「SIX」は、2017年にイギリス・ケンブリッジ大学の学生により制作されたミュージカル。同作は2017年に「エジンバラ・フェスティバル・フリンジ」で注目を集め、イギリス・ロンドンのウエストエンド、アメリカ・ニューヨークのブロードウェイなど、各地で人気を博している。去る1月26日には
本作に登場するのは、“英国史上最も有名でスキャンダラスな暴君”とされるヘンリー8世の元王妃6人。現代によみがえった6人はガールズバンドを結成し、リードボーカルを務めるメンバーを「誰が最も悲惨な目に遭ったのか」で決めようとするが……。日本キャスト版には、キャサリン・オブ・アラゴン役に
冒頭、舞台を覆う幕から姿を現したキャストにスポットが当たり、6人は「離婚」「打首」「死亡」「離婚」「打首」「死別」と、おのおのが経験したヘンリーとの“別れ”をハンドマイクで語る。続いてオープニングナンバー「Ex-Wives」がスタートすると、キャストが「東京! 声聞かせて!」と煽り、観客も手拍子と大歓声で応えた。
それぞれゴールド、グリーン、ブラック、レッド、ピンク、ブルーの衣裳を着用したキャストたちは、ラインストーンやスタッズを輝かせながらパフォーマンスする。ステージ後方ではバンドの女性たちが、時にキャストとやり取りしながら爆音を奏でた。また宮廷画家ハンス・ホルバインについてのナンバー「Haus of Holbein」のシーンでは、舞台後方中央の四角い電飾の前にキャストが立つ。この場面では、まるで現代のマッチングアプリのように女性が左右に“スワイプ”され、“なし”なら左の赤い電飾、“あり”なら右の緑の電飾へとキャストが移動し、女性が容姿で品定めされる様子が描かれた。
元王妃たちはソロ曲を通じて人生の悲惨さを歌い、マウントを取り合いながらリードボーカルを決めようとする。しかし6人はやがて、それぞれの人生を“ヘンリーの妻”としてではなく、自分自身のものとして語り直そうと歴史の“リミックス”を試みる。スポットライトに照らされた彼女たちが、弾けるような笑顔で歌うフィナーレにぜひ期待しよう。
アラゴンとヘンリーの結婚期間は、妻たちの中で最長とされる約24年間。ソニンは離婚させられた怒りを「ありえない!」とパワフルに歌い、強気な女性としてアラゴンを立ち上げる。田村が演じるブーリンは、離婚を許さないカトリック教会とヘンリーが決別するきっかけとなるも、のちに打首となる人物。田村はくるくると変わる表情でブーリンの蠱惑的な魅力を体現し、何かにつけて「首を切られた」とアピールして笑いを誘った。男児の出産後に亡くなったシーモアは、“ヘンリーに最も愛された妻”とされている。原田はドラマチックなバラードに乗せ、息子の成長を見られなかった悲しみをしっとりと歌い上げた。
ホルバインが描いた肖像画が「本人と違う」として婚姻を無効にされてしまうクレーヴスには、その後も高い身分と城や邸宅などが与えられた。クレーヴス役のエリアンナは持ち前のエネルギッシュな歌声で「ひざまずなさいよ!」と歌い、観客を巻き込んで会場を盛り上げる。49歳のヘンリーと19歳で結婚したハワードは、姦通罪などで打ち首に。鈴木は身体をくねらせてセクシーにパフォーマンスしながらも、時折見せる表情から若くして散ったハワードの悲哀をにじませた。またパーは愛する恋人との結婚を望みながらもヘンリーと結婚し、彼の最期を看取った人物。パー役の斎藤は1つひとつの歌詞をかみ締めるように歌い、元恋人への愛や、聡明なパーが生きるために“神から与えられた使命”としてヘンリーと結婚するしかなかった悲しみを描き出した。
上演時間は約1時間20分。東京公演は2月21日まで。本作はその後、2月28日から3月2日まで愛知・御園座、7日から16日まで大阪の梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティでも上演される。
ミュージカル「SIX」日本キャスト版
2025年1月31日(金)〜2月21日(金)
東京都 EX THEATER ROPPONGI
2025年2月28日(金)〜3月2日(日)
愛知県 御園座
2025年3月7日(金)〜16日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
スタッフ
オリジナルクリエイティブ
原作:トビー・マーロウ&ルーシー・モス
演出:ルーシー・モス&ジェイミー・アーミテージ
日本キャスト版クリエイティブ・スタッフ
翻訳・訳詞:
出演
キャサリン・オブ・アラゴン:
アン・ブーリン:
ジェーン・シーモア:
アナ・オブ・クレーヴス:
キャサリン・ハワード:
キャサリン・パー:
※ソニンは東京公演のみ、田村芽実は東京公演と愛知公演のみの出演。
ミュージカル「SIX」来日版(英語上演・日本語字幕)
2025年1月8日(水)〜26日(日) ※公演終了
東京都 EX THEATER ROPPONGI
スタッフ
脚本・作詞・作曲:TOBY MARLOW & LUCY MOSS
演出:Lucy Moss & Jamie Armitage
振付:Carrie-Anne lngrouille
出演
キャサリン・オブ・アラゴン:ビリー・カー
アン・ブーリン:イナ・トレスヴァレス
ジェーン・シーモア:リバティ・ストッター
アナ・オブ・クレーヴス:ハンナ・ヴィクトリア
キャサリン・ハワード:リジー・エメリー
キャサリン・パー:エロイーズ・ロード
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