東京文化会館2025年度ラインナップ、「虫めづる姫君」再演に生田みゆき演出「彼女のアリア」も

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東京・東京文化会館の2025年度主催事業ラインナップ記者発表会が、昨日3月14日に東京文化会館内で行われた。

左から大橋昭則営業推進担当課長、野平一郎音楽監督、戸谷嘉孝副館長、梶奈生子事業企画課長。

左から大橋昭則営業推進担当課長、野平一郎音楽監督、戸谷嘉孝副館長、梶奈生子事業企画課長。

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東京文化会館では2025年度、昨年にスタートした「フェスティヴァル・ランタンポレル」を引き続き開催するほか、話題性ある舞台芸術作品を発信する「舞台芸術創造事業」、2023年より毎年開催している「東京音楽コンクール」、あらゆる人が音楽を楽しめる「リラックス・パフォーマンス」など、さまざまなラインナップを展開する。記者発表会には東京文化会館の野平一郎音楽監督、戸谷嘉孝副館長、梶奈生子事業企画課長、そして司会の大橋昭則営業推進担当課長が出席した。

戸谷副館長は2024年度に日本での外国人観光客数が前年比47.1%増で過去最多と言われていること、一方で同劇場ではコロナ禍以降、高齢の観客の戻りが少ないことを述べ、「舞台芸術創造事業」、人材育成、教育普及・包摂を3柱に、主催事業企画を展開すると話した。また、今年11月に開催される東京2025デフリンピックを視野に入れ、文化面での障害特性に合わせた情報、鑑賞、参画などのサポートも行っていく。

梶奈生子事業企画課長

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東京文化会館 小ホールでは2本の新作、2本の再演の計4本の舞台公演が実施される。「舞台芸術創造事業」では、歌劇「ブラームス マゲローネのロマンス byティーク」を初演。本作は岩田達宗が演出を務め、既存の歌曲集を歌劇化するシリーズの第3弾となり、2020年の第1弾、昨年の第2弾に続き、バリトンの小森輝彦、ピアノの井出德彦、ダンスの山本裕が出演する。「東京音楽コンクール」の入賞者を起用する「オペラBOX」では、松井和彦の台本・作曲で2015年に初演された「泣いた赤おに」を再々演。さらに、2021年度にスタートした「シアター・デビュー・プログラム」では小学生向け作品として2022年に初演され、YAMawards(The Young Audiences Music Awards)のベストオペラ・コンサート部門にノミネートされた「虫めづる姫君」と、中学・高校生向け作品として森絵都の短編小説を舞台化する新作「彼女のアリア」が披露される。平安時代のある姫君の姿を描いた「虫めづる姫君」ではペヤンヌマキが台本、我妻恵美子が演出・振付・舞踏を担い、加藤昌則が音楽監督・作編曲・ピアノを担当。思春期の中学生の成長をつづる「彼女のアリア」では文学座の生田みゆきが演出を、根本卓也が作編曲を手がける。

フランス・ニームのレ・ヴォルク音楽祭、フランス・パリのIRCAM(フランス国立音響音楽研究所)と連携し、2年目となる「フェスティヴァル・ランタンポレル」では、モーツァルトとイギリスの作曲家ジョージ・ベンジャミンをテーマに2つのコンサート、マスタークラス、トークセッションが行われる。また、無声映画とコラボレーションするIRCAMシネマでは、チャーリー・チャップリンによる3作の無声映画に生演奏を交えた「チャップリン・ファクトリー」が開催される。

野平一郎音楽監督

野平一郎音楽監督[拡大]

野平音楽監督は、2024年度の「フェスティヴァル・ランタンポレル」を振り返り、「東京文化会館としては視聴・視覚の芸術にも挑戦し、普段の聴衆とは違う方々にもお集まりいただくことができたと思っています。第2回はより拡張した形で開催したい」と語った。さらに、レ・ヴォルク音楽祭、IRCAMとの連携の中で日本の演奏家がヨーロッパのアーティストに混じって学習する機会を作ることの大切さを話し、「今は何がなんでも日本人の作曲家を押し出したり、日本人の演奏家だけで公演を行ったりしなければいけない時代ではない。国際的に物事を進めていくことも、このフェスティヴァルが担う役割として重要で、現代にも合っていると考えています」と説明した。

そのほか、東京文化会館が進めている「音楽クリエイター育成プロジェクト Tokyo&Paris to the NEXT」は、IRCAMと共同で日本人若手作曲家に委嘱する企画で、向井響、北爪裕道、横田未央子がエレクトロニクスを使用した作品を作り、パリと日本で発表する。

なお、東京文化会館の公式YouTubeチャンネルでは現在、昨年2月に上演されたシアター・デビュー・プログラム「ラヴェル最期の日々」の舞台映像を公開中。本作は、劇団太陽族の岩崎正裕が演出・脚本、小㞍健太が振付・ダンスを担い、西尾友樹が出演した作品となる。

Music Program TOKYO シアター・デビュー・プログラム「ラヴェル最期の日々」

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Music Program TOKYO シアター・デビュー・プログラム「虫めづる姫君」

2025年6月20日(金)・21日(土)
東京都 東京文化会館 小ホール

スタッフ

台本:ペヤンヌマキ
演出・振付:我妻恵美子
音楽監督・作編曲・ピアノ:加藤昌則

出演

姫君:我妻恵美子
侍女・虫の精:三宅理恵
侍女・虫・殿方:塩谷智司 / 鯨井謙太郒

演奏

上野由恵 / 濱崎由紀 / 笹沼樹

公演・舞台情報

東京文化会館オペラBOX「泣いた赤おに」

2025年9月21日(日)
東京都 東京文化会館 小ホール

台本・作曲・指揮:松井和彦
演出:久恒秀典
出演:宮里直樹、黒田祐貴、寺田功治、盛田麻央、岸野裕貴、八木寿子
ナレーター:小川栞奈
ナビゲーター(プレトーク):朝岡聡
児童合唱&合奏:コロスわらんべ
ピアノ:服部容子 ほか

Music Program TOKYO シアター・デビュー・プログラム「彼女のアリア」

2025年10月24日(金)・25日(土)
東京都 東京文化会館 小ホール

原作:森絵都(「アーモンド入りチョコレートのワルツ」(角川文庫)収録「彼女のアリア J・S・バッハ<ゴルドベルグ変奏曲>より」)
演出:生田みゆき
作編曲:根本卓也
出演:北川理恵、久米俊輔、中村蓉野口卓磨、長谷川暢
演奏:森下唯(ピアノ)

IRCAMシネマ「チャップリン・ファクトリー」~現代音楽と無声映画のコラボレーション~

2025年11月14日(金)
東京都 東京文化会館 小ホール

スタッフ

作曲・指揮:マルティン・マタロン

出演

Trio K/D/M(アントニー・ミエ、エミル・クイヨムクイヤン、ギ・フリッシュ)

公演・舞台情報

歌劇「ブラームス マゲローネのロマンス byティーク」

2025年12月20日(土)
東京都 東京文化会館 小ホール

スタッフ

構成・演出:岩田達宗

出演

バリトン・朗読:小森輝彦
ソプラノ:小玉友里花
ピアノ:井出德彦
ダンス:山本裕

公演・舞台情報

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