eastern youth二宮友和、ラストステージで晴れやかに「我々3人をよろしく」

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北海道・cube gardenにて6月6日にeastern youthの全国ツアー「極東最前線 / 巡業2015~ボトムオブザワールド人間達~」の最終公演が行われた。

eastern youth「極東最前線 / 巡業2015~ボトムオブザワールド人間達~」cube garden公演の様子。(撮影:平川啓子)

eastern youth「極東最前線 / 巡業2015~ボトムオブザワールド人間達~」cube garden公演の様子。(撮影:平川啓子)

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吉野寿(Vo, G)(撮影:平川啓子)

吉野寿(Vo, G)(撮影:平川啓子)[拡大]

ニューアルバム「ボトムオブザワールド」を引っさげたツアーの最終日であり、1992年に加入して以来23年間にわたってバンドでベースを弾いてきた二宮友和のラストステージとなるこの札幌公演。二宮を先頭にして1人ずつステージに姿を現したeastern youthは、定位置についてから「街の底」をプレイ。会場いっぱいに轟音を鳴らすとともに、吉野寿(Vo, G)が「闘いは続いてゆく!」と絶叫のごとく歌声を発して観客を圧倒した。

二宮友和(B)(撮影:平川啓子)

二宮友和(B)(撮影:平川啓子)[拡大]

前半はニューアルバム「ボトムオブザワールド」の楽曲を中心としたセットリストに。「イッテコイ カエッテコイ」では吉野と二宮が2人で歌声を重ね、「ナニクソ節」では吉野が首筋に血管を浮かび上がらせながら「何クソチクショウ!」「負ケテタマルカ!」と声を振り絞る。一方軽やかなストロークでビートを生み出す田森篤哉(Dr)は、吉野に促され「オッス! オレ田森」とコミカルなMCも担当。観客を笑わせてから「3月から始まったこのツアーも今回で最後になりました、長いような短いような……最後までがんばりますんで楽しんでいってください」と挨拶した。

田森篤哉(Dr)(撮影:平川啓子)

田森篤哉(Dr)(撮影:平川啓子)[拡大]

二宮が荒々しくベースをかき鳴らして始まった「月影」をはじめ、中盤は1990年代のナンバーが続けて披露される。フロアの熱気は一段と上昇し、オーディエンスは「男子畢生危機一髪」「青すぎる空」を大合唱。「雨曝しなら濡れるがいいさ」では田森が打ち鳴らすビートに拳を振り上げたり声を出したりして呼応した。

吉野はcube gardenからほど近くにあるランドマークを曲名に冠した「テレビ塔」で咆哮し、「踵鳴る」では握りこぶしを力強く上下に振るなど終始激情に満ちたパフォーマンスを繰り広げる。そして二宮はじっと手元を見ながら俊敏な運指で丹念にベースラインを紡いでいく。彼はこの日が最後のステージにもかかわらずあっけらかんとした様子で、北海道で体感した寒さと東京の暑さについて「北海道に来て上着を買いました。渋谷は今や男はみんなホットパンツ、大東京は恐ろしい街」などと話し観客を和ませた。

eastern youth「極東最前線 / 巡業2015~ボトムオブザワールド人間達~」cube garden公演の様子。(撮影:平川啓子)

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吉野がダンスとラップを繰り出した「直に掴み取れ」、田森が打ち鳴らすシンバルの音が印象的な「万雷の拍手」などを経て本編ラストナンバー「荒野に針路を取れ」へ。演奏前に吉野は「今日は本当に本当にありがとうございます。オレたち3人、eastern youth! 旅はまだまだ続くんだ!」と声を発し、二宮のほうに目をやってからギターを鳴らす。そして二宮がベースを力強くタップするとフロアにはひときわ大きな歓声が上がった。演奏が終わると吉野は「ありがとうさよなら!」と聴衆に伝えてステージを離れた。

二宮友和(撮影:平川啓子)

二宮友和(撮影:平川啓子)[拡大]

アンコールで登場した二宮はファンから花束をもらい「ありがとうございます。花なんてもらうことないですから……しかも女性にいただくなんて。ドキドキしますね」と笑みを浮かべた。そして彼は続けて「今回のツアーで僕は辞めるんですが、それも今日が最後になってしまいました」とこの日初めて自身の脱退について話し始める。彼は「ありがとよ!」と声を上げた観客に「こちらこそ、ありがとよ!」と返したあとで「永遠にさよならみたいな感じになってますけど、俺はどこかでノコノコと生きていきます。もしかしたらそのうち会うかもしれません……会ったらなんかください(笑)。バンドも今後どうにか形が整ったらまた動き出します。今後とも我々3人をよろしくお願いします」と呼びかけた。田森はその様子をじっと見つめ、吉野は笑い顔と泣き顔が入り混じったような表情でMCを見届けてからギターを優しく鳴らす。フロアにすすり泣く声が聞こえる中に吉野が口笛を響かせて「夏の日の午後」のパフォーマンスへ。オーディエンスは直立でステージを見つめたり、体を激しく動かしてモッシュピットを形成したり、涙ながらに吉野と声を合わせたりとそれぞれの形で楽曲を受け止める。続く「砂塵の彼方へ」の演奏後に3人が立ち去ってBGMの浅川マキ「引越し」が流れ始めても、フロアからは再登場を求める拍手の音が鳴り止まなかった。

アンコールを終え、ファンからもらった花束を掲げながらステージを去る二宮友和。(撮影:平川啓子)

アンコールを終え、ファンからもらった花束を掲げながらステージを去る二宮友和。(撮影:平川啓子)[拡大]

みたび姿を現したeastern youthが最後に演奏したのは「夜明けの歌」。顔を真っ赤にした吉野がギターをゆっくり弾いて合図し、田森と二宮も演奏に加わる。3人は観客がじっと見守る中で楽曲を丁寧にプレイ。楽曲を歌い上げた吉野は終演を惜しむかのようにじっくりとアウトロを奏でたあとで「二宮友和!」と盟友の名を呼んでステージを去る。最後に1人でステージに残った二宮は、アンプやドラムセットに飾られた3輪の花をそれぞれ拾って客席に放り投げ、達成感に満ちた晴れやかな表情でeastern youthとしての最後のステージをあとにする。ライブ後のcube gardenにはBGMとして植木等「だまって俺について来い」が朗々と鳴り響いた。

吉野、田森は二宮の脱退後もバンドを継続。新体制に向けての準備および充電期間としてライブ活動をしばらく休止する。

※記事初出時、公演日に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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eastern youth「極東最前線 / 巡業2015~ボトムオブザワールド人間達~」
2015年6月6日 cube garden セットリスト

01. 街の底
02. 鳴らせよ 鳴らせ
03. 沸点36℃
04. イッテコイ カエッテコイ
05. 茫洋
06. ナニクソ節
07. 月影
08. 男子畢生危機一髪
09. 青すぎる空
10. 雨曝しなら濡れるがいいさ
11. テレビ塔
12. 踵鳴る
13. 直に掴み取れ
14. グッドバイ
15. 万雷の拍手
16. 荒野に針路を取れ
<アンコール>
17. 夏の日の午後
18. 砂塵の彼方へ
<ダブルアンコール>
19. 夜明けの歌

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