「エブリ・ブリリアント・シング ~ありとあらゆるステキなこと~」が、明日8月11日に東京・東京芸術劇場 シアターイーストで開幕。これに先駆け、本日10日に、公開ゲネプロと囲み取材が行われた。
「エブリ・ブリリアント・シング ~ありとあらゆるステキなこと~」は、2013年のイギリス初演以降、世界中で翻訳上演を重ねている一人芝居。日本では2020年に初演され、今回の上演版では翻訳・演出を
会場は中央がメインのアクティングエリアとなっており、その四方は客席に囲まれている。舞台中央には赤い絨毯と一脚の椅子が置かれ、このエリアを中心に“僕”の人生が描かれていく。物語は、7歳の“僕”の母親が入院したところからスタート。“僕”は母親を励まそうと、“ステキなこと”をリストにし、ノートに書き連ねていくことに。大きくなり、リスト作りをやめた“僕”は、やがて恋をして……。
ゲネプロには報道陣のほか、一般の観客も入場した。来場者が会場に足を踏み入れると、開演前にも関わらず、すでに佐藤の姿が。佐藤は、人懐こそうな笑顔であいさつをしながら「よければ作品に参加してくれませんか?」と、来場者にカードを渡す。このカードには番号と、主人公が書き連ねた“ステキなこと”が書かれており、カードを渡された来場者は、佐藤が示すタイミングに合わせて書かれた言葉を発声していく。
佐藤は、“僕”の年齢ごとに演技を細かく変え、その人生を丁寧に提示していく。物語前半、佐藤は客席を含め会場全体を落ち着きなく行き来する演技で、7歳の“僕”を元気いっぱいに表現。時折見せるさみしげな表情から、母親の病気に対し気丈に振る舞う“僕”の、明るいだけではない一面も垣間見せる。思春期を迎え、母親にどう接したらよいかわからなくなった“僕”を演じる際は、それまでの溌剌とした雰囲気から一転、苛立ちと困惑が混ざった芝居で、行き場のない気持ちを抱く“僕”の内面を表した。
見どころは、やはり佐藤と来場者のやり取り。佐藤がリストの数字を読み上げると、その数字が記されたカードを持った来場者は、書かれた言葉を大きな声で発する。その1つひとつに、佐藤は「いいね!」「おいしそう」「最高だよね!」とリアクションし、場の空気を高めていく。また佐藤が来場者に、獣医や父親、恋人といった役割を演じてほしいとお願いする場面も。演じることを了解した来場者は、中央のアクティングエリアで佐藤とアドリブでセリフの応酬を行っていく。佐藤は“僕”を演じながらも、どの相手ともうれしそうに、息をぴったり合わせて会話を展開。最初は恐る恐るその役を演じていた来場者も、次第にリラックスして笑顔に。それぞれが役割を終えるたびに、会場は大きな拍手で包まれた。
ゲネのあとに行われた囲み取材では、本番を終えたばかりの佐藤が登壇。佐藤は「開場中から舞台に立っているので、お芝居が終わると、もうぶっ倒れるんじゃないかってくらいヘロヘロになってしまいます。でも、ほかでは味わえないような面白さを感じられます」と作品への愛情を語る。
初演版の上演は2020年。1月から2月にかけての東京・新潟・長野・愛知・大阪公演は開催が叶ったが、地方公演の最終地となる高知公演のみ、新型コロナウイルスの影響で中止になった。このことについて佐藤は「高知公演が予定されていた日は、僕の誕生日だったこともあり、記憶に残っていますね。スタッフさんたちと落ち着いたら再演しましょうね、という話はしていたのですが、コロナ禍でなかなか実現できず。やっと今回再演ができて、本当にうれしいです」と瞳を輝かせた。
また“観客参加型”であることに「もちろん観るだけが良い、というお客様には無理強いしません。ただもし参加していただけるなら、客席にいながら声を出す、という普段できないことを楽しんでいただけたら。構えず、リラックスして劇場に来ていただきたいですね」と話す。また観客とのやり取りで意識していることを聞かれると「絶対に否定しないことですね。お客様の言葉すべてが正解なので。参加するお客様によって、作品の雰囲気も変わってくるので、毎回新鮮です」と微笑む。
佐藤が「できることならこの先も、ライフワークとして演じ続けていきたい」と述べると、記者から「何歳まで演じたいですか?」と質問が。これに佐藤は「この作品は、全世界でいろんなバージョンが上演されていますが、座って語っていくタイプの上演版もあるみたいで。そう考えたら何歳まででもできますが、できることなら、今やっているような形態でやっていきたいんですよね」と悩んだ顔を見せ、「野田(秀樹)さんは、今も舞台上で元気に駆け回られていますが、今何歳ですか?」と記者に尋ねる。67歳という回答を受けると「野田さんの年齢までやりたいですね!」と笑顔を見せた。
上演時間は約1時間10分。東京公演は8月27日まで。そのあと、9月1日から3日まで愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース、8日から10日まで富山のオーバード・ホール 中ホール、16日から18日まで茨城・水戸芸術館 ACM劇場、22日から24日まで福島・いわき芸術文化交流館 アリオス アルパイン大ホール 舞台上舞台、30日・10月1日に福岡・北九州芸術劇場 中劇場(舞台上客席)、3日に熊本・熊本県立劇場 演劇ホール(舞台上)、7・8日に高知・高知市文化プラザかるぽーと 大ホール(舞台上舞台)、13日から15日まで大阪・茨木市市民総合センター クリエイトセンター センターホール 舞台上特設劇場、17・18日に愛知・千種文化小劇場、21・22日に長野・まつもと市民芸術館 特設会場にてツアー公演が行われる。
「エブリ・ブリリアント・シング ~ありとあらゆるステキなこと~」
2023年8月11日(金・祝)~27日(日)
東京都 東京芸術劇場 シアターイースト
2023年9月1日(金)~3日(日)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース
2023年9月8日(金)~10日(日)
富山県 オーバード・ホール 中ホール
2023年9月16日(土)~18日(月・祝)
茨城県 水戸芸術館 ACM劇場
2023年9月22日(金)~24日(日)
福島県 いわき芸術文化交流館 アリオス アルパイン大ホール 舞台上舞台
2023年9月30日(土)・10月1日(日)
福岡県 北九州芸術劇場 中劇場(舞台上客席)
2023年10月3日(火)
熊本県 熊本県立劇場 演劇ホール(舞台上)
2023年10月7日(土)・8日(日)
高知県 高知市文化プラザかるぽーと 大ホール(舞台上舞台)
2023年10月13日(金)~15日(日)
大阪府 茨木市市民総合センター クリエイトセンター センターホール 舞台上特設劇場
2023年10月17日(火)・18日(水)
愛知県 千種文化小劇場
2023年10月21日(土)・22日(日)
長野県 まつもと市民芸術館 特設会場
作:ダンカン・マクミラン、ジョニー・ドナヒュー
翻訳・演出:
出演:
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本日より東京芸術劇場公演、開幕❗️
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