満員のLIQUIDROOM ebisuにて始まったライブの1曲目は「ミッドナイト清純異性交遊」。客電の落ちた会場にシンセサイザーのイントロが響き始めると、有志により配布されたサイリウムの光がオーディエンスの頭上で次々と灯されていく。間もなくウサギ耳の飾りをつけた大森が1人で登場し、ステージ前にかけられた黒い幕の手前で歌い始める。フロアはヲタ芸や“PPPH”のリアクションなども起こるアイドル現場のような盛り上がり。その会場を眺めた大森はニコリと笑い、歌いながら客席にダイブした。
歌が終わって間もなく、会場側面のスクリーンに大森の映像が投影される。ライブ当日に撮影したと思われる映像の中で大森はエイベックスからのメジャーデビューを発表。続けて蒼波純、いずこねこ、緑川百々子、東佳苗(縷縷夢兎)、南波志帆、アップアップガールズ(仮)によるお祝いのビデオレターが流れると会場からは喝采が起こった。
ビデオの上映が終わり、「絶対彼女」の演奏とともにステージの幕が開く。その先にはピンク色のリボンやレース、ぬいぐるみなどが散らされた、アルバム「絶対少女」のジャケットのような“女の子の空間”が広がっていた。そしてステージに立つ直枝政広(G / カーネーション)らバンドメンバー5人と大森から次々と楽曲が届けられる。音源以上に深い奥行きを持った6人の演奏と強い情念を込めた大森の歌声、そしてファンシーな装飾で敷き詰められたステージは観客に強いインパクトを与えた。
ライブ中盤はメンバーが退出し、大森の弾き語りを中心としたシンプルな構成にシフトする。だがおどろおどろしく声を震わせたかと思えば一転して少女のように高い声で笑うなど、大森のパフォーマンスは一切の単調さを見せない。この日のラインナップの中には「生きている 生きてゆく」というフレーズが印象的な新曲「呪いは水色」も登場した。
ギターを使わず大森が「さようなら」を力強く独唱した後で直枝と畠山健嗣(G / H Mountains)がゆっくりと登場。2人が目いっぱいに歪ませたギターをかき鳴らし、演奏されたのは島倉千代子「愛のさざなみ」のカバー。ギターノイズの嵐と彼女の震え声による激情的なカバーで観客を圧倒させたまま3人は曲を「高円寺」につなぐ。曲を歌い終えた大森がステージを去ったあともギタリスト2人は10分近くノイズを響かせた。
ライブ後半には再びバンドメンバー全員がステージに勢ぞろい。これまで静かにステージを見守っていた観客はバンドアンサンブル仕立ての「少女3号」やエイトビートのロック調の「君と映画」などを体感するたびにたまらず歓声を上げる。そのままオーディエンスはダンサブルな「新宿」で体を揺らし、「音楽を捨てよ、そして音楽へ」で感情を声で吐き出す彼女と呼応するかのように力いっぱい歌詞を叫んだ。
本編終了後も鳴り止まぬ拍手に対し、この日行われたアンコールは2回。1回目では彼女はバンドとともに「最終公演」そして新曲「デートはやめよう」を披露。2回目は大森が1人で登場し、観客にリクエストを聞きつつ「ハンドメイドホーム」を駆け足気味に演奏。最後はマイクを通さずに大声で「ありがとうございました!」と告げ、何度も深々と頭を下げた。約2時間の公演で披露されたのは計26曲ものナンバー。彼女は「最終公演」と呼ぶにふさわしい濃密な時間をオーディエンスに提供した。
大森靖子「絶対少女が夢見るBBa'14ツアーファイナル『最終公演』」
2014年3月14日 東京都 LIQUIDROOM ebisu セットリスト
01. ミッドナイト清純異性交遊
02. 絶対彼女
03. あまい
04. Over The Party
05. エンドレスダンス
06. あたし天使の堪忍袋
07. 展覧会の絵
08. hayatochiri
09. PS
10. 魔法が使えないなら
11. 呪いは水色
12. 婦rick裸にて
13. さようなら
14. 愛のさざなみ(島倉千代子)
15. 高円寺
16. キラキラ
17. 青い部屋
18. KITTY'S BLUES
19. パーティードレス
20. 少女3号
21. 君と映画
22. 新宿
23. 音楽を捨てよ、そして音楽へ
<アンコール>
24. 最終公演
25. デートはやめよう
<ダブルアンコール>
26. ハンドメイドホーム
※カッコ内はオリジナルアーティスト
※セットリストおよび曲数に誤りがあったため掲載後に記事内容の修正を行いました。訂正してお詫びいたします。
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- 大森靖子 | 大森靖子公式ページ
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