東京公演は去る12月21日に開幕した。ベートーヴェン役の稲垣は「毎日たくさんのお客様を迎え、幸せを感じながら大切に演じています」と手応えを語り、100公演目を迎えることについて「感謝の気持ちでいっぱい。計算すると、約10万人のお客様が来てくださったことになる。すごいことです」と喜びをのぞかせた。稲垣がベートーヴェンを演じるのは4度目。稲垣は「ベートーヴェンとして役のスイッチがオフになっていても、主電源はコンセントに刺さったまま、常に心の中に役の“火種”があると感じていた」と述べ、「この舞台では、お客様も一緒にベートーヴェンの音楽を奏でている感覚になれる。何度やっても『交響曲第9番』が流れる瞬間に感動しますし、音楽の力を実感します」と感慨深げに述べた。
2018年公演からマリア役を務め、3度目の出演となる剛力は「初出演のとき私は25歳。三十代に入った今は二十代のときより素直に感情を表現できている気がします。舞台でも、ベートーヴェンと向き合ったときの気持ちを、マリアとしてよりストレートに出せているのでは」と笑顔を見せる。稲垣演じるベートーヴェンについて、剛力は「稲垣さんはベートーヴェンそのもので、良い意味で変わりません。でも年齢を重ね、厚みや深みが増していらっしゃると思います」とコメント。これを受けて稲垣も「剛力さんは初演のときから目覚ましく成長していて頼もしい。お母さんのような深い愛を感じます」と剛力に視線を送った。
白井は2人の演技の印象を「吾郎さんのベートーヴェンは重厚感が増してきた。剛力さんはマリアそのもの」と述べる。また白井は「今回新たに作品に向き合うつもりで稽古に臨んだ」と言い、「劇中の音楽も見直し、今回ピアノソナタが増えました」と明かす。稲垣も白井の言葉に「成功体験をなぞらず、いちから作るという感覚で僕らも取り組んできました」とうなずいた。
取材では稲垣が、自身とベートーヴェンの“似ていないところ”について語る場面も。稲垣は「ポーカーフェイス気味の僕と、いつも感情むき出しのベートーヴェンは真逆の人間。だけどベートーヴェンをもう1つの人格として持っておくのも面白いなと。ベートーヴェンのように情熱的な人への憧れもありますし、舞台で演じていて気持ち良いです」と笑う。これを聞いて白井も「吾郎さんは以前、『舞台で一生分怒った』とおっしゃっていましたよね(笑)」と続けた。
さらに記者から「あと何回くらいこの舞台をやりたいか」と尋ねられた稲垣は「100公演を1つの通過点として、このメンバーでやれる限りは続けたい。僕も思い入れがある舞台ですし、やっていける自信もあります」と微笑んだ。
上演時間は休憩20分を含む約3時間10分。東京公演は12月31日まで。本作はその後、1月11・12日に福岡・久留米シティプラザ、18日から20日まで大阪・オリックス劇場、2月1・2日に静岡・アクトシティ浜松 大ホールでも上演される。
No.9 ー不滅の旋律ー
2024年12月21日(土)〜31日(火)
東京都 東京国際フォーラム ホールC
2025年1月11日(土)・12日(日)
福岡県 久留米シティプラザ
2025年1月18日(土)〜20日(月)
大阪府 オリックス劇場
2025年2月1日(土)・2日(日)
静岡県 アクトシティ浜松 大ホール
スタッフ
出演
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:
マリア・シュタイン:
ヨハン・ネポムク・メルツェル:
ナネッテ・シュタイン・シュトライヒャー:
カスパール・アント・カール・ベートーヴェン:
ニコラウス・ヨーハン・ベートーヴェン:
ヨハン・アンドレアス・シュトライヒャー:
フリッツ・ザイデル:
ヨハンナ:
カール・ヴァン・ベートーヴェン(青年):
兵士ほか:宮部大駿
カール・ヴァン・ベートーヴェン(少年):
ヨゼフィーネ・フォン・ブルンスヴィク:
ヨハン・ヴァン・ベートーヴェン / ステファン・ラヴィック:
ヴィクトル・ヴァン・ハスラー:
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サトリン🖇 @jusrD0nt1PnQPyR
継続は力なり。
ずっと続けていきたいと思える役に出会えるというのは、俳優として、とても幸せなこと。
拝見するのが楽しみです。
私の記憶の中のNo.9を超えていただきたい。 https://t.co/2J3N1JrDVH