奇怪でまぶしい、パワーアップした我妻恵美子×ペヤンヌマキ「虫めづる姫君」が本日開幕

Music Program TOKYO シアター・デビュー・プログラム「虫めづる姫君」が本日6月20日に東京・東京文化会館 小ホールで開幕する。それに先駆け、昨日19日にゲネプロが行われた。

「虫めづる姫君」は、2022年に初演された舞台作品で、初演時には、世界の若い聴衆のための音楽作品における創造性と革新性を表彰する賞YAMawards（The Young Audiences Music Awards）のベストオペラ・コンサート部門にノミネートされた。ペヤンヌマキが台本を手がける本作では、平安時代の短編集「堤中納言物語」に収められた「虫めづる姫君」を題材に、舞踏とクラシック音楽のコラボレートが楽しめる。初演に続き、演出・振付、そして姫役を我妻恵美子が担い、音楽監督・作編曲・ピアノ演奏を加藤昌則が担当。そのほか、ソプラノ歌手の三宅理恵、舞踏家の塩谷智司、初参加となる鯨井謙太郒がキャスティングされた。

客席には開演前から虫の羽音、水滴が落ちる音、鈴が鳴るような不思議な音色が響き、“虫の存在”が近くに感じられる演出が施されていた。姫役の我妻は静と動を使い分け、虫に魅せられた瞬間から集中力をぐっと高めて虫を追いかける様子をじっくりと見せ、一方で喜びや興奮、周囲から“変わっている”と言われる姫の姿をガニ股や中腰、大きな動きで、はつらつと演じた。また、我妻、塩谷、鯨井の表情の演技も見どころの一つ。どこか奇怪な印象を与えながら、人間が持つ色とりどりな感情をポップに表現し、観客を引きつけた。平安時代に姫としてのあるべき姿をはねのけ、自分の心に正直に生きる姫の姿は、現代を生きる観客にもまぶしく映るはずだ。

上演時間は約1時間15分。公演は明日6月21日まで。

Music Program TOKYO シアター・デビュー・プログラム「虫めづる姫君」

2025年6月20日（金）〜21日（土）
東京都 東京文化会館 小ホール

スタッフ

台本：ペヤンヌマキ
演出・振付：我妻恵美子
音楽監督・作編曲：加藤昌則

出演

姫君：我妻恵美子
侍女 / 虫の精：三宅理恵
侍女 / 虫 / 殿方：塩谷智司 / 鯨井謙太郒

演奏

ピアノ：加藤昌則
フルート：上野由恵
クラリネット：濱崎由紀
チェロ：笹沼樹

※小中学生料金あり。