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中村芝翫ら最後の襲名披露興行「松竹大歌舞伎」で「人情噺文七元結」「棒しばり」

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「松竹大歌舞伎」中央コース製作発表より。左から中村福之助、中村橋之助、中村芝翫、中村梅玉。

「松竹大歌舞伎」中央コース製作発表より。左から中村福之助、中村橋之助、中村芝翫、中村梅玉。

6月から7月にかけて全国の会場で上演される「松竹大歌舞伎」中央コースの製作発表が、本日5月16日に東京都内で行われた。

全国公立文化施設協会が主催する「松竹大歌舞伎」は、今年2018年で51年目を迎える巡業公演。中央コースでは「人情噺文七元結」、中村橋之助改め八代目中村芝翫、中村国生改め四代目中村橋之助、中村宗生改め三代目中村福之助の襲名披露口上、そして「棒しばり」が全国22館で上演される。

会見には中村芝翫中村橋之助中村福之助中村梅玉、全国公立文化施設協会の松本辰明専務理事、松竹の安孫子正取締役副社長が登壇。芝翫は約1年半にわたる襲名披露興行を思い返し、「今回の巡業をもって走り切ることができます。多くの皆様方にお力添えを賜ったことに深く感謝をすると共に、改めて父の偉大さを痛感しております」と感慨を語る。また襲名披露興行の多くの公演に参加した梅玉に対し、「親代わりのように出演してくださった梅玉のお兄様の常日頃の穏やかな姿勢を拝見し、歌舞伎役者たるものこうでなくてはいけない、ということを身をもって教わった気がします」と謝辞を述べた。

「中央コースは多くのお役を勉強させていただいた思い出深い巡業」と話す芝翫は「親子揃って襲名披露ができますこと、うれしく思います。最近は世話物を強く志していまして、去年12月に『文七元結』で長兵衛をやらせていただき、人情、人の心の優しさを作品を通して味わった気がします。また人に喜びと勇気を伝えるというのも私たちの使命だと思っております」と述べる。さらに橋之助、福之助という2人の息子について「親バカではございますが、肉体的にも精神的にも少しは大きくなっているなと。それもこの襲名のおかげ」と分析し、「2人が『棒しばり』出演という大役を勤めさせていただきますこと、深く感謝をしております」と語った。

「文七は憧れのお役」と、思いを明かした橋之助は「世話物で軸となるようなお役をさせていただくのは初めてです。弟の福之助とWキャストなので、両方観てくださったお客様に『橋之助のほうが良かったな』と言っていただけるように勤めたいです」と会場の笑いを誘う。続けて「うちの兄弟は子供のころの遊びが“お芝居ごっこ”でして、その月に父が出演している演目を、ソファーやテーブルを大道具代わりにして真似事をしておりました。その中でも頻繁に出てきたのが『棒しばり』。これを弟と勤めさせていただくというのは、とても感慨深いです。楽しんでいただけるよう、お稽古に励んでおります」と笑顔を見せた。

福之助は「身に余る大きなお役をやらせていただき、吸収できるものがたくさんあった濃い1年半でした」と振り返り、「これまで父や兄と『連獅子』などを試行錯誤してやってきました。今回の『棒しばり』も息を合わせて踊らねばいけませんので、兄と一緒にどこまでできるかが課題です。若手らしくフレッシュにお届けしたいです」と意気込んだ。

梅玉は「芝翫一家の襲名、私は去年お正月の大阪・松竹座の公演を除いて、すべてご一緒させていただくことができました。先代芝翫、神谷町の兄さんにはお世話になりっぱなしで、この襲名興行は恩返しだと思っております。(現)芝翫さんは以前から立派な役者でしたが、芝翫を継いでからますます役者ぶりが大きくなり、これからの歌舞伎界のリーダーとなることは間違いない。2人の息子たちも、この1年半で本当に役者ぶりが良くなってうれしいです」と太鼓判を押した。

最後に芝翫は「『文七元結』『棒しばり』共に、朗らかに口角が上がるような、親しみやすい狂言です。まずは劇場へ足を運んでいただき、その空気、空間を味わっていただく。これをきっかけに歌舞伎鑑賞の糸口になるといいなと思っております。暑い盛りですが、どうぞよろしくお願いいたします」とアピールし、会見を締めくくった。

平成30年度(公社)全国公立文化施設協会主催「松竹大歌舞伎」中央コース

2018年6月30日(土)~7月29日(日)

演目

一、「人情噺文七元結」
出演:中村芝翫中村橋之助中村福之助中村梅花中村吉之丞片岡秀太郎中村梅玉

二、中村橋之助改め八代目中村芝翫、中村国生改め四代目中村橋之助、中村宗生改め三代目中村福之助 襲名披露 口上
出演:中村芝翫、中村橋之助、幹部俳優

三、「棒しばり」
出演:中村橋之助、中村福之助、中村吉之丞

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