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「松竹大歌舞伎」東コース、尾上菊之助「芸を貪欲に継承していきたい」

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「松竹大歌舞伎」東コース製作発表より。尾上菊之助。

「松竹大歌舞伎」東コース製作発表より。尾上菊之助。

6月から7月にかけて全国の会場で上演される「松竹大歌舞伎」東コースの製作発表が、本日3月19日に東京都内で行われた。

全国公立文化施設協会が主催し、今年で51年目を迎える巡業公演「松竹大歌舞伎」。東コースでは「近江のお兼」「曽我綉侠御所染 御所五郎蔵」「高坏」の公演を全国25館で行う。

会見には尾上菊之助、全国公立文化施設協会の松本辰明専務理事、松竹株式会社の安孫子正取締役副社長が登壇。はじめに松本専務理事は「公文協歌舞伎は1967年に始まり、昨年がちょうど50周年でございました。今年は次の50年のスタートになります。何か新しい基軸や趣向を凝らすというわけではございませんが、今後も質の高い公演を地域の皆様に愚直に届けていけたらと思います」と挨拶した。

安孫子副社長は「各地方に出向いて歌舞伎を伝えていくことは意義のあること。地方公演こそ手を抜かず、東京と同じレベルの舞台を観ていただくということを一番大切にしております。今回も菊之助さんを中心に初役もありますので、東京から足を運ばれるお客様もいらっしゃるのではないかと思います」と述べた。

今回の巡業公演の演目について菊之助は「どれも代表的で華やかでわかりやすい演目ですので、歌舞伎を初めて観る方にも楽しんでいただけると思います」とコメント。自身が御所五郎蔵役を勤める「曽我綉侠御所染 御所五郎蔵」については「五代目菊五郎が大事にしていた演目でございまして、(河竹)黙阿弥の七五調の言葉が洗練されています。星影土右衛門や五郎蔵の子分たち、そして土右衛門の門弟の掛け合いの面白さというものを、やらせていただいて感じました。直情的な五郎蔵が縁切りの場面でカッとなってしまうところも歌舞伎を代表する場面でございます。歌舞伎美の極まったところをどのように見せるのか、難しいですが、同時に楽しみでもあります」と感慨深げに述べた。

巡業公演について菊之助は「実はかつて(坂東)三津五郎兄さんとご一緒する予定だった巡業がありまして、その公演では『江島生島』を踊る予定でした。ご病気になられた三津五郎兄さんが初日に来てくださったとき、『いつかやろうね』と仰っていただいたことが心に残っていて。そのときに買ってくださった時計を、今でも宝物としてとってあります」とエピソードを明かす。

続けて菊之助は、自身が中心となる今回の巡業について「もちろん一座のことを気にかけなければいけないんですけれど、行く土地土地の皆様にどうしたら歌舞伎の面白さを伝えることができるか、ということに神経を配って、歌舞伎の魅力を120パーセント伝えられるような公演にしたいと思います」と意気込みを語った。

また次郎冠者を初役で勤める「高坏」についても言及。「当時、アメリカのタップダンスが流行っていたことが六代目菊五郎のアンテナに引っかかり、宝塚歌劇団の方に詞を書いていただいたんです。自分の祖先でありながら、すごい人だなと思ってしまいました」と笑顔を見せつつ、「六代目が作ったものを、十七代目の(中村)勘三郎のおじさまが復活させた際に作曲し直して、それが歌舞伎の人気演目となりましたので、私も現代の『高坏』の流れに乗りたいです」と意欲を見せる。さらに、「お酒を飲んで浮かれながらタップを踏んでいくというところが難しさでもあり、面白さでもあると思います。ほろ酔い加減でタップを踏めるようになれるまで稽古していきたいです」と展望を述べた。

記者から巡業で楽しみにしていることについて尋ねられた菊之助は「土地の空気に触れ、名物や美味しいものを食べるのが巡業ならではの楽しみです。インターネットで調べて、『今回はどこに行こう』というのをみんなで探しています」と明かし、「まずは札幌でビールとジンギスカンですね」と記者たちの笑いを誘った。

最後に菊之助は「五代目、六代目、そして父と熟成されてきた芸を貪欲に継承していきたいという思いが強いです。1つひとつの役を、その役になりきって勤めていきたいと思います」と答え、会見を締めくくった。

平成30年度(公社)全国公立文化施設協会主催「松竹大歌舞伎」東コース

2018年6月30日(土)~7月31日(火)

演目
一、「近江のお兼」
出演:中村梅枝

二、「曽我綉侠御所染 御所五郎蔵」
出演:尾上菊之助坂東彦三郎、中村梅枝、中村米吉中村萬太郎市村橘太郎、市川團蔵

三、「高坏」
出演:尾上菊之助、中村萬太郎、市村橘太郎、市川團蔵

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