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一人芝居「エブリ・ブリリアント・シング」で佐藤隆太「バトンつなげて大きな渦に」

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「エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~」ゲネプロより。

「エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~」ゲネプロより。

「エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~」が、本日1月25日に東京・東京芸術劇場 シアターイーストで開幕する。これに先駆け昨日24日、公開ゲネプロと囲み取材が行われた。

この作品は、2013年のイギリス初演以降、世界中で翻訳上演を重ねている一人芝居。日本初演となる今回は、谷賢一が翻訳・演出し、佐藤隆太が一人芝居に初挑戦する。

開場すると、ステージ中央では佐藤が観客に話しかけ、劇中で使用するカードを配っていた。カードには番号とセリフが書かれているが、これは観客が番号を呼ばれたときにセリフを言ったり、父親や恋人、先生などの登場人物として物語に参加したりするため。本作は出演者と観客のコミュニケーションによって物語が紡がれる、ユニークな上演形態を特徴としている。

公開ゲネプロでは、マスコミのほかに老若男女の一般客が客席を埋めた。アクティングエリアを囲むように配置された椅子、それを挟んで向かい合うひな壇状の客席に人々が座る。カードを配っているときの佐藤は、チャームポイントである笑顔よりも誠実さを前に押し出し、これから始まる物語への真摯な思いをにじませていた。しばらくすると彼は、主人公の幼少期を語り始める。主人公は入院した母親を勇気付けるため、1から順に番号を振った「ステキなもの」や「ステキなこと」のノートを作るのだ。それが1000個集まれば、母親が元気になると信じて……。

佐藤はセリフを言った観客に都度感謝を示しながら、時に明るく、時にアドリブで笑いを取り、筋を運んでいく。主人公が母親に抱く複雑な感情、恋に落ちたときの高揚や落胆を、佐藤は表情をくるくると変えながらテンポよく演じる。しかし、驚かされたのは観客の柔軟性だ。誰もが臆することなく参加し、その状況を楽しんでいる。その姿に、空間を統べる佐藤の“引力”を見た。

ラスト、主人公がレコードに耳を傾け、静かに場が暗転すると、客席は温かい空気に包まれた。観客たちの間には、1つの物語を編み上げた達成感と同時に、この物語が訴えかける、日々の生活にある数々の幸せに気付いたかのような余韻が漂う。本作は、主人公の人生の変遷を描きながらも、小さな喜びがやがて大きな“救い”に転じる様を、柔らかなタッチであぶり出していた。

終演後、囲み取材に応じた佐藤は開口一番、「今日はすごく楽しかった」と頬を緩ませた。「チャレンジングな作品。客席に緊張感があったとしても、それを借りて力にできれば“ひっくり返せる”気がする」と率直な思いを語る。また、海外で谷と共に本作を観劇した際を振り返って、「観るには面白いけど、演じるのは大変そうだと感じた(笑)」と明かし、「観劇後、温かい思いを持って劇場を出られたので、僕がしたような観劇体験をお客さんにもしてもらいたいです」と言葉に力を込める。最後に佐藤は、「この作品は何かの答えを出して終わるようなものではありません。答えにたどり着かないものがある中で進んでいくのが人生。そういった部分で共感していただけるはず。お客さんとコミュニケーションを取り、皆でバトンをつなげていけば大きな渦になるので、(上演中に)何が起きても“正しい道”だと思って突き進みたい」と決意をのぞかせた。

上演時間は休憩なしの約1時間10分。東京公演は2月5日まで。その後、8日から11日まで新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館、15日・16日に長野・まつもと市民芸術館、18日・19日に愛知・名古屋市千種文化小劇場、22日・23日に大阪・茨木市市民総合センター クリエイトセンター センターホール 舞台上特設劇場、29日・3月1日に高知県 高知市文化プラザかるぽーとでツアー公演を行う。

「エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~」

2020年1月25日(土)~2月5日(水)
東京都 東京芸術劇場 シアターイースト

2020年2月8日(土)~11日(火・祝)
新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場

2020年2月15日(土)・16日(日)
長野県 まつもと市民芸術館 特設会場

2020年2月18日(火)・19日(水)
愛知県 名古屋市千種文化小劇場

2020年2月22日(土)・23日(日・祝)
大阪府 茨木市市民総合センター クリエイトセンター センターホール 舞台上特設劇場

2020年2月29日(土)・3月1日(日)
高知県 高知市文化プラザかるぽーと

作:ダンカン・マクミラン、ジョニー・ドナヒュー
翻訳・演出:谷賢一
出演:佐藤隆太

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