WHITE SCORPION「Corner of my heart」インタビュー|2ndミニアルバムに刻まれた葛藤、決意、成長

秋元康が総合プロデューサーを務める11人組アイドルグループ・WHITE SCORPIONが、2ndミニアルバム「Corner of my heart」をCDリリースした。

2023年10月7日に結成され、現在活動3年目のWHITE SCORPION。2作目のフィジカル作品となる「Corner of my heart」には、今年3月より定期公演を毎月開催し、夏のシーズンにはフェスや対バンイベントに積極的に出演してきた彼女たちの確かな成長が刻まれている。「“心の角”を曲がる勇気が未来を変える」という希望のメッセージが込められた本作の魅力に迫るべく、音楽ナタリーではACE、ALLY、CHOCO、HANNAの4人にインタビュー。大規模なオーディションを経て華々しくデビューしたものの、ライブの動員面で壁にぶつかるなど、試行錯誤を繰り返しながら邁進しているメンバーの現在の心境にぜひ触れてほしい。

取材・文 / 左藤豊撮影 / 星野耕作

ここまで積み重ねてきたものの集大成

──WHITE SCORPIONにとって、CDリリースは2024年9月発表の1stミニアルバム「Caution」以来1年ぶりとなります。

CHOCO 私たちはデジタルシングルという形態で作品を発表することが多いので、CDという形に残るものでリリースできるのは特別感があってうれしいです。ジャケット写真も含めて前作と今作でリンクしている部分があり、私たちの成長が伝わる作品になったんじゃないかなと思っています。

ACE 今作は結成2周年というタイミングでのリリースです。WHITE SCORPIONがここまで積み重ねてきたものの集大成のような作品になりました。

左からALLY、HANNA、ACE、CHOCO。

左からALLY、HANNA、ACE、CHOCO。

──新作「Corner of my heart」には既発曲に加えて新曲が3曲収録されていますが、まずはリード曲「Corner of my heart」について伺います。ライブの初披露時には「WHITE SCORPIONのカッコよさがギュッと詰まった曲」と紹介されていましたね。

ACE 結成当初からWHITE SCORPIONには「カッコいい」というイメージがあったと思います。それがここ最近、「I do love you!」「Beach opening」と2作連続でかわいい系の楽曲が続き、グループのイメージが少し変わってきたと感じていて。今回、ミニアルバムのリード曲がどういう作風になるかによって私たちの今後の方向性が決まると思っていたので、すごくソワソワしていたんです。そして「Corner of my heart」は原点回帰のようなカッコいい楽曲だったので、うれしかったですね。パフォーマンスの難度が高いので、これをモノにして、私たちの成長をスコピスト(WHITE SCORPIONファンの呼称)のみんなに届けたいなと思いました。

──具体的に、どういう部分の難度が高いと思いましたか?

ACE まずテンポが速くて、しかも振付ではすごく細かい音を取らないといけないのが難しいです。また、低い音から高い音まで音域が広いので歌の難度も高いです。

ACE

ACE

HANNA この曲の振付はINFINITYの(加藤)由唯先生に作っていただきました。由唯先生はWHITE SCORPIONのドキュメンタリー映像「The Real」をすべて観て、私たちと同じ気持ちになったうえでこの振りを付けてくださったんです。私たちが経験してきたこの1年間の思いがパフォーマンスに詰まっていると感じます。

ALLY 「Corner of my heart」は青春真っただ中の片思いラブソングで、アップテンポで疾走感もあって大好きです。ミニアルバムでは1曲目が「Corner of my heart」、2曲目が「純愛トースター」なんですけど、この収録順がまるで高校時代から大人になっていくような、時系列でつながっている印象も受けました。あと、私たちの曲は失恋ソングが多いので、片思いソングを歌うのも新鮮な気持ちです。

CHOCO “心の角を曲がる勇気”がテーマになっている曲だと感じています。特に私は1Aと2Aの歌詞に共感しました。私が地元の北海道から上京するときに感じていた心境ととても似ていて。環境の変化に直面したとき、それまで当たり前だったことについて、改めて実感したりするじゃないですか。そういう誰もが経験するであろう状況が歌詞に鮮明に描かれていると感じました。たくさんの方に共感していただける曲だと思います。

CHOCO

CHOCO

パフォーマンス力が格段に上がった

──「Corner of my heart」のミュージックビデオは、デビュー曲「眼差しSniper」のMVを撮った池田一真監督に、同じスタジオで撮影してもらったそうですね。

ACE はい。2年を経て池田監督に撮っていただくことになり、私たち全員「成長した姿を監督に見ていただくぞ」という気持ちで撮影に臨みました。また、このタイミングで初心に戻れたこともうれしかったですね。「再び同じ場所に立ったとき、自分はどういう気持ちになるんだろう?」と楽しみな部分もあったんですよ。いざダンスシーンの撮影が始まると、「眼差しSniper」のMVを撮ったときの思い出や当時のがむしゃら感が一気によみがえりました!

CHOCO 無機質なセットが「眼差しSniper」のときと似ていて懐かしさもありましたし、似ているからこそ「自分たちの変化を感じてもらえるようにしなきゃいけない」という思いを持って撮影に臨みました。ダンスはもちろん、今回は表情をしっかりと撮る場面も多かったので、その部分の表現力にも注目していただけたらと思っています。

ALLY 確かに「眼差しSniper」のときはがむしゃらに踊っていた印象が一番強いですね。そして今回撮影して、2年前はできなかったダンスの繊細な表現もできるようになったと成長を実感しました。

──池田監督とは何かお話しされましたか?

HANNA まず最初に池田監督から「HANNA、身長伸びた?」と声をかけていただきました。私のことを覚えてくれていたんだと思ってうれしかったですね。ちなみにこの2年で2cm伸びました(笑)。

──グループ全体として、2年前と比べて明らかに変わった部分と言うとどこでしょうか?

ACE 変化や成長した部分はたくさんありますが、パッと見て一番わかりやすいのは、やはりパフォーマンス力が格段に上がったことだと思います。この2年間みんな「パフォーマンス力を伸ばしたい」という共通の思いがあって、ずっと鏡に向き合い、メンバー同士でも指摘し合いながら練習を重ねてきました。その結果、技術的な部分が伸びたと思いますし、メンバー各々の見せ方の個性も際立ってきたように感じます。

CHOCO 「眼差しSniper」では2日間かけて撮っていたものを、今回は1日で撮り終えたんです。現場でいただくアドバイスや指示を即座に実行できるようになり、対応力も2年前とは大きく変化したと思います。

ALLY あとシンプルに、みんなの顔が大人っぽくなりました。改めて「眼差しSniper」の映像を観ると、みんな顔つきがけっこう幼いんですよ。それが今では大人びて、堂々とした表情をするようになったので、メンバーの顔にも注目してほしいです。

ALLY

ALLY

──その点で言うと、今回のMVではセンターに立つHANNAさんの大人っぽい表情が印象的です。

HANNA この曲の歌詞の主人公は「このままじゃ嫌だ」「変わりたい」という思いを抱えていて。そこから一歩踏み出す姿をMVではピアスで表現しています。自分でもこの演技はドキドキしたし、MVを通して歌詞の主人公と自分が一体になれたような気がして、うれしかったです。「やってやったぜ!」みたいな気持ちになりました(笑)。

HANNA

HANNA

──この楽曲は9月23日に開催されたワンマンライブ「WHITE SCORPION 3rd ONEMAN LIVE 連撃」で初披露されました(参照:WHITE SCORPIONが3rdワンマン「連撃」で見せた進化「パフォーマンスで皆さんの心を打ちたい」)。お客さんの反応や手応えはいかがですか?

ALLY 好感触です! 「カッコいいWHITE SCORPIONが帰ってきた!」という印象を持ってもらえたんじゃないかなって。「I do love you!」や「Beach opening」で好きになってくださった方にはギャップを楽しんでいただけたと思います。