本日9月10日、「
「岸辺の旅」は、湯本香樹実による同名小説をもとにしたラブストーリー。失踪後3年が経過してから突然帰宅した夫に「俺、死んだよ」と告げられた妻が、夫に誘われるまま彼の足跡をともにたどっていく。本作は5月に行われた第68回カンヌ国際映画祭にて、ある視点部門の監督賞を受賞した。
深津は「やっと皆さまに観ていただけることをうれしく思います。カンヌでは、この作品に描かれている死生観が神秘的だという意見が多かったのが印象的でした。日本の皆さまにはより深く繊細に届くのではないかと思います」と観客に語りかける。
黒沢は「この作品に描かれているのは砂漠の中を走って行ったり、大海原を旅するような“旅”ではありませんが、夫婦が魂の旅をします。皆さんが想像しているはるか先まで、この2人の魂は旅をするので、行く末を見守っていただければ」とコメント。さらに深津と浅野の起用理由を尋ねられると、「お2人とも当たり前の日常性を持っていると同時に、神話の中の登場人物にもなりうるという極端な両面性を自然に持っているというのが、この作品の役柄にぴったりだと感じました」と答えた。
カンヌ国際映画祭の終了後、3人が顔をあわせるのは今日が初めて。カンヌについて浅野は「海があって心地いい風が吹いていて、ぜいたくな場所なんです。『みんなで映画を楽しむ場がこんなにもいい形であるなんて!』と思います」と魅力を述べる。さらに「お客さんからは上映後にたくさんの拍手をいただいたのですが、それだけでは終わらず劇場を出てからも囲まれて拍手をしてもらえたんです。本当に気に入ってもらえたんだなって思ってうれしくなりました」と、はにかみながら当時のエピソードを披露した。深津は「カンヌにはとてもたくさんの方がいらっしゃるので、レッドカーペットが渋滞していて。浅野さんと15分くらい車の中で待っていたら、2人ともリラックスしてうとうとと寝てしまったんです」と振り返る。それを受けて黒沢が「僕は緊張して待っていました」と即座に口にし、客席の笑いを誘う場面も。
続いて賞状が披露されると、客席から大きな拍手が起こる。黒沢は「作品全体に対していただいた賞だと考えています。これは今後『岸辺の旅』という映画とともにずっと在り続けるものなんだと思います」と照れくさそうに述べる。司会者がキャストに賞状を目にした感想を尋ねると、浅野は「いやあやっぱりすごいですよね」と興奮した様子を見せ、深津は「監督のお名前が大きく書いてあって、ジーンとしますね……」としみじみと語った。
最後に黒沢が「今からこの映画を皆さまに投げてみようと思います。どうぞ受け止めてください。かなりの豪速球になっていると思いますので、覚悟してください」と観客にメッセージを送り、舞台挨拶は終了した。
「岸辺の旅」は10月1日より全国でロードショー。
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- 「岸辺の旅」公式サイト
- 「岸辺の旅」予告編
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