「超歌舞伎」中村獅童、小川陽喜&初お目見得の夏幹の自由さに翻弄される「まとまろうぜ!」

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歌舞伎座新開場十周年「十二月大歌舞伎」第1部「超歌舞伎 Powered by NTT『今昔饗宴千本桜』中村獅童 初音ミク 宙乗り相勤め申し候」の取材会が、昨日11月13日に東京都内で行われた。

左から小川陽喜、小川夏幹、中村獅童。

左から小川陽喜、小川夏幹、中村獅童。

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超歌舞伎「今昔饗宴千本桜」より。(c)松竹・NTT/(c)超歌舞伎

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超歌舞伎「永遠花誉功」より。(c)超歌舞伎2022 Powered by NTT

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「超歌舞伎」は、古典歌舞伎とNTTによる最新のテクノロジーが組み合わさった、歌舞伎俳優とボーカロイドが共演するコンテンツ。2016年に第1弾が「今昔饗宴千本桜」が千葉・幕張メッセ イベントホールで上演されて以来、京都・南座、福岡・博多座、愛知・御園座、東京・新橋演舞場でも上演されてきた。初の東京・歌舞伎座公演となる今回は、第1弾の2016年以降、繰り返し上演されてきた「今昔饗宴千本桜」が披露される。中村獅童、初音ミク、獅童の息子・小川陽喜らが出演する本公演で、同じく獅童の息子である小川夏幹が初お目見得する。

歌舞伎座新開場十周年「十二月大歌舞伎」第一部「超歌舞伎 Powered by NTT『今昔饗宴千本桜』中村獅童 初音ミク 宙乗り相勤め申し候」特別ポスター

歌舞伎座新開場十周年「十二月大歌舞伎」第一部「超歌舞伎 Powered by NTT『今昔饗宴千本桜』中村獅童 初音ミク 宙乗り相勤め申し候」特別ポスター[拡大]

取材会では、「超歌舞伎」の告知映像が流れたあと、NTT社員により、今回の「超歌舞伎」で用いられる最新技術の一部が発表された。NTTの最新技術Another Meを用いて作られた“中村獅童ツイン”、超高臨場感通信技術・Kirari!を活用した“分身の術”といった、過去の公演で披露された最新技術はよりパワーアップすることが明らかに。またイヤホンガイドのイヤホンに、NTT独自のPSZ技術が用いられた、耳をふさがない“耳スピーカー”が使用されることが明かされた。“耳スピーカー”は「十二月大歌舞伎」のすべての部のイヤホンガイドで使用することが可能となる。

中村獅童

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続いて、獅童が登場。「超歌舞伎」の上演を「ライフワーク」と話す獅童は、歌舞伎座での上演に「うれしいという思いが一番強いですね。応援してくださる皆さん、お1人おひとりの思いがあったからこそ、歌舞伎座につながった」と言葉に力を込める。「ただ、歌舞伎座で上演するには異質な演目ですし、やはり賛否両論の意見があることはわかっています。しかし、伝統を守りつつ革新を追求するのが、中村獅童の生き方。そこは生き通したいですね」と真摯に述べる。また共演する初音については「尊敬しています。2016年から、公演を重ねるごとに踊りも上達しました。未経験だったわけですから、影でのご努力も大変なものだったかと。今回も踊りが進化しています」と言及した。

中村獅童

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なお同公演では、これまで上演されてきた「超歌舞伎」と同様に、観客がペンライトを持って参加する演出がある。このことに獅童は「見たことのない風景を、歌舞伎座で作ってみたい」と瞳を輝かせ、「南座で『超歌舞伎』を上演したとき、古典歌舞伎を見慣れているような、おそらく『超歌舞伎』を初めてご覧になるお客様がいらしていて。その方に、ペンライトを10本ぐらい持っていた熱狂的な『超歌舞伎』ファンの方が、ペンライトを貸してあげる、という光景がありました。その交流を目にして、なんともいえないうれしさがありました」と振り返る。

また「今回、何がうれしいって、(中村)勘九郎さんと(中村)七之助さんが出るって言ってくれたことですね。さらに『自分たちが出ることで、出演しているお弟子さんの役が下がらないようにしてほしい』と裏で言ってくれていたみたいで。そういった心遣いもうれしかった」と破顔する。さらに「これまで7年『超歌舞伎』をやってきましたが、心の中では歌舞伎座での上演が、1つのゴール地点だと思っていました。というわけで、“第1期”『超歌舞伎』は、これがピリオドだと思っています。今までやってきたことの集大成になれば」と話した。

左から小川陽喜、小川夏幹。

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左から中村獅童、小川夏幹。

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続けて、初お目見得となる夏幹について「夏幹は、生まれながらに両手の小指が欠損しています。このことを公表するかどうかは、今日ここに出発する直前まで、妻と話し合いました」と明かし、「陽喜もそうですが、夏幹にも『歌舞伎をやれ』と言ったことはありません。陽喜が『やりたい』と言って、弟の夏幹も『僕もやりたい』と。倅が、自分と同じ道を歩んでくれるのはうれしいですが、人前に立つ仕事ですので、指のことは隠せることではありません。世間が、独特な個性の持ち主である彼をどのように受け入れるか、僕自身、葛藤がないと言えば嘘になります。ただ『歌舞伎俳優になりたい』と言ったわけですから、子供の気持ちを尊重して、やらせようではないかと。稽古に励んで、力強く生きていってほしいですし、家族で手を取り合って、前を見据えて生きていきたい」と語る。

「夏幹は、泣き虫でママっ子なので、(舞台に立たせることへの)心配はありました。子供って化粧をするのがハードルなんです。お化粧する最中に大体泣き出すんですけど、夏幹が先月、お化粧のお稽古をしたとき、なんとかそのハードルを乗り越えることができました。その日はちょっとした隈取をしたのですが……なっちゃん(夏幹)は、うれしくなると唇をペロペロしてしまう癖がありまして(笑)、口のところだけ、おしろいがはげちゃっていましたね。公演をご覧になるお客様には、もし夏幹の唇のおしろいが剥げていたら、うれしくて唇を舐めたんだなと思っていただければ」と微笑んだ。

自由にポーズを決める小川陽喜(左)。

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また兄弟について「陽喜と夏幹は性格が真逆。陽喜は『僕を見てくれ』というタイプで、歌舞伎とヒーローものにしか興味がない。夏幹はラーメンや乗り物が好きで、趣味がおっさんっぽい(笑)。大体入浴前に、子供たちの立廻りごっこが始まるんですけど、この間布袋寅泰さんの『スリル』を流したら、『ベビベビベイビ……』という曲のリズムに合わせて、なっちゃんが順番に服を脱いでいって(笑)。僕もロックを聞くとき脱ぎグセがあったので、その血はなっちゃんが引いたかな」と家でのエピソードを明かす。また、夏幹の役どころについて「役柄は決まっているんですけど、まだ台本をもらっていないので(笑)。クライマックスで、夏幹は陽喜と一緒に花道で見得を切るので、本人も気持ちいいのでは」と述べた。

左から小川陽喜、小川夏幹、中村獅童。

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カメラマンからの「見得を切ってください!」のリクエストに応えようとする親子。

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取材会のラストでは、陽喜と夏幹がペンライトを片手に登場し、親子3人での囲み取材が始まった。フォトセッションでは、自由に舞台上をうろつき、あちこちで見得を切る陽喜、そしてマイペースに床に座ろうとする夏幹の2人に対し、困った獅童が「まとまろうぜ!(笑)」と声をかけ、報道陣の笑いを誘う一幕も。2人が持っているペンライトは、「超歌舞伎」特製の「萬屋!」「紀伊國屋!」といった大向うが入ったもの。レポーターから「お名前は?」と聞かれた夏幹が「夏幹です!」と元気よく答えると、すかさず陽喜が「萬屋!」とペンライトから大向うを飛ばす。それに獅童に「はる、今の良いよ。間が良いよ」と褒め、陽喜は得意げな表情を浮かべた。

記者からの質問を受ける小川夏幹(右)と、それを見守る中村獅童と小川陽喜。

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レポーターから「歌舞伎の好きなところは?」と聞かれると、夏幹は「たたかってるところ。たちまわり」と返す。「練習はしていますか?」との問いには「してます!」、「難しいところはありますか」には「ありません」、「楽しいところは?」には「たたかってるところ。たちまわりがすき」と回答した。また獅童の印象を「カッコいいです」と答えた夏幹に、獅童は「これを言わせたかった(笑)」とご満悦。さらに「大きくなったら何になりたい?」との質問には「パパ」と返した。

舞台端で1人、見得を切っている小川陽喜。

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一方、陽喜は「連獅子」の子獅子のカツラを宝物にしていることをマイクに向かって明かし、獅童が「浅草の仲見世のお土産屋さんで買ってあげたんですけど、とっても喜んで、立廻りごっこのときにも使っています。僕と一緒に連獅子をやっている絵も、僕にくれたんです」と補足する。これにレポーターが「ゆくゆくは、親子で連獅子を?」と獅童に尋ねると、獅童は「そうなんですよね。体力が衰えないように精進しないと」と笑顔を見せた。陽喜は「言っとくけど、僕は歌舞伎の絵、上手だから!」と自信ありげに話し、その微笑ましい姿に、会場は笑いで包まれた。

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歌舞伎座新開場十周年「十二月大歌舞伎」

2023年12月3日(日)~26日(火)
東京都 歌舞伎座

第一部

一、「旅噂岡崎猫」

脚本:奈河彰輔
補綴・演出:石川耕士
演出:市川猿翁

出演
おさん実は猫の怪:坂東巳之助
由井民部之助:中村橋之助
お袖:坂東新悟

二、「超歌舞伎 Powered by NTT『今昔饗宴千本桜』中村獅童 初音ミク 宙乗り相勤め申し候」

脚本:松岡亮
演出・振付:藤間勘十郎

出演
佐藤四郎兵衛忠信:中村獅童
美玖姫:初音ミク
蝶の精:中村種之助
陽櫻丸:小川陽喜
夏櫻丸:小川夏幹
初音の前:中村蝶紫
青龍の精:澤村國矢
頭取:市川青虎
神女舞鶴姫:中村七之助
朱雀の尊:中村勘九郎

第二部

一、「爪王」

脚本:戸川幸夫
脚色:平岩弓枝

出演
狐:中村勘九郎
鷹:中村七之助
庄屋:中村橋之助
鷹匠:坂東彦三郎

二、「俵星玄蕃」

「赤穂義士外伝 俵星玄蕃」より
脚本:竹柴潤一
演出:西森英行

出演
俵星玄蕃:尾上松緑
当り屋十助実は杉野十平次:坂東亀蔵
大石主税:尾上左近
中村藤馬:市川青虎
村松三太夫:中村吉之丞
三村次郎左衛門:市村橘太郎
前原伊助:中村松江
吉田忠左衛門:河原崎権十郎

第三部

一、「猩々」

出演
猩々:尾上松緑
酒売り:中村種之助
猩々:中村勘九郎

二、「天守物語」

作:泉鏡花
演出:坂東玉三郎

出演
天守夫人富姫:中村七之助
姫川図書之助:中村虎之介
舌長姥 / 近江之丞桃六:中村勘九郎
薄:上村吉弥
小田原修理:片岡亀蔵
朱の盤坊:中村獅童
亀姫:坂東玉三郎

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