PARCO劇場お披露目&オープニング・シリーズ記者会見が、本日1月15日に東京・PARCO劇場にて行われた。会見には
PARCO劇場は、1月24日からの「志の輔らくご ~PARCO劇場こけら落とし~」、2月12日からの「ラヴ・レターズ~こけら落としスペシャル~」に続き、3月13日より全14作品のオープニングシリーズを上演する。会見では、オープニングシリーズ各作品の内容が紹介された。
舞台前には旧PARCO劇場で上演された歴代作品から、数作品のポスターが掲出された。会見開始と共にそのポスターのカーテンが上がると、舞台の中央に藤井が姿を現す。司会席に就いた藤井は「私の手元には本日のカンペがありまして、これをもとに進行させていただきます。そこに温かいメッセージをいただきまして、『がんばってください。令和の高橋圭三を目指してください。三谷幸喜より』。ありがとうございます!」と爽やかに挨拶し、会見場を笑いで包んだ。
“PARCO側のスタッフ”に徹した藤井が、パルコの執行役でエンタテインメント事業部担当の井上肇氏を「井上!」と壇上に呼び寄せると、会場から笑いが起きる。井上氏は「3月13日から、14作品、1年2カ月のオープニングシリーズが始まります。PARCO劇場は客席数が多くなり、設備も新しくなりました。ぜひ新しいPARCO劇場にご来場いただけますよう」と述べた。
続けて作品ごとに、関連スタッフやキャストが登場する。まず3月上演の「ピサロ」から、キャストの渡辺と宮沢が登壇。渡辺はマイクを持ったまましばらく藤井を見つめ、「……『井上!』はないんじゃないの? せめて“さん”を付けたら……?」と静かにツッコみ、集まった観客を笑わせる。
渡辺は「今日の登壇者の中で、西武劇場の頃から出ていたのは僕だけではないかと。新しい劇場で雰囲気が変わってしまうのではないかと一抹の不安がありましたが、こうして舞台に立ってみると、PARCO劇場に戻ってきたのだなという驚きと緊張がないまぜになった気持ちになりました」と感慨を述べる。また渡辺は、1985年に山崎努主演で上演された「ピサロ」にインカ王アタワルパ役で出演したことに触れつつ、今回ピサロ役に挑むことについて、「僕にとって大きなエポックとなる作品。新生PARCO劇場で上演される演劇作品の一発目として、万全の準備をして初日を迎えたいと思います」と意気込みを述べた。今回の公演でアタワルパ役を演じる宮沢は「PARCO劇場のこけら落としということで緊張しつつ、謙さんやほかの皆さんと思いっきり体当たりで作品に向き合いたいと思います」と力強く語った。
5月に上演される「佐渡島他吉の生涯」からは、演出の森と、出演の石田が登場。森は「織田作之助が書いた『わが町』を舞台化した作品です。(主演の佐々木)蔵之介さんは、熱くておバカでまっすぐな、無骨な男の一生を演じ切ります。全編が大阪弁になっておりまして、関西弁ネイティブのキャスティングにこだわりました」と自信を見せる。真っ白なスーツに身を包んだ石田が「僕のことを蔵之介さんだと思っていただければ」とおどけつつ、「新生PARCOの顔に泥を塗らないようにがんばっていきます」と気合を述べると、藤井が「大阪弁、期待しております」とコメントし会場を盛り上げた。
6月から8月にかけて「大地」「三谷幸喜のショーガール」「三谷文楽 其礼成心中」の3作品連続公演に挑む三谷は「新しくできたPARCO劇場のシステムについてお伝えしたいと思います」と前置きし、「すべてのイスにはニクロム線が貼られていますので、公演中に携帯電話を鳴らした瞬間、8万ボルトの電流が……」と語り始めると、藤井から「やめてください!」と鋭いツッコミが入る。また三谷が「3本連続公演の最初が新作の『大地』となります。関係者の皆さんにはうれしいお知らせとなりますが、実はもう台本ができています! 頭の中に。あとは書くだけです」と話すと、記者から笑いが起きた。さらに三谷文楽「其礼成心中」からは、“宣伝担当”として、吉田が操る人形の三谷くんが登場し、三谷くんのボケに三谷がツッコむ場面も。最後に三谷は「東京オリンピックと丸かぶりの時期ですが、スポーツに興味のない方はどうぞお越しいただけたら」と語り、会場の笑いを誘った。
「大地」に出演する大泉が「二十歳の頃、北海道で演劇をしながら憧れていたPARCO劇場に『ついに出るのか』と感慨深いです」と心境を語りつつ、「ただ、脚本家(三谷)に楽屋でお会いしたところ、僕の顔を見てびっくりされまして。まだ僕を出演させるか、決めてないとおっしゃるんですね。なので、なんとかこの舞台に出られるようにと思っています!」と明かすと、会場は大きな笑いで包まれた。山本は「PARCO劇場に立つのは3作目、約20年ぶり。これまで客席でエネルギーをもらっていましたが、今回は皆様にエネルギーを与えられたらいいなと」と真摯に話す。PARCO劇場にも三谷作品にも初参加の竜星は「『大地』上演時はオリンピック真っ只中で、日本中が熱くなっていると思いますので、それに負けないくらい熱い気持ちでPARCOに通えれば」と意気込みを述べた。大泉が「『大地』には藤井さんもお出になるので一言……」と声をかけると、藤井は「私は司会に徹しておりますので!」と返答。そのあまりの切り返しの速さに、登壇者たちから笑いが起きた。
9月には栗山民也演出「ゲルニカ」を上演。台本を手がける長田は「ピカソが描いた1枚の絵は、人間の暴力の象徴となりました。2020年の今、私が描かせていただくながら、暴力の連鎖の先を描かせていただければ」と決意を述べる。
続けて藤井は「演劇界の最強ユニット」と、生瀬・池田・古田の“ねずみの三銃士”を紹介。シリーズ1作目から脚本を手がける宮藤は「獣道(じゅうどう)一直線!!!」というタイトルについて、「“獣”が付いてればいいのかなと思って(笑)。内容はこのあと打ち合わせして決めます」と言い、演出の河原は「PARCO劇場に関わらせてもらったのはこの企画(ねずみの三銃士)がきっかけだったので、戻って来られて感慨深いです」と話した。生瀬は「今、インターネットで『じゅうどういっちょくせん』と検索するとAVが出てくると思います。それを舞台化するものとイメージしていただけたら」と冗談を放ち、池田は「僕が初めて西武劇場で観た『下谷万年町物語』は、デタラメで下品で素敵な作品でした。僕たちが(新生PARCO劇場の)その“フザけたほう”を広げていけたら」、古田は「そうそうたるメンバーの中に並ばせていただき、ありがたいです。どれだけ下品なことができるかと企んでいますので、お好きな方はぜひ(笑)」とテンポよく挨拶した。
前川は登壇者の中で唯一の和装で登場し、「PARCO劇場は今回で3回目ですが、オープニングシリーズに呼んでいただき感謝しております。カタルシツをベースに、俳優たちともう1回新しく作品を作り直したいと思っています。面白い俳優がキャスティングされていますので楽しみにしていただけたら」と期待を煽る。
2021年2・3月に上演される「藪原検校」からは、演出の杉原と出演の猿之助が登場。杉原は「数ある井上(ひさし)作品の中でも演出してみたかった作品。また、猿之助さんといつかストレートプレイでご一緒したかった」と思いを述べる。猿之助は「今回出演させていただけることになり光栄に思っています」と述べつつ、「2月は演劇の世界では一番客が入らない月。できれば三谷さんの作品に出たかった」とおどけて、大きな笑いを巻き起こした。
ウィル・タケット演出「レディ・マクベス」でタイトルロールを演じる天海は「宝塚を辞めて初めての舞台がPARCO劇場でした。今になって、新生PARCO劇場に立たせていただけるのはとてもとても幸せなこと。私の大きなターニングポイントになるのではないかと期待しております」と爽やかな笑顔を見せた。
「月とシネマ」からは、出演の
その後、質疑応答の時間が設けられた。記者が三谷に「オリンピックに負けない秘策は?」と尋ねると、三谷は「あの……ないですね」と率直に回答。「敵が強大なので(笑)。でも、そんな時期に僕の作品を上演しようと思ってくださったPARCOさんとの信頼関係を感じたので、その恩義に応えたいです。ただ、出演者の中にはオリンピックの聖火ランナーをやる人もいて、許せないな!」と冗談めかして答えた。
また、新しい劇場機構をどう使いたいかという質問が演出家たちに投げかけられると、三谷は「まだ劇場機構のよさをすべてわかっているわけではないので、よく知ったうえでいろいろ使ってみたい」、河原は「僕たちの前に素晴らしいラインナップがそろっていますので、足繁く劇場に通ってほかの作品を観て、大胆な演出を採用させてもらえれば」とコメント。森が「本当に舞台が広くなった。まだ釘が1本も打たれていない綺麗な舞台面なので、どれだけ汚していいかは(トップバッターの)『ピサロ』で決まってくるのではないかと」と話すと、渡辺は「汚さないわけにはいかないでしょうね(笑)」と述べつつ、「舞台の奥行きが旧PARCO劇場の1.5倍くらいワイドになった。舞台からの見え方は正直これまでとあまり違わないのですが、客席からステージを観ると印象が変わるのでは」と語った。
前川も「舞台面が広くなった」と頷き、「ただ僕は以前も舞台上に小さなコンビニのセットを作って芝居をしていますので、あえてこの舞台面の大きさを考えないのもいいかなと。……ただ、詳しくはまだ考えてないです(笑)」と笑顔で語った。続けてマイクを持った杉原が「僕もまだ具体的には考えてないのですが……今隣で、『ここで宙乗りはできるのか?』と猿之助さんに突然聞かれたので、相談してみようかと思います」と話すと、藤井が「今、聞いてみましょう、井上!」と再びパルコのスタッフを舞台上に呼び出す。慌てて駆けつけた井上が「宙乗りはちょっと難しいかなと……」と答えると、「応えなさいよ、期待に!」と藤井がツッコみ、「検討させていただきます」と井上が苦笑い。会場は大きな笑いで包まれた。
最後に「ピサロ」に対する思いについて渡辺に質問が寄せられると、渡辺は「(オープニングシリーズの)一発目というプレッシャーはあるんですけれど気概もあって。でもまずはキャスト、演出、スタッフ含めて稽古場で何ができるかってことを作り上げるのが一義ですね」と返答しつつ、「レジェンドと言うと大げさですが、『新生PARCO劇場はこう始まったんだ』というようなオープニングにできれば」と気合を語った。
PARCO劇場オープニングシリーズ・ラインナップ
「ピサロ」
2020年3月13日(金)~4月20日(月)
作:ピーター・シェーファー
翻訳:伊丹十三
演出:ウィル・タケット
出演:
※2020年4月2日追記:本公演は3月13日(金)から19日(木)までの公演が、新型コロナウイルスの影響で中止になり、3月28日(土)13:30開演回、同18:30開演回、29日(日)13:30開演回が休演となりました。また4月1日(水)から13日(月)までの公演も休演となりました。
※2020年4月8日追記:新型コロナウイルスの影響で4月15日(水)以降の公演は中止になりました。
「佐渡島他吉の生涯」
2020年5月13日(水)~ 6月7日(日)
原作:織田作之助「わが町」より
脚本:椎名龍治
潤色:森繁久彌
演出:
出演:佐々木蔵之介、
※2020年4月8日追記:本公演は新型コロナウイルスの影響で中止になりました。
三谷幸喜 3作品連続公演
「大地」
2020年6月20日(土)~8月8日(土)
作・演出:
出演:
※辻萬長の「辻」は一点しんにょうが正式表記。
2020年7月16日(木)~8月7日(金)
作・演出:三谷幸喜
振付:本間憲一
作曲・編曲:荻野清子
出演:川平慈英、シルビア・グラブ
演奏:荻野清子(ピアノ)、一本茂樹(ベース)、萱谷亮一(ドラムス)
2020年8月13日(木)~20日(木)
作・演出:三谷幸喜
出演:竹本千歳太夫、鶴澤清公、吉田一輔 ほか
「ゲルニカ」
2020年9月
作:
演出:栗山民也
ねずみの三銃士「獣道一直線!!!」
2020年10月
作:
演出:
出演:
前川知大 作・演出作品
2020年11月
作・演出:
「チョコレートドーナツ」
2020年12月
作:トラビス・ファイン
脚本:谷賢一
演出:宮本亞門
「志の輔らくご in PARCO 2021」
2021年1月
出演:立川志の輔
「ラヴ・レターズ」
2021年1月
作:A.R.ガーニー
訳:青井陽治
演出:藤田俊太郎
「藪原検校」
2021年2~3月
作:井上ひさし
演出:
出演:
「レディ・マクベス(仮題)」
2021年3~4月
作:ジュード・クリスチャン
演出:ウィル・タケット
出演:
中井貴一「月とシネマ」
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