるマンガが「りぼん」だけで、それだけが唯一の楽しみだった。その中で一番好きな作品。振る舞いやセリフを真似した。そしてちょっとえっちなシーンにドキドキ……(女子だってそう!)。
とってもミーハーなんです。かわいい女の子がかわいくて、カッコいい男の子がカッコいい。きゅるんっとした女の子に憧れて、すらっとしたイケメンに憧れる。そしてそんな女の子になるんだと自然に思っていた(小さい頃は鬼のようにかわいかったため)。だけど、いつからか“かわいい”の上には上がいることを知ってから、自分の“特別”を探し始めた。ピンクじゃなくて青が好きな女の子、なんでも話せる女の子……あああ、小学生のときでさえ生きづらかった。思い出すだけで胸が痛い。でもそれがのちのち、今のわたしの“特別”になったのです。

03. 「いとしの猫っ毛」(リブレ)
著者:雲田はるこ

BLはディズニーランド

そんな特別をずっと探していた学生時代。ずっとコンプレックスを認めず、隠してきた人間は女子と男子のキラキラ青春ドキドキ恋愛マンガなんて読めないんですよ(わたし調べ)。こんなの経験してないけど……? こんな単純で鈍感な人間なんているの……? はて……?になるんですよ。わたしもそれを過ごすチャンスがあったから、悔しくて、虚しくて読めないのが本音。そこで出会ったのがBLでしたね。ファンタジーなんです。ディズニーランドなんです。だから優しいですよ。だから尊いですよ。雲田はるこ先生はきゅんの中にお茶目さと色気があります。読むたびに心の在り方を確認できます。ああ、ちゃんと胸の真ん中にあるんだと。まだ人に恋することができるんだと。

アーティストを作った名著

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