新国立劇場の舞踊芸術監督・吉田都、演出作「ジゼル」ロンドン公演に「私もダンサーも覚悟を決めて」

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「新国立劇場 舞踊 2024 / 2025シーズン ラインアップ説明会」が本日2月28日に東京・新国立劇場で行われ、舞踊芸術監督の吉田都が登壇した。

吉田都

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吉田はまず、2月25日に行われた新国立劇場バレエ団「ホフマン物語」の千秋楽公演に、かつて新国立劇場バレエ団の芸術監督を務めたデヴィッド・ビントレーと大原永子が訪れたことを明かし、「3人で作品を観られたことを、心強く感じた」とコメント。さらにダンサーたちがウォームアップやクールダウン、またストレッチや実習も行うことのできる新スタジオがオープンしたことや、学校法人東京医科大学と包括連携協定を結び、医療体制が充実したことなどに言及し、「時間がかかるとしても、そういった改革を進めていきたい」と発言した。

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続いて、2024 / 2025シーズンのラインアップ説明が行われた。吉田は、すでに上演が発表されていた、貝川鐵夫が振付を手がける新作バレエ「『人魚姫』~ある少女の物語~」について、「“こどものためのバレエ劇場”と銘打っておりますが、子供も大人も楽しめる作品になることを期待しています」と述べる。また、10月のシーズン始めに上演される「眠れる森の美女」に関して、「全12回公演となりますので、デビューキャストが多い作品にできるのでは、と私自身楽しみにしております」、11月上演の小尻健太がアドバイザーを務め、新国立劇場バレエ団のダンサーが振付・出演する「Dance to the Future2024」については、「小尻さんにはすでに2回、ワークショップを実施いただきまして、私も見学しましたが、ダンサーにとっても私にとっても勉強になる時間でした。今回新作のほか、以前創作したものの、まだ上演していない作品も披露する予定です」とそれぞれの内容に触れた。

12月から来年1月にかけては、恒例の「くるみ割り人形」が上演される。「今シーズンの『くるみ割り人形』には、2万人を超えるお客様にご来場いただきました。今年はチャレンジングに、全18公演行います!」と明かす。3月の上演演目には、3本立て企画「バレエ・コフレ」、そしてCo.山田うんによる「オバケッタ」が並んだ。「バレエ・コフレ」の演目には、ハラルド・ランダー振付の「エチュード」、ウィリアム・フォーサイス振付の「精確さによる目眩くスリル」、そしてミハイル・フォーキン振付の「火の鳥」がラインナップされ、「エチュード」と「スリル」は新制作となる。吉田は「コフレは宝石箱という意味で、キラキラした素敵な作品がそろっています」と太鼓判を押し、「『エチュード』は、もともと好きな作品。私が新国立劇場の参与だった頃、作品を上演させていただきたいと、著作権を持っている方にご相談したところ、その方から『新国立劇場バレエ団のレベルがわからない状態では、上演許可を出すことは難しい』と断られてしまいました。その後もやり取りは続けていたのですが、コロナ禍になり、一旦やり取りが途絶えてしまっていたところ、今回あちらから『バレエ団の評判を耳にしたので、ぜひ上演してほしい』とご連絡をいただけたんです。私自身、そのことがとてもうれしいですし、今回実現することを楽しみにしています」と笑顔を見せた。

4月には、2022年に新国立劇場開場25周年記念公演として、吉田の演出で新制作された「ジゼル」が上演される。吉田は「作品は、繰り返し上演することで育つと考えています。ダンサーたちの身体になじんだ『ジゼル』をお披露目できれば」と思いを語ったあと、本作が7月にイギリスの英国ロイヤル・オペラ・ハウスで上演されることを明かす。吉田は「招待公演ではない形態で、新国立劇場が自ら海外公演を実施するのは、今回が初めての試み」と話し、「バレエ団のみんなに、ロイヤル・オペラ・ハウスの舞台に立ってもらいたいという強い気持ちから実現しました。実際に舞台に立って踊ってみないと、わからない空気感というものがあるんです。海外公演を経験したあとのダンサーの変化が楽しみです」と意図を述べる。ただ不安もあると吐露し、「サー・ピーター(ピーター・ライト)の『ジゼル』で育った私にとって、自分が演出する『ジゼル』をロイヤル・オペラ・ハウスに持っていくのは大きなプレッシャーですし、ダンサーたちにとっても、現地のお客様に喜んでいただけるレベルまで持っていけるか、チャレンジでもあります。私もダンサーも覚悟を決めてやらなくてはいけません」と言葉に力を込めた。

6月には人気作「不思議の国のアリス」が披露される。マッドハッターによるタップダンスは作品の見どころの1つで、吉田は「6月の上演に向け、タップダンスに興味のあるダンサーを募ったところ、何名か声を上げてくれました。現在、練習を始めているところです。タップダンスには向き不向きもありますし、なかなか難しい役柄でもありますが、役をつかみ取ってもらいたいですね」と期待を寄せた。7月には、若手ダンサーにスポットライトを当てたガラ公演「Young NBJ GALA 2025」がシーズンラストを飾る。今回で2回目となる本企画だが、吉田は前回を「良く言えば……初々しいパ・ド・ドゥでした(笑)。クラシックの難しさを実感しました。新人ダンサーたちをもう少し成長させられるようにがんばらなくては」と振り返る。「Young NBJ GALA 2025」では、古典バレエ作品の「パ・ド・ドゥ集」に加え、中村恩恵が2013年に初演したソロ作品「O Solitude」、そして福田圭吾による新作が披露される。吉田は、本シーズンで新作を披露する貝川と福田が、共に新国立劇場バレエ団の出身であることに言及しつつ、「ダンサーたちが振り付ける企画は、ビントレーさんがスタートさせたものです。ずっとチャレンジを続けてきた2人に、今回新作を作ってくださいと依頼できたことをうれしく思っていますし、ビントレーさんの思いが実を結んでいるのではと感じています」と話した。

最後に吉田は「今シーズンは『人魚姫』も含めると、バレエ団による上演は全68公演で、少しずつ公演数を増やしていけている実感があります。リハーサルはもちろん大事ですが、ダンサーはやはり、本番で成長するもの。『ホフマン物語』もそうでしたが、良くなってきたところで千秋楽を迎えてしまうと残念ですし、またダンサーたちの経済的な面でも、公演数を増やしていきたい」と意気込みを述べた。

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新国立劇場 2024 / 2025シーズン バレエ&ダンスラインアップ

新国立劇場 こどものためのバレエ劇場 2024「『人魚姫』~ある少女の物語~」

2024年7月27日(土)~30日(火)
東京都 新国立劇場 オペラパレス

振付:貝川鐵夫
音楽:C.ドビュッシー、J.マスネ ほか

新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」

2024年10月25日(金)~11月4日(月・振休)
新国立劇場 オペラパレス

音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:ウエイン・イーグリング(マリウス・プティパ原振付による)
指揮:ギャヴィン・サザーランド、冨田実里
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

新国立劇場バレエ団「Dance to the Future2024」

2024年11月29日(金)~12月1日(日)
新国立劇場 小劇場

振付:新国立劇場バレエ団
アドバイザー:小尻健太

※小尻健太の「尻」はしかばねに丸が正式表記。

新国立劇場バレエ団「くるみ割り人形」

2024年12月21日(土)~2025年1月5日(日)
新国立劇場 オペラパレス

振付:ウエイン・イーグリング
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
指揮:冨田実里 ほか
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京少年少女合唱隊

新国立劇場バレエ団「『バレエ・コフレ』エチュード〈新制作〉 / 精確さによる目眩くスリル〈新制作〉 / 火の鳥」

2025年3月14日(金)~16日(日)
新国立劇場 オペラパレス

「エチュード」

振付:ハラルド・ランダー
音楽:カール・チェルニー
編曲:クヌドーゲ・リーサゲル

「精確さによる目眩くスリル」

振付・美術・照明:ウィリアム・フォーサイス
音楽:フランツ・シューベルト

「火の鳥」

振付:ミハイル・フォーキン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー

Co.山田うん「オバケッタ」

2025年3月29日(土)・30日(日)
新国立劇場 小劇場

振付・演出:山田うん
音楽:ヲノサトル
出演:Co.山田うん

新国立劇場バレエ団「ジゼル」

2025年4月
新国立劇場 オペラパレス
※海外公演あり。

振付:ジャン・コラリ、ジュール・ペロー、マリウス・プティパ
演出:吉田都
ステージング・改訂振付:アラスター・マリオット
音楽:アドルフ・アダン
指揮:ポール・マーフィー、冨田実里
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

新国立劇場バレエ団「不思議の国のアリス」

2025年6月12日(木)~24日(火)
新国立劇場 オペラパレス

台本:ニコラス・ライト
振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:ジョビー・タルボット
美術・衣裳:ボブ・クロウリー
指揮:デヴィット・ブリスキン、冨田実里
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
共同制作:オーストラリア・バレエ

新国立劇場バレエ団「Young NBJ GALA 2025」

2025年7月12日(土)・13日(日)
新国立劇場 中劇場

「パ・ド・ドゥ集」

「O Solitude」

振付:中村恩恵
音楽:ヘンリー・パーセル

「福田圭吾による新作」

振付:福田圭吾

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れんこん @renkon61550910

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