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倉木麻衣「リラック素~What a wonderful world~」ジャケ写

倉木麻衣 リラック素~What a wonderful world~

野心的かつ挑戦的な癒しの博覧会

文 / ナカニシキュウ

昨年デビュー25周年を迎えた倉木麻衣が贈る新曲「リラック素~What a wonderful world~」は、彼女のルーツである1980年代のR&Bをベースにしたグルーヴィなリズムやメロディライン、シルキーな歌唱表現などからなる“原点回帰”を思わせる1曲。もちろん単なるレイドバックにとどまらず、今の彼女だからこそ表現できる新たな領域に足を踏み入れてもいる。

中でも象徴的なのがカップリング構成だ。本作には表題曲が全4種類の異なるアレンジで収録されており、さまざまな角度から楽曲の世界観を表現。現在の倉木が「一番共有したい」と語る“癒し”と“安らぎ”が、手を替え品を替え次々とリスナーにもたらされるのである。

リードトラックではエレクトロを基調とするモダンなチルサウンドと穏やかながら華やかな歌声によって“基準値”がまず示され、そのミックス違いバージョンとなる「inner voice ver.」では、よりリラックスした柔和な雰囲気を楽しめる。さらに432Hzのハンドパンをフィーチャーした「432Hz chill mix」、四方八方を声に囲まれたような体験を味わえる「a cappella ver.」と、それぞれに工夫を凝らした多様なアプローチがとられ、さながら“癒しの博覧会“といった様相。「あの手この手を使ってリスナーを癒したい」という気概が感じられる本作は、その静謐な音の印象とは裏腹に極めて野心的かつ挑戦的なシングルであると言っていいだろう。

この意欲的な新曲を携え、倉木は11月2日より全国ツアー「Mai Kuraki Live Project 2025 リラック素~What a wonderful world~」を開催する。本作で“ヒーリングR&Bの伝道師”ぶりを遺憾なく発揮した彼女がどんなステージを展開するのか、大いに期待しなければならない。

倉木麻衣「リラック素~What a wonderful world~」
2025年10月15日(水)配信開始 / B ZONE
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作詞:Mai Kuraki
作曲:T.Kura、JUNE
編曲:T.Kura

倉木麻衣(クラキマイ)

倉木麻衣

1999年10月にMai-K名義でシングル「Baby I Like」にて全米デビュー、同年12月に倉木麻衣としてシングル「Love, Day After Tomorrow」で日本デビュー。2000年からアニメ「名探偵コナン」のテーマソングを担当しており、2017年7月に同一アーティストが歌唱するアニメシリーズのテーマソング最多数を記録したとして、ギネス世界記録に認定された。2023年12月にデビュー25周年イヤーの幕開けとして全439曲のサブスク配信を解禁。2025年10月に配信シングル「リラック素~What a wonderful world~」を発表した。また12月10日にはB面ベストアルバム「Mai Kuraki B-Side BEST ~This is Our life~」がリリースされる。