栗山民也が「慰霊と未来への眼差しで」届ける、佐藤隆太・牧島輝らの「明日を落としても」開幕

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明日を落としても」が本日10月11日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールで開幕した。

「明日を落としても」より。(撮影:飯島隆)

「明日を落としても」より。(撮影:飯島隆)

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「明日を落としても」は、兵庫県立芸術文化センターの開館20周年を記念して行われる公演。栗山民也が、ピンク地底人3号作劇の新作を演出する。出演者には、佐藤隆太牧島輝川島海荷酒向芳尾上寛之春海四方田畑智子富田靖子が名を連ねた。

「明日を落としても」より。(撮影:飯島隆)

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「明日を落としても」より。(撮影:飯島隆)

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舞台は2025年が始まったばかりの冬の六甲山。六甲山の山裾にひっそりと佇む創業80年の桐野旅館を経営する社長・雄介(佐藤)にとって忘れられない日に、かつて旅館でアルバイトをしていた青年・神崎ひかる(牧島)が現れる。1995年、阪神・淡路大震災が起きる前に出会った2人は、ボクシングを通じて心を通わせていた。2025年に30歳になっためい・遥(川島)、1995年当時の旅館の様子を知る丈一との再会から、雄介の止まっていた“時”が動き出す。

「明日を落としても」より。(撮影:飯島隆)

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開幕に際し、兵庫県立芸術文化センターとのゆかりが深い栗山は、開館20周年について触れ、「その劇場を必要とした人々の熱い力が繋がれて、この『明日を落としても』という追憶の物語が生まれる。慰霊と未来への眼差しで、明日の初日へ向かう」とコメント。佐藤は「静かな会話劇だからこそ、そうして栗山さんが付けてくださった演出をしっかりと僕自身の身体に染み込ませて、丁寧に表現したい」と述べ、牧島は「30年前の出来事は決して遠くなく、被災された方にとっては最近のように思い出せることだと思うと、この舞台の世界に生きている僕も、想像するだけでとても苦しい。経験していない自分たちが向き合いながら表現することで、観る方の希望や前に進むきっかけになれば嬉しいです」と語った。

上演時間は休憩ありの約2時間30分。兵庫公演は10月16日まで。その後、本作は22日から27日まで東京・EX THEATER ROPPONGIでも行われる。栗山、佐藤、牧島のコメント全文は以下の通り。

栗山民也コメント

東京の稽古を終え、3日前からここ兵庫県立芸術文化センターでの舞台稽古に入った。ここへ来ると、頭の中をいろいろな思いの光景がゆったりと流れる。

30年前の冬、阪神・淡路大震災が発生。その年の6月、まだブルーシートでほとんどが覆われたその街で「GHETTO/ゲットー」という芝居を上演。それから10年が経ち、そのグランドゼロだった場所に新しい劇場が建てられ、その開場記念で「獅子を飼う」を上演。そして20周年、その劇場を必要とした人々の熱い力が繋がれて、この「明日を落としても」という追憶の物語が生まれる。慰霊と未来への眼差しで、明日の初日へ向かう。

佐藤隆太コメント

僕が演じる雄介は、忘れられない過去と向き合いながら、それでも前に進もうと葛藤する非常に人間味のある人物です。背負っている内容は違えど、きっと多くの方が共感できるものであり、お客様自身の心にも重なる瞬間があるのではないかと思っています。

演出の栗山さんは、役者と同様に、時にはそれ以上にそれぞれのキャラクターを愛してくださる方です。とても繊細に、こちらの想像を超える角度から解釈やアプローチを提示してくださるので、ご一緒していて毎日が刺激的ですし、作品の中の人と人とがより深い心の通わせ方をできるように導いてくださっています。

静かな会話劇だからこそ、そうして栗山さんが付けてくださった演出をしっかりと僕自身の身体に染み込ませて、丁寧に表現したいと思います。

本作は震災を題材にしていますが、焦点を当てているのは「人がどのようにしてそれぞれの人生と向き合っていくか」という普遍的なテーマだと感じています。舞台というリアルな空間で登場人物たちの温度や息づかいを直接感じていただき、ほんの少しでも“ぬくもり”を持ち帰っていただけるような作品にしたいです。ぜひ劇場で、お会いできたら嬉しいです。

牧島輝コメント

まずは、この作品が兵庫県立芸術文化センターでスタートするということに緊張しています。ひかるは、動きや言葉がまっすぐで嘘がなく、自分に正直なところが、魅力的だと思っています。栗山さんの演出は毎回新しい発見があり、スピード感と集中力に満ちた日々で、とても楽しかったです。

本読みの初日に、ピンク地底人3号さんから「俳優として、この作品を上演することに対して、葛藤を持ってほしい」と言われ、覚悟はしていたつもりでしたが、稽古を重ねるうちに、その意味をより重く受け止めるようになりました。30年前の出来事は決して遠くなく、被災された方にとっては最近のように思い出せることだと思うと、この舞台の世界に生きている僕も、想像するだけでとても苦しい。経験していない自分たちが向き合いながら表現することで、観る方の希望や前に進むきっかけになれば嬉しいです。生きる力になる作品になっていますので、ぜひご覧いただいて、何かを感じてもらえたらと思います。

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明日を落としても

開催日程・会場

2025年10月11日(土)〜16日(木)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

2025年10月22日(水)〜27日(月)
東京都 EX THEATER ROPPONGI

スタッフ

作:ピンク地底人3号
演出:栗山民也

出演

佐藤隆太 / 牧島輝 / 川島海荷 / 酒向芳 / 尾上寛之 / 春海四方 / 田畑智子 / 富田靖子

※U-25チケットあり。

公演・舞台情報

読者の反応

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まめたくカンタービレ☺︎☺︎☺︎ @mametaku0424

本日はこちらの観劇に
あの日を神戸で過ごしたひとりとして、この作品に出会えてよかった

そう思う時間でした

#明日を落としても
#佐藤隆太
#牧島輝

明日以降も皆様体調にお気をつけて https://t.co/85yQlbz9oz

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