新たな作り手が次々と頭角を表す演劇界。数ある劇団の中から、ジャケ買いならぬ“劇団名買い”で観劇に行った経験はないだろうか。チラシやニュース、SNSなどで目にする劇団名には、シンプルなものから不思議な音の響きを持つものまで、さまざまだが、それには名づけ主の希望や願い、さらには演劇的活動戦略が込められている。このコラムでは、多彩な個性を放つ若手劇団の名前の由来に迫る。
3番目に登場するのは、
譜面絵画(フメンカイガ)
Q. 劇団名の由来、劇団名に込めた思いを教えてください。
2Dである譜面(戯曲)をもとに、作品を3D空間へと立ち上がらせる。みたいな意味を持っています。またいわゆるプロセニアム形式の劇場でパフォーミングアーツを観察する際に自身が感じる、絵画のような平面さに対するカウンターとしても意図しています。
と、ここまでが、あとから考えたそれっぽい感じの理由です。実際は台本を書く練習のため、高校3年生のころにショートショートを書いており、その時に使用しなかったタイトルの中から取りました。ほかの候補には“個室地球”とか“おいしいガラス”とかもありました。
Q. 劇団の一番の特徴は?
公演や創作を行う土地や会場、地域の特性や環境を投影した作品創作を行う点だと思います。さまざまな土地や会場で公演をさせていただきましたが、ずーっと上演時に発生する体験性を考えています。またそのような体験性の質を、より高めるために、戯曲構造からアップデートできないかと試行錯誤を続けています。
最近使っている戯曲構造は入れ子のような構造で、例えばAとBが話している中、「この間ファミレスでパートナーがこういうこと言ってたのよ」って言って、そのファミレスでのパートナーの様子をBが再現しちゃう。で、その再現の中で、Bのパートナーが、「図書館で、自分が本読んでたら、こういう人がいてさ」とBに言いながら、Bのパートナーが、図書館にいたCを再現していく。みたいな雰囲気です。
「図書館でおすすめされてたSF小説の内容がさ、こんな感じでね」と言ってSF小説を再現する。みたいなこともできます。つまりは、どんどんリアルの会話から遠ざかっていくことができます。無理しすぎず / 飛躍しすぎずに、強いフィクションまで到達することができるなー、と思います。昔からある手法だとは思いますが、今の自分たちにフィットする会話構造です。
Q. 今後の目標や観客に向けたメッセージをお願いします。
今年予定している大型新作公演の成功と、2020年から長々と続けてきた、音楽ライブにおけるセットリストのように、書き下ろした短編戯曲を会場ごとに組み合わせて上演を構築する「Terra Australis Incognita」プロジェクトの完結が目標です。
時間を合わせて会場に赴いて観なければならない、とてもアナログな経験の中で、一緒にいろいろなことを自由に実感していただけると幸いです。ぜひいろいろな空間で時間を共有したいですー。ぜひおねがいしますー!
プロフィール
三橋亮太が全作品の脚本と演出を務めるカンパニーとして2016年に発足した演劇団体。これまでの主な作品に、第6回せんだい短編戯曲賞最終候補作品に選出された「牛乳とハチミツ、ゆれて三日月を喰みる」、かながわ短編演劇アワード2020「戯曲コンペティション」最終候補作品「新津々浦駅・北口3番バスのりば」、岩手県陸前高田市と祖師ヶ谷大蔵の2カ所で上演された「四人静」、第22回AAF戯曲賞の一次審査通過作品「Terra Australis Incognita」など。
三橋 亮太 @RyotaMitsuhashi
ステージナタリーさんに掲載いただきました。
由来と最近と将来などなどお答えしました〜。
ぜひぜひ〜〜。 https://t.co/MOpxnNT54m