CHiCO with HoneyWorksの第2章、ついに開幕!みんなの青春に寄り添ってきた軌跡をたどる

約2年の休止期間を経て、CHiCO with HoneyWorksが活動を再開。ニューシングル「くすぐったい。」「戦場の華」を2枚同時リリースした。

2014年に活動をスタートさせたCHiCO with HoneyWorksは、これまで「世界は恋に落ちている」「プライド革命」といった数々のヒット曲を発表。10代を中心に支持を集め、ミュージックビデオのYouTube総再生数は6億回を超えている。

音楽ナタリーでは、ソロ活動でボーカリストとしての地力を上げ、再びチコハニとして動き始めたCHiCOにインタビュー。その発言と最新のCHiCOの撮り下ろし写真ともに、結成から11年間、チコハニがどのように歩んできたのかをテキストで紹介する。さらに特集の最後にはHoneyWorksからのコメントも掲載。チコハニとともに青春時代を過ごしてきた人も、これからチコハニの音楽に出会う人も、ぜひチコハニの軌跡を振り返ってみよう。

取材・文 / もりひでゆき撮影 / 星野耕作

CHiCOとHoneyWorksの出会い

クリエイターチームHoneyWorksと女性シンガーCHiCOによって2014年に活動をスタートさせたコラボユニット、それがCHiCO with HoneyWorks、通称“チコハニ”だ。ソングライティングとアートワークを手がけるHoneyWorksは2010年からニコニコ動画やYouTubeなどを中心に活躍し、すでに大きな人気を博していた。一方のCHiCOにとっては、2013年にソニー・ミュージックエンタテインメントが主催する歌い手オーディション「ウタカツ!」の第1回グランプリを獲得したばかりのタイミング。その類稀なるボーカルセンスが認められたCHiCOだったが、チコハニ始動はまさに大抜擢と言える出来事だった。

「ずっとニコニコ動画で観ていたHoneyWorksさんと一緒にコラボユニットとして活動できることが決まったときは、うれしさでワクワクする気持ちと、『ここからどうなっていくんだろう?』『私で大丈夫なのかな』というドキドキの気持ちでいっぱいでした。当時の私は、HoneyWorksさんの『竹取オーバーナイトセンセーション』をはじめとするアッパーな曲をよく聴いていて、『告白実行委員会 ~恋愛シリーズ~』のようなキュンキュン系の曲はあまり知らなかったんです。なので、チコハニ始動が決まってからいろんな曲を聴きまくって『HoneyWorksとは何か?』ということを勉強していきましたね。どの曲でもキラキラしたストーリーが描かれていて、それを楽曲やミュージックビデオを通して楽しめるところがHoneyWorksさんのほかにはない大きな魅力だと思います」

CHiCO

CHiCO

HoneyWorksのメンバーは作詞、作曲、アレンジ、プロデュースを務めるGomとshitoに、ジャケットやミュージックビデオなどでCHiCOのビジュアルイラストを手がけるヤマコを加えた3人。彼らと初対面したときのことをCHiCOはこう振り返る。

「最初はもう緊張しすぎて、皆さんの目を見ることができず。ずっと近くの本棚を凝視し続けるという状態でした(笑)。そんな私に対して『オーディションどうだった?』とか『アニメ好きなんでしょ?』とか、皆さんが話題を振ってくださって。本当に優しいお兄さん、お姉さんでしたね。Gomさんとshitoさんはそれぞれ作られる楽曲の個性も違うし、ボーカルに求めるものもけっこう違うんですよ。Gomさんは語尾をしゃくるとかフォールするとか、そういうテクニック的な部分を大事にされる方。一方のshitoさんには感情を求められることが多いです。ワードの1文字ずつに異なる感情を乗せてほしいと言われることもありますね。そしてヤマコさんは、本当に愛情を持ってイラストを描いてくださる方です。こだわった部分を教えてくれたり、『CHiCOちゃんの歌が作業中の助けになったんだよ』とか、いろんなことを伝えてくれるのがすごくうれしくて。メンバーの一員ではあるんだけど、ファンと同じ目線でチコハニのことを見てくれているのが本当に素敵だなと思います」

デビュー当時のCHiCO with HoneyWorksのビジュアル。

デビュー当時のCHiCO with HoneyWorksのビジュアル。

「プライド革命」で見せた新たな一面

チコハニは2014年8月6日にシングル「世界は恋に落ちている」でメジャーデビューを果たす。表題曲はテレビアニメ「アオハライド」オープニングテーマとして大きな話題を集め、ユニットとしての認知度、人気も一気に高まることとなった。

「HoneyWorksさんにはすでにたくさんのファンの方がいらっしゃったので、「HoneyWorksの曲と『アオハライド』が合わないわけないじゃん」という声が大きかったんですよ。shitoさんはもともと『アオハライド』のファンでしたし。だからこそ、私の歌が乗ったチコハニの楽曲を受け入れてもらうことができるのかなという不安も正直あって。でも、アニメの放送が始まり、CDをリリースしてみたら、皆さんがすごく温かく迎え入れてくださったんです。SNSを通していただく優しい言葉の数々に、チコハニとしてデビューできたことをよりうれしく感じることができたし、同時にここからもっともっとがんばっていかなきゃなと気合いもすごく入りましたね。『この曲で励まされたので明日、告白してきます』みたいなコメントをいただいたときは本当にうれしかったです。『世界は恋に落ちている』は私にとっても、世間にとっても大きなインパクトを与えることのできた1曲だったと思いますね」

デビュー翌年の2015年2月4日には、テレビアニメ「まじっく快斗1412」第2期オープニングテーマを表題曲とした2ndシングル「アイのシナリオ」をリリース。8月5日には、テレビアニメ「銀魂°」オープニングテーマをタイトルトラックとした3rdシングル「プライド革命」を発表した。人気作とのタイアップ楽曲をコンスタントにリリースしていくことで、チコハニというユニットが持つ可能性がどんどんと広がっていく。

「リリースを重ねていく中、3枚目の『プライド革命』ではちょっとドキドキしていたのを覚えていますね。いわゆる青春系・恋愛系の楽曲でデビューしたチコハニが、少しカッコいい表情を見せた『アイのシナリオ』を経て、『銀魂°』という少年マンガを原作とするアニメの楽曲を出すことに対して、『チコハニの曲が合うのかな?』といった意見もありました。でも、いざ楽曲が世に出てみれば、そのロックなサウンドを聴いた皆さんが『チコハニ、めっちゃカッコいいじゃん!』という反応を見せてくれたんです。それは、チコハニ自体はもちろん、ボーカリストであるCHiCOとしての幅が一気にガッと広がった瞬間だったと思います。デビューからの1年間での経験は、いろんな不安を抱えながら前へ進んでいた自分に大きな救いと自信を与えてくれました」