THE RAMPAGE「自由への大脱走」インタビュー|リスペクトする湘南乃風とのコラボ実現、愚直に突き進んできた10年のその先へ

16人組ダンス&ボーカルグループ・THE RAMPAGEがダンスホールレゲエのレジェンドである湘南乃風をゲストに迎えたシングル「自由への大脱走 ~Running Running Running~」を10月15日にリリースした。

9月に行われたツアー「THE RAMPAGE LIVE TOUR 2025 "PRIMAL SPIDER"」大阪・大阪城ホール公演で湘南乃風を迎えて初披露された「自由への大脱走 ~Running Running Running~」。湘南乃風らしいダンスホールレゲエとソカのビートを取り入れたこの楽曲は、THE RAMPAGEの新たな一面を引き出している。

THE RAMPAGEメンバーにとって湘南乃風は、青春時代を彩るレジェンドアーティスト。THE RAMPAGEは湘南乃風と共演した大阪城ホール公演のステージにいったいどんな気持ちで立ったのか。そして楽曲制作やミュージックビデオ撮影はどのように進んでいったのか。作詞にも参加したボーカルの川村壱馬、パフォーマーの陣、神谷健太の3人に話を聞いた。

取材・文 / 宮崎敬太撮影 / 草場雄介

東京ドームを経て出発したチャレンジングなアリーナツアー

──THE RAMPAGEは現在、3月にリリースした6枚目のオリジナルアルバム「(R)ENEW」を携えたツアー「THE RAMPAGE LIVE TOUR 2025 "PRIMAL SPIDER"」の真っ最中ですね。

 今回初めてライブを想定したアルバムを作って、それを携えてツアーを回っているんです。このアルバムのテーマとも言える1曲目の「蜘蛛の糸」は自分たち的にはかなり攻めた楽曲で、ライブでも1曲目に置いたので、ファンの皆さんからどういうリアクションがあるのか想像がつかなかったんですが、やってみたらすごくポジティブな反響がありました。年内まだ残りのホール公演と海外公演、クリスマスのファイナル公演、年末のカウントダウンライブが残っていますが、自分たちにとってチャレンジングな1年を過ごせていると思っています。

陣

──どういった経緯でそのような試みをすることになったのでしょうか?

 去年9月に2日間開催したドーム公演「THE RAMPAGE LIMITED LIVE 2024 *p(R)ojectR® at TOKYO DOME」では、ゲストの方の力も借りつつ「めちゃくちゃいいライブだった」と胸を張って言えるステージを披露できたんです(参照:THE RAMPAGE再び東京ドームで吠える!佐野玲於、MIYAVI、ドーベル、EXILEと熱狂コラボ)。これは奢りでもなんでもなく「これからのLDHを背負っていくぞ」という思いを込めた公演でした。そんな大成功したドーム公演を経たツアーでは何か新しいことをやれたらと、ライブをイメージしたアルバムを制作して、その作品を携えて回ろうというアイデアが挙がって。

──2024年の東京ドーム公演の成功はグループにとって1つの大きな節目だったんですね。

 はい。自分たちにとっても、ファンの人たちにとっても達成感があったと思います。2日間ともパフォーマンスに集中して、音楽と歌とダンスで来てくれた人たちをとにかく盛り上げる。いちアーティストとして純粋に皆さんを楽しませるというところに振り切った公演でした。これ、実はなかなか難しいことなんですよ。だって僕らは自分たちで楽器を弾いて音を奏でているわけではないから。自分たちの力が試されるライブだったなと感じています。

川村壱馬 メンバーの武知海青がみんなと情報交換をしながら身体づくりの指揮をとってくれたんです。「このタイミングでは脂質制限をしたほうがいい」とか、トレーニング内容とか。あれ以来、メンバーがトレーニングに勤しむようになって、今年も継続しているんですよね。いっぱい話すことでさらに仲よくなれたし、去年の「*p(R)ojectR®」に向けた活動全部がTHE RAMPAGEにいい影響を与えてくれたと思います。

 そんな東京ドーム公演でしたが「ここがゴールじゃない」ということを次のステージで証明したいとも思っていて。「てっぺん見た」じゃなくて、「この先もあんねん」っていう。ドームを経た今回のツアーはその思いを伝えようという強い気持ちを持ってステージに立ちました。

神谷健太 陣さんが言った通り、僕らに到達点はなく、どんどん次に向かっていくだけなんですよね。自分で言ってて矛盾してると感じることがあるんですけど、俺、毎年「来年が勝負だ」って言ってるんです。

川村 確かに、ずっと「来年!」って言ってるね(笑)。

神谷 そうなんですよ(笑)。そして実際に毎年勝負している。ずっとその感覚だから、1つひとつの公演やツアーに意味があるんです。過去にすがらないというか。ただ、ファンの方にとっては、それぞれの公演やツアーに記念のような感覚があると思うので、そこはその人自身で受け取っていただけたらと。

湘南乃風さんとのステージは夢みたいだった

──「自由への大脱走 ~Running Running Running~」はアリーナ公演のセミファイナルとなった、9月6日の大阪城ホールで初披露されました。

 湘南乃風さんにシークレットゲストとして登場していただいたんですが、改めて感じさせられたのは湘南乃風さんのライブ力です。「自由への大脱走」の前がパフォーマーコーナーで、早着替えしてそのままスタンバイするときに、ちょうど湘南乃風さんがステージに上がる前で打ち合わせをしていたんですよ。たぶんHAN-KUNさんだったと思うんですけど、「(最初から)湘南乃風って言わず、曲の中のここで言おう」みたいなのを直前に決めてはったんです。僕は「うわ、ヤバ」「会場の空気を感じながらパフォーマンスの内容を決めてんねや」ってブチ上がって。イヤーモニタの返しを意識して聞いていたら、ちゃんとそこで声をそろえて歌ってはって。僕らの単独公演なので、湘南乃風さんにとってはアウェイやのに、なんかそのたくましさに僕らが引っ張られてる感すらありましたね。

川村 あれはブチ上がりましたね。夢みたいだったというか、本当に不思議な体験で。とにかく一緒にブチ上がるだけ、みたいな。あと会場の雰囲気もすごかったんですよ。湘南乃風さんが出てきた瞬間ドカンとボルテージが上がって、僕もなんか「うわあ」となっちゃって……あんまりそのステージのことを覚えてないんです(笑)。

──THE RAMPAGEのライブのパフォーマーステージ明けで、いきなり湘南乃風さんが出てくるなんてお客さんは想像もつきませんよね。

川村 その持っていき方も超こだわりました。湘南乃風さんがボックスの中からサプライズ登場してくださったんですけど、いつもはそのボックスの外側のLEDには僕らの映像が映っていて、僕らが声だけでコール&レスポンスをして、曲がかかってボックスが上がったら、中にメンバーがいるみたいな演出だったんです。でも実際そこには湘南乃風さんがいるという。

──今回の楽曲の振付はどなたが考えたんですか?

神谷 与那嶺(瑠唯)です。僕も興奮していたからあのステージのことはあまり覚えていないんですが……唯一覚えているのは湘南乃風さんと「肩組んでいいのかな?」と迷ったってことくらい。歌ってらっしゃる中で、急に肩を組まれたら歌いづらい方もいるしなと考えていたら、湘南乃風さんから肩を組みに来ていただいて、めっちゃうれしかったです。

神谷健太

神谷健太

エッセンスを残しながら湘南乃風に委ねた

──今回のコラボが決まったきっかけを教えてください。

 確か去年の下半期ぐらいから「2025年どうしようか」みたいな話をしていて、そのときに「昨年『DayDay. SUPER LIVE 2024』で共演した湘南乃風さんと曲でコラボできたらヤバいよね」と、理想半分でレーベルの方に提案したんです。「まあ無理か」と思いながらもそう伝えている中で、2025年はコラボレーションもやっていけたらという話になって、無理だと思っていた湘南乃風さんにレーベルの方がアタックしてくださって。それが実現することになりました。

──楽曲制作はどのように進めていったんですか?

川村 湘南乃風さんサイドでがっつりと曲を仕上げていただきました。

──THE RAMPAGEのパート以外は入っている状態?

川村 そうですね。ぜひコラボしたいという気持ちはあったものの、正直曲を聴くまでは湘南乃風さんとTHE RAMPAGEのコラボはどんなものがベストなのかあまり思い浮かんでなかったんです。でも音源をいただいて「これはばっちりハマったな」と思いました。レコーディングでは自分の軸は意識しつつも、若旦那さんのディレクションに委ねました。自分で書いたリリックもTHE RAMPAGEエッセンスを残したかったので、相談しながら進めて、いいものができたと思います。

川村壱馬

川村壱馬

──THE RAMPAGEと湘南乃風に共通点があるとしたら、どんなところだと思いますか?

 やっぱり自分たちのスタイルを確立しているところだと思います。トレンドに媚びない姿勢。湘南乃風さんは2000年代にシーンに登場して、今日まで日本の音楽シーンの最前線で生き抜いていきてるじゃないですか。もう20年近く活動されているけど、いつの時代も湘南乃風だし、似ている人たちも現れない。独特な存在だと思うんです。僕らもああいうふうになりたいんですよね。いい意味で媚びないというか。僕らから言うのはおこがましいけど、めっちゃ噛み合わせがいいと思いました。