WOWOW「松尾スズキ大特集!」松尾スズキ 宮藤官九郎 インタビュー / 生田絵梨花×神木隆之介 対談|怒涛の3作品一挙放送!「キレイ─神様と待ち合わせした女─」「命、ギガ長ス」「ノンフィクションW 松尾スズキ 人生、まだ途中也」

3月28日にWOWOWライブにて「松尾スズキ大特集!」が放送される。オンエアされるのは、松尾スズキが作・演出を手がけた2019年度版「キレイ─神様と待ち合わせした女─」、松尾による新劇団・東京成人演劇部の旗揚げ公演「命、ギガ長ス」、そして「命、ギガ長ス」の制作現場に密着したドキュメンタリー「ノンフィクションW 松尾スズキ 人生、まだ途中也」の3作品だ。

ステージナタリーでは、「松尾スズキ大特集!」をより楽しんでもらうべく、松尾に自身の近年の活動について振り返ってもらったほか、松尾と長きにわたって活動を共にしてきた宮藤官九郎にインタビューを実施。さらに「キレイ」に出演した生田絵梨花と神木隆之介の“ほのぼの対談”もお届けする。

構成 / 熊井玲(P1、3)、興野汐里(P2)

松尾スズキ
その時その時を思うままに。いつ死んでもいいように。
松尾スズキ、怒涛の2019年を振り返る

2018年に芸能活動30周年を迎えた松尾スズキ。2019年もその勢いは留まることを知らず、作家・演出家・俳優・映画監督として多岐にわたる活動を展開してきた。人間を見つめ、笑いの中に悲しみを、悲しみの中に笑いを描き、多くの人々に影響を与えてきた松尾の尽きせぬ魅力はどこにあるのか。今回のインタビューでは、WOWOWで放送される「キレイ─神様と待ち合わせした女─」「命、ギガ長ス」「ノンフィクションW 松尾スズキ 人生、まだ途中也」に焦点を当てながら、松尾の近年の活動を振り返る。

──2019年はパルコ・プロデュース「世界は一人」(出演、作・演出:岩井秀人)、松尾スズキプロデュース 東京成人演劇部vol.1「命、ギガ長ス」(作・演出・出演)、Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019+大人計画「キレイ─神様と待ち合わせした女─」(作・演出)と俳優・作家・演出家としてご活躍され、今年からシアターコクーン芸術監督に就任されるなど大きな注目を集めました。松尾さんにとってはどのような1年でしたか?

とにかく目まぐるしかったです。自分にとって小劇場は手放してはいけない場所だと思ったし、俳優業というのは非常にしんどい仕事だなと、捉え直した1年でした。

──2019年度版「キレイ」は、初演から19年経っているにもかかわらず、多くの新たな気付きを与えてくれる上演でした。改めて、松尾さんご自身にとって「キレイ」はどのような意味、重みを持つ作品なのか、また2019年度版の演出で特に意識されたことを教えてください。

自分の原点であるからこそ、磨けば磨くほど輝いてゆく作品になるのかなと。

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019+大人計画「キレイ―神様と待ち合わせした女―」より。(撮影:細野晋司)

──東京成人演劇部立ち上げ時のコメントで、松尾さんは「演劇を再び、楽しみたい」とおっしゃっていました(参照:松尾スズキの新劇団・東京成人演劇部の第1弾は、安藤玉恵との二人芝居)。「命、ギガ長ス」は東京公演を皮切りに、富山・大阪・北九州・宮城・札幌・台湾でも上演されましたが、クリエーションとツアーを経てどのような思いを抱かれましたか?

真に楽しむには、いささかアクターとしての負担が大きすぎたのが反省材料。もっともっと楽に演劇とたわむれることが目標です。

──今回、松尾さんのドキュメンタリー「ノンフィクションW 松尾スズキ 人生、まだ途中也」が放送されます。「命、ギガ長ス」はドキュメンタリーの被写体になり続ける親子の物語でしたが、松尾さんご自身はドキュメンタリーを“撮られている”ことを、当時どのように感じていらっしゃいましたか。

残す意識はビシビシ感じておりましたが、まあまあ、常にカメラがあるのはしんどかったです。最初で最後だと思えばこそやれたかなと。

──今年秋には、シアターコクーン芸術監督として初の新作「フリムンシスターズ」を手がけられます。読売文学賞の受賞スピーチでは「これでのびのびとシリアスなものが書けます」とおっしゃっていましたが(参照:松尾スズキ、読売文学賞贈賞式で「これでのびのびとシリアスなものが書けます」)、秋の新作や今後のクリエーションについて、現在、どのような展望を持っていらっしゃいますか?

その時その時を思うままに。ストレスのない形で楽しんでやれれば、なるべく先のことは考えないようにしてます。いつ死んでもいいように。

松尾スズキ(マツオスズキ)
1962年生まれ。作家・演出家・俳優・映画監督。1988年に大人計画を旗揚げし、主宰として多数の作品の作・演出を手がける。1997年に「ファンキー!~宇宙は見える所までしかない~」で第41回岸田國士戯曲賞、2001年に「キレイ─神様と待ち合わせした女─」で第38回ゴールデンアロー賞演劇賞、2008年に「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」で第31回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。著書「クワイエットルームにようこそ」「老人賭博」「もう『はい』としか言えない」が芥川龍之介賞の候補作となる。2019年に自身の新劇団・東京成人演劇部で上演した「命、ギガ長ス」が第71回読売文学賞を受賞。2020年、Bunkamura シアターコクーンの芸術監督に就任し、今秋には芸術監督として初の新作「フリムンシスターズ」の公演を控えている。また同年4・5月には、大人計画の劇団公演、ウーマンリブvol.14「もうがまんできない」に出演する。