市川猿之助、襲名後の市川青虎に「市川猿弥さんのような“便利屋”に」と期待を語る

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京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム「市川猿之助 春秋座 特別舞踊公演」と「第三回 ひとつなぎの会」の取材会が、本日8月9日にオンラインで行われた。

左から市川青虎、市川團子、市川猿之助。(提供:京都芸術劇場 春秋座)

左から市川青虎、市川團子、市川猿之助。(提供:京都芸術劇場 春秋座)

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左から市川青虎、市川團子、市川猿之助。(提供:京都芸術劇場 春秋座)

左から市川青虎、市川團子、市川猿之助。(提供:京都芸術劇場 春秋座)[拡大]

市川猿之助 春秋座 特別舞踊公演」は、京都芸術劇場 春秋座の芸術監督を務める市川猿之助が同劇場で舞踊公演を行う恒例企画。本公演では、市川團子が独楽売萬作を初役で勤める「独楽」、猿之助、市川青虎、中村壱太郎による「戻駕色相肩」が上演される。「第三回 ひとつなぎの会」は、「スーパー歌舞伎II ワンピース」の出演者有志を中心とした、素踊りでの舞踊勉強会。公演には、市川段一郎らのほか、猿之助と青虎が特別出演として登場する。取材会には、猿之助、團子、青虎が出席。公演に向け、猿之助は「このような公演ができることをうれしく思います。とにかく無事に初日を迎えられることをひたすら祈っております」と言葉に力を込めた。

京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム「市川猿之助 春秋座 特別舞踊公演」チラシ

京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム「市川猿之助 春秋座 特別舞踊公演」チラシ[拡大]

團子は「『独楽』は、澤瀉屋の大切な演目。恥のないように勤められるよう、しっかり稽古して臨みます」と真剣な面持ちで述べる。また役は猿之助から習うことを明かし、「子供の頃ははつらつと踊っていましたが、18歳になりましたので、(『独楽』では)大人の踊りとして抜くところは抜く、緩急のある踊りを目指したい」と意気込みを語る。記者から、祖父である市川猿翁からのアドバイスはあったかと問われると「粋な踊りではありますが、(猿翁からは)最初から逸れすぎても良くないので、しっかり基礎をやるようにと言われました」と話す。猿之助は「基礎を大事に、体操みたいに踊ってほしい。“味”は人生経験がないと出てこない。まずは面白みがなくたって良いので、きちっとお手本のようにやってほしい」と團子に温かい視線を送った。

「戻駕色相肩」では、猿之助が吾妻の与四郎、青虎が浪花の次郎作、壱太郎が禿たよりを勤める。青虎は、本公演が今年3月に襲名後、初の関西公演であることに触れつつ、「青虎は、(二代目市川)小太夫さんが俳名として名乗っていたお名前で、初代青虎さんは、関西に籍を置いていらっしゃった俳優さん。名前に縁のある関西で襲名披露ができることがうれしいですし、また小太夫さんは、俳名が春虎だった(二代目中村)鴈治郎さんと同年代で、春虎・青虎として切磋琢磨していた時代があったと聞いています。なので(二代目鴈治郎のひ孫である)壱太郎くんとの共演にも、ご縁を感じております」と思い入れを語る。青虎に対し、猿之助は「うちの猿翁さんには、(市川)猿弥さんという何でもできる人がいますが、猿弥さんも年を重ねましたので(笑)、世代交代ということで、青虎さんには猿弥さんの立場を引き継ぐぐらいの、良い意味での“便利屋”になっていただきたい」と冗談交じりに期待を語った。

猿之助は、二代目市川亀治郎を名乗った初舞台で禿たよりを演じた。今回与四郎を初役で演じることについて、「与四郎は、いつかはやるだろうなと思っていました。役については、初舞台のときにおじ(三代目猿之助)が演じていた印象しかしかないです」と述べつつ、「でも禿が紅一点で主役のようなものですから。また次郎作には数少ない“仲蔵振り”といって、初代中村仲蔵さんの独特な振りが入っていることで有名です」と見どころを話す。さらに「普通はラストにぶっ返りがありますが、澤瀉屋の『戻駕色相肩』はぶっ返らない。今回も、その型でやらせていただきます」と述べる。

京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム 9月「市川猿之助春秋座特別舞踊公演」関連企画「第三回 ひとつなぎの会」チラシ表

京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム 9月「市川猿之助春秋座特別舞踊公演」関連企画「第三回 ひとつなぎの会」チラシ表[拡大]

「第三回 ひとつなぎの会」について、猿之助は「お弟子さんたちが勉強会をやりたいということで、僕は全面的に協力しつつ、応援という形で出演します。会の詳細は青虎から……(笑)」と青虎にバトンタッチ。青虎は会の説明をしたあと、「コロナ禍で若い人たちの発表の場が失われていたところ、猿之助さんが『特別舞踊公演の千秋楽が昼で終わるのなら、そのあとに『ひとつなぎの会』ができるのでは』と言ってくださり実現しました。若手たちの挑戦をぜひご覧いただきたい。私は『藤娘』で普段やらない女方に挑戦します!」と笑顔で述べた。猿之助は、本公演で「独楽」を素踊りで舞う。記者からどのように舞いたいか問われると、猿之助は「商人の踊りですから、力むものでもない。熱っぽいものを持っている人がさらりと踊る面白さがあるので、軽やかに舞いたいですね」と回答した。

「市川猿之助 春秋座 特別舞踊公演」は9月2日から4日まで、「第三回 ひとつなぎの会」は4日に京都・京都芸術劇場 春秋座にて。

※澤瀉屋の「瀉」のつくりは、わかんむりが正式表記。

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京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム「市川猿之助 春秋座 特別舞踊公演」

2022年9月2日(金)~4日(日)
京都府 京都芸術劇場 春秋座

出演:市川猿之助、中村壱太郎、市川團子、市川青虎

演目

「猿翁十種の内 独楽」

出演:市川團子

「御目見得 口上」

出演:市川猿之助、市川團子、市川青虎

「戻駕色相肩」

出演:市川猿之助、中村壱太郎、市川青虎

京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム 9月「市川猿之助春秋座特別舞踊公演」関連企画「第三回 ひとつなぎの会」

2022年9月4日(日)
京都府 京都芸術劇場 春秋座

出演:市川段一郎、市川喜太郎、市川郁治郎、市川右田六、市川瀧昇、市川三四助、市川笑猿、市川翔乃亮、市川翔三、市川卯瀧、市川喜介 / 下村青、市瀬秀和、石橋正高、花ノ本以津輝
特別出演:市川猿之助、市川青虎

演目

1.常磐津「松の名所」

出演:市川三四助、市川翔乃亮、市川翔三

2.長唄「供奴」

出演:市川喜介

3.義太夫「那須与一弓矢誉」

出演:市川卯瀧

4.長唄「静と知盛」

出演:市川笑猿

5.長唄「七福神」

出演:下村青、市瀬秀和、石橋正高

6.長唄「都風流」

出演:市川瀧昇

7.常磐津「山姥」

出演:市川喜太郎

8.長唄「藤娘」

出演:市川青虎

9.長唄「吉原雀」

出演:市川郁治郎、花ノ本以津輝

10.常磐津「独楽」

出演:市川猿之助

11.長唄「連獅子」

出演:市川段一郎、市川右田六

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読者の反応

𖣐MINA(◉ื人◉ื)K̡̢̡̢֎ @cute37go

「基礎を大事に、体操みたいに踊ってほしい。“味”は人生経験がないと出てこない。まずは面白みがなくたって良いので、きちっとお手本のようにやってほしい」
いいアドバイス。
超花形つかまえて「体操みたいだった」て感想書いてる人いるけど、いいんだよまだそれが正解のフェーズだよって思う。 https://t.co/UE1eqzFzAb

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