「COCOON Movie!! 芸術監督名作選」の初日舞台挨拶が、本日10月6日に東京・Bunkamura シアターコクーンで行われた。
シアターコクーンの3代目芸術監督・
まずはじめに松尾は「テレビやパソコンで舞台の映像を観ることはありますし、今は生配信も当たり前になりましたが、大きな劇場で上演された作品を大きな場所で観たいじゃないかと思って、せっかくなのでコクーンが空いている時間を使った上映会を企画しました」と開催の趣旨を述べる。
大竹は自身が出演した「女教師は二度抱かれた」の稽古を振り返り、「大人計画の人たちのお芝居にびっくりする毎日で楽しかった。大人計画の方って舞台では思い切ったことをなさるのに、普段は全然しゃべらなくて(笑)。稽古中、私が誕生日の日があったのですが、普通はお稽古場で祝ってもらえるのに、何もなかったんです。帰りがけにプロデューサーの方にケーキをもらいましたが、それならみんなで祝ってくれればいいのに!って思いました(笑)」とエピソードを明かす。これを受けた松尾は「そのあとからは、(誕生祝いを)やるようになりました」と返した。
「下谷万年町物語」で蜷川幸雄演出の舞台に初出演したという宮沢は「このタイミングで(蜷川作品に)飛び込まなきゃダメになると思いました。お稽古中は希望と絶望のシーソーに乗っているような日々で、死に物狂い。本番では、暗転前に踊るシーンで限界を越えて、毎日立てなくなってしまい、演出部の方が迎えにきてくださっていました。唐十郎さんとご一緒できたことも私の宝です」と目を輝かせる。
串田和美作・演出「もっと泣いてよフラッパー」に出演していた松尾は「自由劇場の先輩方が再集結した音楽劇。楽器の生演奏もあり、渋谷の街の華やかさを体現しているようなお芝居でした」としみじみ語り、「松たか子さんは素晴らしい歌声の持ち主だなと思いました……大竹さんも、もちろんですけど!」と大竹に視線を送ると、大竹は「そんな取って付けたようなことを言われても!」と切り返す。これに対して松尾は「ちょっと今、目の端に大竹さんが入ったもので……(笑)」と苦笑いを浮かべた。
2014年版「キレイ―神様と待ち合わせした女―」に、少年ハリコナ役で出演した小池は「テストとして、最初に松尾さんの前でアカペラで歌ったのですが、ものすごく緊張して。とにかく松尾さんとご一緒したい気持ちが強くて必死でした。本番ではお母さん役の皆川猿時さんが飛ばす唾を毎日浴びてましたね(笑)」と笑いながら回想。また、2019年版で青年ハリコナ役を務めたことに触れ、「少年ハリコナを歴代で演じた阿部サダヲさんでも青年ハリコナは演じていなかったので、うらやましがってくださって。『宇宙は見えるところまでしかない』という大好きなナンバーを歌えて大感激でした」と語った。
松尾は自身の作・演出作「ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン」に言及し、「コクーンというと、外国の演出家の作品、外国の戯曲が上演されるイメージがあったので、日本の劇場で日本人がやる作品をお見せしたかった。そこで邦楽を取り入れた中東の物語を上演しました。ボーイズラブという要素も歌舞伎の歴史の中で連綿と受け継がれてきたもので、それを現代的な解釈で見せたいなという野心がありましたね」と当時を思い返す。
また自身がプロデュースした東京成人演劇部「命、ギガ長ス」について、「スズナリで上演した作品をコクーンで上映する……そんなアンバランスなものを観せられたとき、人はどう感じるんだろう?という実験です(笑)。自分のお金でプロデュースからやってますので、コクーンで上映することで元が取れると思います(笑)」とジョークを飛ばし、会場を笑いで包む。同作が第71回読売文学賞 戯曲・シナリオ賞を受賞したことについて、中井から実感を聞かれた松尾は「やっぱりお母さんの話とかを書くと賞が獲れるんですね(笑)」とさらに笑いを誘った。
中井が「松尾さんと宮沢さんは舞台ではご一緒されていないですよね?」と尋ねると、松尾は「朗読をやったくらいですね」と答え、宮沢は「次はぜひお母さん役で(笑)」と回答。松尾は「宮沢さんが出てくれたら賞を獲れそうな気がします(笑)」と笑顔で切り返す。
最後に、記者から「登壇者の方たちをキャスティングして舞台を作るとしたら、どんな作品になりそうですか?」とお題を出された松尾は「皆さん力があるので、美術なしの素舞台でいきましょう。3人が無人島に流れ着いて1つの食パンを奪い合う。誰が生き残るのか?という話にしたいです(笑)」と冗談交じりに即答し、会場を沸かせた。
「COCOON Movie!! 芸術監督名作選」は10月11日まで。なお10月24日には、松尾が作・演出を手がけるCOCOON PRODUCTION 2020「フリムンシスターズ」が同劇場で開幕する。
ステージナタリーでは、「COCOON Movie!!」および「フリムンシスターズ」の特集を展開中。本特集では、松尾がシアターコクーン芸術監督としての思いを語っている。また「COCOON Movie!!」の上映作品より、松本幸四郎らゆかりのキャストがコメントを寄せた。関連する特集・インタビュー
「COCOON Movie!! 芸術監督名作選」
2020年10月6日(火)~11日(日)
東京都 Bunkamura シアターコクーン
「女教師は二度抱かれた」(2008年)
作・演出:
音楽:星野源
音楽監督:門司肇
出演:市川染五郎(現・松本幸四郎)、
「下谷万年町物語」(2012年)
作:唐十郎
演出:蜷川幸雄
音楽:猪俣公章
出演:
「もっと泣いてよフラッパー」(2014年)
作・演出・美術:串田和美
作曲:越部信義、八幡茂、乾裕樹
音楽監督・作曲・編曲:ダージリン(佐橋佳幸 / Dr.kyOn)
出演:松たか子、松尾スズキ、秋山菜津子、石丸幹二 ほか
「キレイ―神様と待ち合わせした女―」(2014年)
作・演出:松尾スズキ
音楽:伊藤ヨタロウ
音楽監督:門司肇
出演:多部未華子、阿部サダヲ、
「ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン」(2016年)
作・演出:松尾スズキ
音楽:伊藤ヨタロウ
音楽監督:門司肇
出演:阿部サダヲ、岡田将生、寺島しのぶ ほか
「松尾スズキプロデュース 東京成人演劇部『命、ギガ長ス』(2019年)&『ノンフィクションW 松尾スズキ 人生、まだ途中也』」
松尾スズキプロデュース 東京成人演劇部「命、ギガ長ス」
作・演出:松尾スズキ
出演:安藤玉恵、松尾スズキ
COCOON PRODUCTION 2020「フリムンシスターズ」
2020年10月24日(土)~11月23日(月・祝)
東京都 Bunkamura シアターコクーン
2020年11月28日(土)~12月6日(日)
大阪府 オリックス劇場
作・演出:松尾スズキ
音楽:渡邊崇
出演:長澤まさみ、秋山菜津子、皆川猿時、栗原類、村杉蝉之介、池津祥子、猫背椿 / 笠松はる、篠原悠伸、山口航太、羽田夜市、笹岡征矢、香月彩里、丹羽麻由美、河合優実 / 片岡正二郎、オクイシュージ、阿部サダヲ
ミュージシャン:佐山こうた / 千葉岳洋、佐藤芳明 / 田村賢太郎、城家菜々、田子剛、阿部光一郎 / 河原真、BUN Imai / 上原なな江
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