「壽 初春大歌舞伎」出演の中村獅童、長男・小川陽喜の初お目見得に「もう胸がいっぱい」

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「壽 初春大歌舞伎」が、1月2日から27日まで東京・歌舞伎座で上演される。本日11月26日には、第1部に出演する中村獅童と、その長男・小川陽喜の記者会見が東京都内で行われた。

左から小川陽喜、中村獅童。

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左から小川陽喜、中村獅童。

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第1部には、獅童が吉岡鬼次郎役を勤める「一條大蔵譚」、そして獅童が真柴久吉役、陽喜が奴喜蔵役で登場する舞踊「祝春元禄花見踊」がラインナップ。なお、陽喜は同作にて初お目見得となる。

中村獅童

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取材会にはまず獅童が1人で登壇。「きっと皆さん、陽喜を見に来たと思うんですけど……(笑)」とやや恐縮しながら現れた獅童は、初お目見得のきっかけが、陽喜の要望だったことを明かす。「(陽喜は)千葉・幕張メッセで上演した『超歌舞伎』の映像を家で観ていたみたいです。僕が隈取して立ち回りしている姿に憧れを持ったようで、家に帰ると刀のおもちゃで立ち回りをしていましたね。普通のお子さんと同じように、仮面ライダーやウルトラマンも好きなんですけど、そういったヒーローものと同じように、歌舞伎も好きになって。今では、僕以外が出演する歌舞伎も観ています。この間も、『赤坂大歌舞伎』を一緒に観に行きました。歌舞伎だと、不思議と静かに観られるんですよね」と、うれしそうな表情で述べる。

中村獅童

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左から小川陽喜、中村獅童。

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「陽喜から一番強く(歌舞伎をやりたいと)頼まれたのは、9月に南座でやった『九月南座超歌舞伎』のあとですね。ただ出るとなったら、約1カ月、毎日出演し続けないといけない。しっかり体調管理して、元気よく出ないといけないし、毎日お化粧しないといけないよ、と伝えたら、やる気を持って『毎日お化粧したい!』と。じゃあやろうということで、話を進めていただきました」と経緯を語る。

「祝春元禄花見踊」に向け、陽喜はすでに踊りの稽古を始めていると言い、「振付は藤間のご宗家がしてくださるのですが、もう陽喜の振りはでき上がっています。陽喜は見得を切るのと、隈取と、立ち回りが大好きなのですが、振りには彼の好きな要素をたくさん入れていただきました。観てのお楽しみですが、子役では考えられないほどのおいしいところ取り(笑)。うらやましいなと、少し嫉妬してしまいます」とほほ笑む。また陽喜の人気に「もっと僕のことも見てほしい。僕も可愛いですよ?(笑)」と冗談交じりに発言し、会場の笑いを誘った。

「一條大蔵譚」と「祝春元禄花見踊」には、中村勘九郎中村七之助も出演する。獅童は「僕の初舞台のときには、(十七世)中村勘三郎のおじさまに手を引いて出させていただきました。なので陽喜の初お目見得に、中村屋のお二人に出てもらえるのはとても心強い。『コクーン歌舞伎』や『新春浅草花形歌舞伎』など、一緒に大きな山を1つひとつ越えてきた仲間でもありますし……本当にうれしいですね」と表情を緩めた。

「一條大蔵譚」より、中村獅童扮する吉岡鬼次郎。(c)松竹

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獅童が「一條大蔵譚」で鬼次郎役を演じるのは、2001年1月に浅草公会堂で行われた「初春花形歌舞伎」以来のこと。当時は勘太郎だった勘九郎が、今回と同様に一條大蔵長成役を担っていた。「(鬼次郎は)若手のとき、初めていただいた大きなお役。思い入れがある演目ですね」と語る獅童は、鬼次郎の役は十八世勘三郎から習ったと明かす。「当時、勘三郎の兄さんが京都の公演に出られていたので、京都まで行って稽古をつけていただきました。鬼次郎には石投げという振りがあるのですが、(十八世勘三郎から)『丸めたティッシュを、本気で投げてごらん』と教えていただいたのが印象的です。何度も投げると、『そうだそうだ』と。『それが振りになっているから、それを型にはめてごらん』と言っていただきました」と懐かしそうに振り返る。

記者から自身の初舞台の思い出について尋ねられた獅童は、「すみません、じっくり考えさせてください」としばらく黙り込み、「僕が初舞台で獅童という名前を襲名したとき、母が立派な鏡台を発注してくれたんです。その鏡台を、僕は30歳近くまでずっと使っていました。その鏡台はずっと大切に保管していたのですが、今回、陽喜に使ってもらおうと思って、先日出して、組み立てました。そのとき母のことを思い出しながら、『ああ、自分はこうやって今日まで子供の頃からやってきたんだな』と。“親子で芝居に出る”という感覚が、少しわかった気がしました」と思いを口にした。

元気いっぱいに自己紹介する小川陽喜(右)と、それを見守る中村獅童(左)。

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続いて、獅童と陽喜の写真撮影、囲み取材が行われた。報道陣の前に登場した陽喜は「こんにちは、小川陽喜です! 3歳です!」と元気いっぱいに自己紹介。その様子を、笑顔で見守っていた獅童は「子供とこうして金屏風の前に紋付袴姿で立てるのは、なんだか変な気分です。自分でも想定していませんでした」と感慨深げにコメントし、「僕は子供に歌舞伎の道を押し付けたくはなかった。だから自分から『やりたい』と言ってくれたのは本当にうれしいですし、ここに立っているということに、もう胸がいっぱいですね」と言葉に力を込める。

照れる小川陽喜(左)と、それを見守る中村獅童(右)。

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見得を切る小川陽喜(左)と、ほほ笑む中村獅童(右)。

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レポーターから「歌舞伎は好きですか?」と質問された陽喜は「好きです」としっかり答え、好きな部分を「戦っているところです」と話す。また獅童の印象を聞かれると、照れくさそうに「カッコいいです」と回答。さらに陽喜は、報道陣に向け見得を切ってみせ、会場を拍手で包む。見得を切る陽喜に、獅童は「上を向いてやるんだよ」とアドバイスしつつ、「僕、(見得の仕方を)教えてないんですよ(笑)。いろんな歌舞伎の映像を観て覚えたんでしょうね。彼を見ていると、自分の小さい頃を思い出します。僕も祖母に舞台に出たいって頼んで、今日まで(歌舞伎俳優を)やらせていただいているんで」としみじみ語った。

左から小川陽喜、中村獅童。

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稽古では陽喜にどのように接したいか問われると、「僕は(十八世)勘三郎の兄さんに教わることが多かったのですが、芸事に関しては、勘九郎くんや七之助くんに対しても、ものすごく厳しく教えている姿を目の当たりにしていました。心を鬼にして、できるだけ厳しく見ないといけないな、と思っています」と決意を新たにし、「ただ僕らは、親子というより友達みたいな関係なので(笑)、普段は優しく、舞台では徐々に厳しくできれば」と目標を掲げる。

最後まで報道陣に手を振る小川陽喜(左)と優しく誘導する中村獅童(右)。

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公演に向けた思いを尋ねられた陽喜が「楽しい気持ちです!」と答えると、続く獅童は「だそうです(笑)」と笑みをこぼし、取材会は締めくくられた。「壽 初春大歌舞伎」では、第2部で「三番叟」と「萬歳」、「艪清の夢」、第3部で「岩戸の景清」「義経千本桜 川連法眼館の場」が上演される。チケットの一般販売は12月14日10:00にスタート。

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「壽 初春大歌舞伎」

2022年1月2日(日)~27日(木)
東京都 歌舞伎座

第1部

一、一條大蔵譚 檜垣 奥殿

出演
一條大蔵長成:中村勘九郎
吉岡鬼次郎:中村獅童
鳴瀬:中村歌女之丞
お京:中村七之助
常盤御前:中村扇雀

二、祝春元禄花見踊

出演
真柴久吉:中村獅童
山三:中村勘九郎
阿国:中村七之助
若衆雪之丞:中村橋之助
若衆月之丞:中村福之助
若衆花之丞:中村虎之介
若衆松之丞:中村歌之助

奴喜蔵:小川陽喜

第2部

一、春の寿 三番叟 萬歳

三番叟
出演
翁:中村梅玉
三番叟:中村芝翫
千歳:中村魁春

萬歳
出演
萬歳:中村又五郎
才造:中村鴈治郎

二、邯鄲枕物語 新玉の笑いで寿ぐ 艪清の夢

作:三世桜田治助
演出:山田庄一

出演
艪屋清吉:松本幸四郎
横島伴蔵 / 盗賊唯九郎:中村錦之助
清吉女房おちょう / 傾城梅ヶ枝:片岡孝太郎
お臼:中村壱太郎
貸物屋六助 / 杵造:大谷廣太郎
下男太郎七 / 捨金番福六:中村吉之丞
八百屋女房おみね:澤村宗之助
米屋勘助:中村松江
安藝の内侍:市川高麗蔵
紺屋手代黒八 / 番頭作左衛門:大谷友右衛門
家主六右衛門 / 鶴の池善右衛門:中村歌六

第3部

一、難有浅草開景清 岩戸の景清

作:河竹黙阿弥

出演
悪七兵衛景清:尾上松也
北条時政:坂東巳之助
江間義時:中村種之助
和田義盛:中村隼人
千葉介常胤:中村莟玉
衣笠:中村米吉
朝日:坂東新悟
秩父重忠:中村歌昇

二、三代猿之助四十八撰の内 義経千本桜 川連法眼館の場 市川猿之助宙乗り狐六法相勤め申し候

出演
佐藤忠信 / 忠信実は源九郎狐:市川猿之助
静御前:中村雀右衛門
駿河次郎:市川猿弥
亀井六郎:市川弘太郎
局千寿:市川寿猿
飛鳥:市川笑也
源義経:市川門之助
川連法眼:中村東蔵

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